布川事件

結末 2011年6月、水戸地裁土浦支部の再審で、無期懲役が確定していた男性2人の無罪が確定

発生日 1967年8月28日(昭和42年) 1967年(昭和42年)の事件 / 8月28日に起きた事件
経過 発生から59年1か月 2011年6月7日の確定から15年4か月
発生場所 茨城県 北相馬郡利根町布川
種別 強盗
状態 判決確定
被害 死者 1人
  • 冤罪と再審 — 無罪が確定した事件と再審請求別件逮捕後の自白で無期懲役が確定した男性2人が、2011年に再審で無罪となった。国家賠償訴訟では、偽計を用いた取調べ、録音テープをめぐる偽証、証拠の不開示などが違法とされた。
1967年8月、茨城県北相馬郡利根町布川で、一人暮らしの男性が自宅で殺害された強盗殺人事件。別件で逮捕された男性2人が自白し、公判で否認したものの、1978年に無期懲役が確定した。2人は仮釈放後に再審を求め、2005年の再審開始決定を経て、2011年5月24日、水戸地裁土浦支部の再審で無罪となった。その後の国家賠償訴訟では、警察官の偽計を用いた取調べや、取調べの録音テープをめぐる偽証、検察官の証拠の不開示などが違法とされた。
布川事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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事件の発生

国家賠償訴訟の東京地裁判決によると、1967年8月30日の早朝、茨城県北相馬郡利根町布川で、一人暮らしの男性が自宅で死亡しているのを近所の人が見つけた。死因は絞殺と推定される窒息死で、室内には物色された跡があった。確定判決は、8月28日の夜に男性が殺害され、金が奪われたと認定した。現場の検証では指紋や掌紋が38個採取されたが、被害者や第一発見者らのものを除く31個は照合ができなかった。毛髪8本のうち5本は、のちに起訴された2人の頭髪と類似しているとはいえないと鑑定された。2人を犯行と結びつける物証はなかった。
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別件逮捕と自白

判決によると、男性の1人は1967年10月10日、ズボン1着とワニ皮のベルト1本を盗んだ窃盗の容疑で逮捕された。もう1人も別の事件で逮捕された。2人は取調べで強盗殺人を自白し、10月23日に強盗殺人の容疑で逮捕された。2人は拘置所に移された後、検察官の取調べで否認に転じ、11月13日に処分保留で釈放されたが、別の事件での勾留は続いた。12月1日、2人は再び警察署の留置場に移され、そこで再び自白した。12月28日、2人は強盗殺人の罪で水戸地裁土浦支部に起訴された。

無期懲役の確定

2人は公判で否認し、事件当夜は東京都内にいたと主張したが、水戸地裁土浦支部は1970年10月6日、2人を無期懲役とした。東京高裁は1973年12月20日に控訴を棄却し、最高裁第二小法廷も1978年7月3日に上告を棄却して、判決が確定した。2人は1983年12月23日に最初の再審請求をしたが、1992年9月9日に最高裁で退けられた。2人は1996年11月に仮釈放された。

再審無罪

2人は2001年12月6日に2回目の再審請求をし、水戸地裁土浦支部は2005年9月21日に再審開始を決定した。検察官の即時抗告を東京高裁が2008年7月14日に棄却し、特別抗告も最高裁第二小法廷が2009年12月14日に棄却して、再審開始が確定した。2011年5月24日、水戸地裁土浦支部は強盗殺人について2人に無罪を言い渡した。政府の答弁書によると、判決は、2人が犯人であることを推認させる間接証拠は存在せず、2人の自白には信用性がなく任意性にも疑問があるとした。判決は6月7日の経過をもって確定した。逮捕から43年余りが経っていた。政府は答弁書で、警察庁は当時所要の捜査が尽くされたと認識しているが再審の無罪判決を厳粛に受け止めているとし、検察当局も捜査・公判活動は適法に行われたと認識しつつ厳粛に受け止めているとした。

録音テープと証拠の不開示

男性の1人は2012年、国と茨城県に損害賠償を求めて提訴した。2019年5月27日、東京地裁は国と県に約7,600万円の支払いを命じた。判決は、警察官が取調べで、事実と異なることを告げるなどの偽計を用いたことを違法と認めた。また、警察官2人は確定審で、取調べの録音テープは1本だけだと繰り返し証言していたが、第2次再審請求審で検察官から別の日のテープが提出され、判決はこれを故意に虚偽の証言をしたものとして違法とした。そのテープには編集の痕跡があったとする鑑定書もあった。さらに判決は、検察官は裁判の結果に影響を及ぼす可能性が明白な手持ち証拠を、被告人に有利か不利かを問わず法廷に出す義務を負うとして、目撃者の初期の供述などを開示しなかったことを違法と判断した。

国家賠償の確定

2021年8月27日、東京高裁は国と県に約7,389万円の支払いを命じ、警察官による取調べだけでなく、検察官による取調べについても違法と認めた。国と県は上告せず、2021年9月に判決が確定した。刑事補償としては、男性1人に対し、逮捕・勾留と服役の計1万629日分について、法律の上限である1日1万2,500円の割合で計算した1億3,286万2,500円が交付された。国会では、取調べの録音・録画や再審での証拠開示をめぐる議論のたびに、布川事件が例として挙げられてきた。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 1967年8月28日
  2. 逮捕 1967年10月10日 +43日
  3. 逮捕 1967年10月23日 +13日
  4. 起訴 1967年12月28日 +66日
  5. 判決 1970年10月6日 +1,013日
  6. 判決 1973年12月20日 +1,171日
  7. 判決 1978年7月3日 +1,656日
  8. 公判 1983年12月23日 +1,999日
  9. 公判 2001年12月6日 +6,558日
  10. 公判 2005年9月21日 +1,385日
  11. 公判 2009年12月14日 +1,545日
  12. 判決 2011年5月24日 +526日
  13. 判決 2011年6月7日 +14日
  14. 判決 2019年5月27日 +2,911日
  15. 判決 2021年8月27日 +823日

経過

  1. 1967年8月28日
    昭和42年

    事件・事故 利根町布川で一人暮らしの男性が殺害される

    遺体の発見は8月30日

  2. 1967年10月10日
    昭和42年

    逮捕 男性の1人を窃盗の別件で逮捕

  3. 1967年10月23日
    昭和42年

    逮捕 2人を強盗殺人の容疑で逮捕

    11月13日に処分保留で釈放

  4. 1967年12月28日
    昭和42年

    起訴 2人を強盗殺人の罪で起訴

  5. 1970年10月6日
    昭和45年

    判決 水戸地裁土浦支部が2人に無期懲役の判決

    水戸地方裁判所土浦支部

  6. 1973年12月20日
    昭和48年

    判決 東京高裁が控訴を棄却

    東京高等裁判所

  7. 1978年7月3日
    昭和53年

    判決 最高裁が上告を棄却

    最高裁判所第二小法廷

  8. 1983年12月23日
    昭和58年

    公判 第1次再審請求

    1992年9月9日に最高裁で棄却

  9. 1996年11月
    平成8年

    その他 2人が仮釈放される

  10. 2001年12月6日
    平成13年

    公判 第2次再審請求

  11. 2005年9月21日
    平成17年

    公判 水戸地裁土浦支部が再審開始を決定

    水戸地方裁判所土浦支部

  12. 2009年12月14日
    平成21年

    公判 最高裁が特別抗告を棄却し再審開始が決まる

    最高裁判所第二小法廷

  13. 2011年5月24日
    平成23年

    判決 再審で2人に強盗殺人の無罪判決

    水戸地方裁判所土浦支部

  14. 2011年6月7日
    平成23年

    判決 再審無罪判決が確定

  15. 2019年5月27日
    令和元年

    判決 国家賠償訴訟で東京地裁が国と県に賠償を命じる

    偽計・偽証・証拠不開示を違法と判断

    東京地方裁判所 (事件番号: 平成24年(ワ)第31999号)

  16. 2021年8月27日
    令和3年

    判決 東京高裁が検察官の取調べも違法と認める

    約7,389万円に変更

    東京高等裁判所 (事件番号: 令和元年(ネ)第3124号)

出典・公的資料

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「布川事件」事件JP、2026年10月27日閲覧。https://jiken.jp/cases/1967-fukawa-case/
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更新履歴

  • 2026年10月15日 初版公開

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