白鳥事件

結末 1963年10月、最高裁が上告を棄却し、日本共産党札幌市委員会の委員長だった男に懲役20年が確定

発生日 1952年1月21日(昭和27年) 1952年(昭和27年)の事件 / 1月21日に起きた事件
経過 発生から74年9か月 1963年10月17日の確定から63年
発生場所 北海道 札幌市南6条西16丁目(現・中央区)付近路上
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 1人  負傷者 0人
  • 事件が変えた法律・制度再審請求を棄却した最高裁決定(白鳥決定)が「疑わしきは被告人の利益に」の原則を再審にも適用すると初めて明示し、その後の再審制度の運用を変えた
  • 冤罪と再審 — 無罪が確定した事件と再審請求有罪が確定し再審請求は退けられたが、その際に最高裁が示した「白鳥決定」(1975年)が、後の再審開始の道を開いた。
1952年(昭和27年)1月21日夜、札幌市(現在の中央区)の路上で、自転車で帰宅途中の札幌市警察本部警備課長・白鳥一雄警部(36歳)が背後から拳銃で撃たれ死亡した。警察は日本共産党による組織的犯行とみて捜査し、同年10月、党札幌市委員会委員長の男を共謀共同正犯として逮捕・起訴した。実行犯とされる党員は国外へ逃亡し逮捕を免れたまま、男は1963年に懲役20年の有罪が最高裁で確定した。1975年、再審請求を棄却した最高裁決定(通称「白鳥決定」)は、再審にも「疑わしきは被告人の利益に」の原則が適用されると初めて明示し、その後の再審制度の運用に大きな影響を与えた。
白鳥事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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事件の経過

1952年(昭和27年)1月21日午後7時42分頃、札幌市南6条西16丁目(現在の中央区)の路上で、自転車に乗って帰宅途中だった札幌市警察本部警備課長の白鳥一雄警部(36歳)が、背後から接近した何者かに拳銃で撃たれ、まもなく死亡した。当時は連合国軍による占領期の末期で、治安情勢が緊張していた時期にあたり、白鳥警部は日本共産党の非公然活動の取り締まりを担当する立場にあったことから、警察は党関係者による組織的犯行とみて捜査を進めた。
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日本共産党員の逮捕・起訴

捜査の結果、同年10月1日、警察は日本共産党札幌市委員会委員長を務めていた男を、実行犯との共謀共同正犯の容疑で逮捕した。実行犯として指名手配された党員らは、1955年頃、日本共産党の密航船で当時国交のなかった中華人民共和国へ不法出国し、逮捕を免れた。逮捕された男は一貫して容疑を否認したが、殺人罪で起訴された。

第一審から最高裁までの経過

1957年、札幌地方裁判所は男に無期懲役の判決を言い渡した。男は控訴し、1960年、札幌高等裁判所は量刑を懲役20年に減刑する判決を言い渡した。男はさらに上告したが、1963年10月17日、最高裁判所は上告を棄却し、懲役20年の判決が確定した。実行犯とされる人物は最後まで逮捕されず、事件の全容は法廷で認定された共謀の構図以上には明らかにならなかった。

再審請求と「白鳥決定」

服役中も男は一貫して無実を訴え、1965年に再審を請求した。男は1969年11月14日に仮釈放された。1975年5月20日、最高裁判所第一小法廷は男の特別抗告を棄却する決定を出したが、この決定は、確定判決後に新たな証拠が見つかった場合の再審開始の可否について、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則を再審請求の審査にも適用すべきであると初めて明示した。この決定は「白鳥決定」と呼ばれ、それまで開かずの扉とされていた再審の門戸を開く画期的な判断として、法曹界で高く評価された。

その後への影響

「白鳥決定」で示された再審の判断基準は、その後、財田川事件・松山事件・島田事件など1980年代に相次いだ死刑再審無罪事件でも援用され、日本の刑事再審制度の運用を大きく変える転換点となったと評価されている。事件そのものの実行犯は特定されず未解決のまま、法理論の面で刑事司法史に大きな足跡を残した事件となった。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 1952年1月21日
  2. 逮捕 1952年10月1日 +254日
  3. 判決 1963年10月17日 +4,033日

経過

  1. 1952年1月21日
    昭和27年

    事件・事故 白鳥一雄警部が拳銃で射殺される

    帰宅途中の路上で背後から拳銃で撃たれ死亡した。

  2. 1952年10月1日
    昭和27年

    逮捕 日本共産党札幌市委員会委員長の男を逮捕

    実行犯との共謀共同正犯の容疑で逮捕された。

  3. 1963年10月17日
    昭和38年

    判決 最高裁判所が上告を棄却し、懲役20年の判決が確定

    第一審は無期懲役、控訴審で懲役20年に減刑されていた。

    最高裁判所

  4. 1975年5月20日
    昭和50年

    その他 最高裁判所が再審請求の特別抗告を棄却(「白鳥決定」)

    再審にも「疑わしきは被告人の利益に」の原則が適用されると初めて明示した。

    最高裁判所

出典・公的資料

一次資料 1件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。

  • 調査報告書
    白取祐司(神奈川大学教授・北海道大学名誉教授)/Web日本評論  2021年8月2日発行  判例時報776号24頁
    最高裁決定(昭和50年5月20日)の内容・法的意義を確認。法学者による判例解説。
  • その他
    ウィキペディア日本語版
    発生日時・場所・被害者・捜査経過・第一審〜最高裁の量刑推移を確認。
  • その他
    ウィキペディア日本語版
    逮捕日・各審級の判決日・再審請求の経過を、事件記事の記載と突き合わせて確認。

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関連する法律用語

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「白鳥事件」事件JP、2026年10月27日閲覧。https://jiken.jp/cases/1952-shiratori-incident/
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更新履歴

  • 2026年9月28日 時代背景の誤り(占領終結直後→占領期の末期)、当時の所在地表記、実行犯とされた党員の出国の時期と方法を訂正し、再審請求の時期と仮釈放を補記
  • 2026年9月1日 初版公開

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