赤報隊事件 通称: 朝日新聞阪神支局襲撃事件

現在 犯人は検挙されず、2003年3月までに一連の事件すべての公訴時効が成立し未解決のまま

発生日 1987年5月3日(昭和62年) 1987年(昭和62年)の事件 / 5月3日に起きた事件
経過 発生から39年5か月
発生場所 兵庫県 西宮市(朝日新聞阪神支局)
種別 テロ・無差別襲撃
状態 未解決 公訴時効早見表で制度を確認できます
被害 死者 1人  負傷者 1人
  • 未解決のまま残る事件警察庁指定事件のうち検挙に至らなかった2件の一つ。報道機関などを狙った一連の事件は、2003年3月までにすべて公訴時効を迎えた。
1987年(昭和62年)5月3日夜、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に男が押し入り、散弾銃で記者2人を撃って1人を殺害、1人に重傷を負わせた事件を中心とする一連の事件。「赤報隊」を名乗る犯人による朝日新聞東京本社・名古屋本社寮への発砲、静岡支局での爆破未遂、リクルート前会長宅への発砲とあわせ、警察庁指定第116号事件とされた。言論機関を狙ったテロとして国会でも取り上げられたが、犯人は検挙されず、2003年3月までにすべての事件の公訴時効が成立した。
赤報隊事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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阪神支局の襲撃

1987年5月3日、憲法記念日の夜8時15分ごろ、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に、目出し帽をかぶり散弾銃を持った男が入ってきた。当時、休日の態勢で2階の編集室には記者3人がいた。男は無言のまま散弾銃を発射し、記者1人が死亡、1人が重傷を負った。国会で国家公安委員長は、男1人が支局内にいた記者2人に散弾銃を発射し、1人を殺害、1人に重傷を負わせたと説明している。兵庫県警察は発生当日に110人の態勢で捜査本部を設け、5月21日の時点では刑事部門と警備部門の合同捜査本部として160人の態勢を組んでいた。5月6日には、「日本民族独立義勇軍別動赤報隊」を名乗る犯行声明文が報道機関に届いた。
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「赤報隊」を名乗る一連の事件

阪神支局の事件の前後にも、朝日新聞を狙った事件が続いた。1987年1月24日夜には東京の朝日新聞東京本社の窓ガラスなどに散弾銃が撃ち込まれていたことが、同年10月になって判明した。9月24日には名古屋市東区にある名古屋本社の社員寮で散弾銃が発射された。1988年3月には静岡支局の駐車場で時限装置付きの爆発物が見つかり、同年8月10日には東京都港区のリクルート前会長宅の玄関に散弾銃が撃ち込まれた。警察庁は1987年9月25日、阪神支局と名古屋本社寮の事件を広域にわたる組織捜査が必要な警察庁指定第116号事件に指定し、その後、東京本社、静岡支局、リクルート前会長宅の事件を順次追加した。指定の対象は、これら5件である。警察白書は、犯行声明文の用紙の形状や紙質、ワープロの機種などから、同一犯人による犯行である可能性が極めて強いとし、襲撃の対象が大手新聞社以外に広がり、犯行がますます大胆で悪質になっていると記している。1988年3月には、当時の首相と前首相に赤報隊名義の脅迫状も送られた。1990年5月17日には名古屋市中村区の愛知韓国人会館で放火事件が起き、赤報隊名義の犯行声明が出されたが、警察白書や政府答弁が挙げる指定事件には含まれていない。

捜査の経過

警察は、使われた散弾が同じものと鑑定されたこと、脅迫状が同じワープロで打たれていたことなどから、一連の事件を同一の犯人またはグループによるものとみて捜査を進めた。1987年11月の国会答弁で警察庁は、捜査の重点として動機の面の捜査、散弾銃の捜査、犯行声明に使われたワープロの捜査、「赤報隊」の解明を挙げたうえで、赤報隊の実態はいまだ把握するに至っていないと述べている。警察庁が指定した事件は24件あり、そのうち被疑者の検挙に至っていないのは、グリコ・森永事件とこの事件の2件だけである。

公訴時効の成立

朝日新聞社の記録によると、阪神支局の事件は2002年5月3日午前0時に公訴時効が成立した。一連の事件のうち最後まで残っていた静岡支局の爆破未遂事件も2003年3月11日午前0時に時効を迎え、すべての事件で犯人を罪に問うことができなくなった。政府は国会で、2003年3月までにこれらすべての事件について公訴時効が成立したと答弁している。殺人などの罪の公訴時効は2010年の法改正で廃止されたが、それ以前に時効が成立したこの事件には適用されない。

言論への暴力として

阪神支局の事件は、報道機関の記者が取材の場で殺害された事件として、社会に大きな衝撃を与えた。国会では、言論機関に対する攻撃は自由と民主主義に対する挑戦だとする質問が相次ぎ、1987年7月の衆議院本会議で中曽根康弘首相は、この事件を極めて反社会性の強い凶悪な犯罪だと答弁した。参議院法務委員会では、日本新聞協会が出した声明も引用されている。朝日新聞社は、この事件を警察庁指定116号事件として社史に記録し、2006年には阪神支局の新しい局舎に事件の資料室を設けた。2004年の刑法改正の国会審議では、参考人がこの事件を例に挙げ、公訴時効の延長に賛意を示している。

その後

時効の成立後も、事件はたびたび国会で取り上げられている。2009年には、週刊誌が「実行犯」を名乗る男性の手記を掲載したが、同誌は同年4月、「ニセ実行犯」にだまされたとする検証記事を掲載した。2024年と2026年の国会でも、警察庁は、この事件が赤報隊を名乗る犯人による一連の事件として警察庁指定第116号事件に指定されたこと、すべての事件で公訴時効が成立したことを改めて説明している。

経過

  1. 1987年1月24日
    昭和62年

    その他 朝日新聞東京本社に散弾銃が撃ち込まれる

    同年10月1日に判明

  2. 1987年5月3日
    昭和62年

    事件・事故 朝日新聞阪神支局で記者2人が撃たれる

    記者1人が死亡、1人が重傷

  3. 1987年5月6日
    昭和62年

    その他 「赤報隊」名義の犯行声明文が報道機関に届く

  4. 1987年9月24日
    昭和62年

    その他 朝日新聞名古屋本社の寮で散弾銃が発射される

    けが人はなし

  5. 1987年9月25日
    昭和62年

    捜査 警察庁指定第116号事件に指定

    阪神支局・名古屋本社寮の2件

  6. 1987年10月3日
    昭和62年

    捜査 東京本社への発砲を116号事件に追加指定

  7. 1988年3月12日
    昭和63年

    その他 朝日新聞静岡支局で時限装置付きの爆発物が見つかる

    3月14日に追加指定

  8. 1988年8月10日
    昭和63年

    その他 リクルート前会長宅に散弾銃が撃ち込まれる

    116号事件に追加指定

  9. 1990年5月17日
    平成2年

    その他 愛知韓国人会館で放火、赤報隊名義の犯行声明

    警察庁の指定事件には含まれない

  10. 2002年5月3日
    平成14年

    その他 阪神支局事件の公訴時効が成立

  11. 2003年3月11日
    平成15年

    その他 静岡支局事件の公訴時効が成立し、一連の事件すべてが時効に

出典・公的資料

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「赤報隊事件」事件JP、2026年10月27日閲覧。https://jiken.jp/cases/1987-sekihotai-case/
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更新履歴

  • 2026年10月12日 初版公開

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