上三川強盗殺人事件 通称: 栃木強盗殺人事件

現在 2026年7月までに指示役とされる夫婦と実行役の少年4人が強盗殺人などの罪で起訴され、主導役とみられる男は国際手配中

この事件は公判中です。 判決が確定していない被告人・被疑者は、有罪判決が確定するまで無罪と推定されます。記述は2026年10月18日時点で確認できた公的資料・報道に基づいており、今後の審理により変わる可能性があります。

発生日 2026年5月14日(令和8年) 2026年(令和8年)の事件 / 5月14日に起きた事件
経過 発生から5か月
発生場所 栃木県 河内郡上三川町(上神主)
種別 強盗
状態 公判中
被害 死者 1人  負傷者 2人
2026年(令和8年)5月14日、栃木県河内郡上三川町の民家に押し入った少年らが住人を襲い、69歳の女性が死亡、同居の息子2人が負傷した事件。実行役は「闇バイト」で集められた犯行当時16歳の少年4人で、事件当日に初めて顔を合わせた者もいた。少年らにアプリの通話で指示を出していたとされる20代の夫婦は強盗殺人などの罪で起訴され、実行役の少年4人も家庭裁判所から検察官送致(逆送)されて全員が起訴された。主導役とみられる男は国外に出国したとみられ、国際手配されている。
上三川強盗殺人事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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事件の経過

2026年5月14日午前9時20分すぎ、栃木県河内郡上三川町上神主の民家に複数の人物が押し入った。住人の69歳の女性は刃物で胸などを20か所以上刺されて死亡し、死因は出血性ショックとされる。同居していた40代の長男と30代の次男もバールのようなもので殴られ、骨折などの重傷を負った。飼い犬も殺されており、のちに動物愛護法違反も罪名に加えられている。 県警は当初から強盗目的の犯行とみて捜査した。犯行は9時23分ごろから28分ごろまでの数分間で行われたとされる。
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実行役はどう集められたか

逮捕された実行役は、いずれも犯行当時16歳で、神奈川県相模原市に住む3人と川崎市に住む1人の計4人だった。供述には「当日初めて会った人もいる」というものが含まれる一方、相模原市の少年の1人は以前から指示役の夫と接点があり、中心的な役割を担っていたとみられている。 少年らはいわゆる「闇バイト」を通じて集められたとされ、一部は「普通のバイトと誘われた」と供述し、犯行の直前に強盗だと知った可能性があると報じられた。少年らは高速道路のサービスエリアで指示役とされる夫婦と落ち合い、そこで凶器を渡されて役割を割り振られたとされる。一部の少年は「やらなければ家族や友達を殺す」と脅されたとも供述している。夫婦は事件当時栃木県内におり、少年側とアプリで通話しながら指示を出していたとみられ、現場では少年の1人がリアルタイムで受けた指示を周囲に伝えていたとされる。 こうした勧誘の構造は、この事件に特有のものではない。警察庁が2023年7月にまとめた広報啓発資料は、少年が「闇バイト」に加担するまでの典型的な流れを、①SNSで「高額報酬」等を検索して応募する、②匿名性の高いアプリを強制的にインストールさせられる、③身分証明書や家族の情報など個人情報を送らされる、④加担を拒めばその個人情報を使って脅される、という段階として整理し、犯行グループが少年を「使い捨て」にする実態を警告していた。

捜査の経緯

事件の前から、現場周辺では4月中旬ごろから不審な人物や車が目撃されており、県警はパトロールを重ねていた。5月6日には、不審な車に乗っていた男が盗品等保管の疑いで逮捕されている。また4月8日には被害女性の次男宅で窃盗があり、被害者宅の住所が記された書類が盗まれていた。犯行グループが事前に被害者側の情報を把握していた可能性が指摘されている。 実行役の少年4人は5月14日から16日にかけて相次いで強盗殺人の疑いで逮捕された。指示役とされる横浜市の20代の夫婦は5月17日、夫が羽田空港で、妻が横浜市内のホテルでそれぞれ身柄を確保された。 一方、グループを主導していたとみられる当時48歳の男については、5月27日に逮捕状が出され、5月29日に公開手配、6月5日に国際手配された。この男は事件の3日後に成田空港から出国し、中国を経由して東南アジアに逃れたとみられている。さらに5月30日には、少年らを勧誘したリクルーター役として、当時18歳の少年が職業安定法違反の疑いで逮捕された。

少年法上の扱いと刑事裁判へ

少年の事件は、成人の刑事事件のように検察官が起訴・不起訴を判断するのではなく、原則としてすべて家庭裁判所に送られる(全件送致主義)。実行役の少年4人も、6月26日に家庭裁判所へ送致された。 ただし少年法は、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた罪について、犯行時16歳以上の少年は原則として検察官に送致しなければならないと定めている(いわゆる原則逆送)。7月16日、横浜家庭裁判所川崎支部は川崎市の少年について検察官送致を決定した。決定の要旨では、この少年は無免許運転による事故の発覚を免れるための示談金を工面しようとして闇バイトに加担したとされる。続いて横浜家庭裁判所も7月21日・22日付で相模原市の少年3人について逆送を決定し、実行役4人全員が逆送された。 逆送された少年4人は、7月24日に1人、30日に1人、31日に残る2人が起訴され、実行役全員が刑事裁判にかけられることになった。罪名は強盗殺人、強盗殺人未遂、住居侵入、動物愛護法違反の4罪で、強盗殺人罪は裁判員裁判の対象となる。指示役とされる夫婦は、これに先立つ6月29日に強盗殺人などの罪で起訴されている。リクルーター役の少年も7月13日に検察官送致され、7月22日に職業安定法違反の罪で起訴された。 なお、犯行時に少年だった被告人については、少年法が本人と推知できる報道を禁じているため、公判が始まったあとも実名や写真は報じられない。

闇バイト強盗と制度的な背景

警察庁は、暴力団のように構成員がはっきりした従来型の犯罪組織とは異なり、SNSや求人サイトを通じて緩やかに結びついたメンバーが役割を細分化し、その都度入れ替わりながら犯罪を実行する集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置づけている。2024年の警察白書はこれを特集に据え、2023年1月の狛江市の強盗殺人事件をはじめ広域的な強盗事件が相次いだこと、実行犯がSNSや求人サイトで募集され、匿名性の高い通信手段で指示役とやり取りしていたことを指摘した。同白書によれば、この手口によるとみられる強盗・窃盗などの事件は、2021年9月から2024年3月までに22都道府県で78件発生している。 政府も対策を重ねてきた。2023年3月には「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」が決定され、2024年12月17日の犯罪対策閣僚会議では「いわゆる『闇バイト』による強盗事件等から国民の生命・財産を守るための緊急対策」がまとめられた。この緊急対策は、募集広告に募集者の氏名・住所・連絡先や業務内容、就業場所、賃金の表示がない場合は職業安定法違反にあたることを通知で明確化すること、プラットフォーム事業者に削除基準へ反映させること、そして捜査員が身分を秘して募集に応じる「仮装身分捜査」を早期に実施することなどを掲げている。本件でリクルーター役の少年に適用されたのも職業安定法違反である。 警察庁の集計では、仮装身分捜査は2025年中に13件実施され、強盗予備で1件2人、詐欺未遂で3件3人を検挙し、これらを含む7件の被害を未然に防いだとされる。それでも本件のように、面識のない少年が短期間で集められ、死者を出す犯行に至る事例は防ぎきれていない。実行役が逮捕されても、指示役の上位にいる人物が国外にいるため全容の解明が難しいという構図も、この事件で改めて示された。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2026年5月14日
  2. 逮捕 2026年5月16日 +2日
  3. 逮捕 2026年5月17日 +1日
  4. 逮捕 2026年5月30日 +13日
  5. 起訴 2026年6月29日 +30日
  6. 起訴 2026年7月31日 +32日

経過

  1. 2026年5月14日
    令和8年

    事件・事故 上三川町の民家に押し入り住人3人を殺傷

    69歳の女性が死亡し、同居の息子2人が重傷を負った。飼い犬も殺された。

  2. 2026年5月16日
    令和8年

    逮捕 実行役の少年4人を強盗殺人の疑いで逮捕

    5月14日から16日にかけて、犯行当時16歳の少年4人が相次いで逮捕された。

  3. 2026年5月17日
    令和8年

    逮捕 指示役とされる20代の夫婦の身柄を確保

    夫は羽田空港で、妻は横浜市内のホテルで確保された。

  4. 2026年5月30日
    令和8年

    逮捕 リクルーター役の少年を職業安定法違反の疑いで逮捕

    当時18歳の少年が、実行役の少年らを勧誘したとして逮捕された。

  5. 2026年6月5日
    令和8年

    捜査 主導役とみられる男を国際手配

    5月27日に逮捕状が出され、5月29日の公開手配を経て国際手配された。事件後に出国したとみられている。

  6. 2026年6月26日
    令和8年

    その他 実行役の少年4人を家庭裁判所に送致

    少年事件の全件送致主義に基づき、家庭裁判所に送致された。

  7. 2026年6月29日
    令和8年

    起訴 指示役とされる夫婦を強盗殺人などの罪で起訴

    宇都宮地方検察庁

  8. 2026年7月16日
    令和8年

    その他 川崎市の実行役の少年について検察官送致(逆送)を決定

    横浜家裁も7月21日・22日付で相模原市の少年3人の逆送を決定し、実行役4人全員が逆送された。

    横浜家庭裁判所川崎支部

  9. 2026年7月31日
    令和8年

    起訴 実行役の残る少年2人を起訴し、4人全員が刑事裁判へ

    7月24日と30日に各1人が起訴されていた。罪名は強盗殺人、強盗殺人未遂、住居侵入、動物愛護法違反の4罪で、強盗殺人罪は裁判員裁判の対象となる。

    宇都宮地方検察庁

出典・公的資料

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「上三川強盗殺人事件」事件JP、2026年10月27日閲覧。https://jiken.jp/cases/2026-kaminokawa-robbery-murder/
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更新履歴

  • 2026年10月1日 事実精度監査:実行役4人が互いに面識がなかったとの記述を訂正(1人は指示役と接点あり)、出典で確認できない逃走状況・車両名義・アプリの仕様の記述を削除、指示役夫婦の所在と指示の方法を報道に基づき修正、逆送と起訴の日付を少年ごとに整理
  • 2026年8月25日 初版公開

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