大船渡市林野火災 通称: 大船渡市山林火災

発生日 2025年2月26日(令和7年) 〜 2025年4月7日 2025年(令和7年)の事件 / 2月26日に起きた事件
経過 発生から1年8か月
発生場所 岩手県 大船渡市(赤崎町合足・三陸町綾里ほか)
種別 災害
状態 終結
被害 死者 1人  負傷者 0人
  • 事故・災害が変えた安全対策昭和39年以降最大の約3,370ヘクタールを焼いた林野火災。消防庁は火災予防条例(例)を改正して林野火災注意報を創設し、2026年1〜3月には全国の多くの市町村で発令された。
2025年(令和7年)2月26日、岩手県大船渡市赤崎町合足で発生した林野火災。記録的な少雨と強風の中で三陸町綾里や赤崎町に燃え広がり、延焼範囲は約3,370ヘクタールと昭和39年以降で最大となった。死者1人、住家90棟を含む226棟が焼損し、避難指示の対象は最大1,896世帯・4,596人に及んだ。3月9日に鎮圧、4月7日に鎮火。消防庁長官の火災原因調査は出火箇所を敷地と山林の境界付近と推定したが、発火源の特定には至らなかった。この火災を受けて消防庁は火災予防条例(例)を改正し、林野火災注意報を創設した。
大船渡市林野火災を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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発生と延焼の経過

2025年2月26日13時02分、大船渡地区消防組合消防本部が大船渡市赤崎町合足地内の林野火災を覚知した。出火時刻は特定されていない。火は八ヶ森へ燃え広がり、13時40分ごろには大量の濃い煙が上がった。14時には火の粉が八ヶ森山頂から約2キロ東の田浜地区へ達し、集落内だけで少なくとも3か所で飛び火が起きた。15時ごろに岩手県防災航空隊が観測した延焼範囲は東西約7キロ、周囲長約30キロに及び、覚知から約2時間で延焼範囲は600ヘクタール以上に達した。綾里港地区では15時25分ごろ以降、少なくとも9件の飛び火による建物火災が起きている。2月28日には南風を受けて北へ延焼範囲が広がった。出火から7日目の3月5日に26.5ミリの雨が降り、これは1月26日以来38日ぶりの0.5ミリを超える雨だった。火災は3月9日17時に鎮圧、4月7日17時30分に鎮火した。なお、大船渡市では2月19日にも三陸町綾里で別の林野火災が起きており(約324ヘクタール、2月25日鎮圧)、約3,370ヘクタールという延焼範囲にはこの火災の分は含まれない。
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被害

延焼範囲は約3,370ヘクタールで、消防庁は昭和39年以降で最大の林野火災としている。焼損した建物は住家90棟(うち全焼54棟)、住家以外136棟(うち全焼121棟)の計226棟。死者は1人(90代の男性、焼死)で、負傷者はいなかった。避難指示の対象は最大で1,896世帯・4,596人に及び、避難所に身を寄せた人は最大1,249人にのぼった。避難指示は3月10日までにすべて解除され、避難所は5月30日にすべて閉鎖された。岩手県のまとめでは、森林の被害額は約59億3,900万円(2025年10月28日確定)、森林以外の農林水産業や商工業などの被害は計約39億4,291万円(8月22日時点)で、漁業の定置網やアワビなども被害に含まれる。

気象条件と出火原因の調査

出火前の大船渡は記録的な少雨だった。2月の月降水量は2.5ミリ(平年比6%)で、2月としての最少記録を更新した。出火前の31日間に0.5ミリを超える降水はなく、直前の8日間は降水が観測されていない。乾燥注意報は2月18日から3月4日まで出続け、出火当日の13時30分には大船渡のアメダスで最大瞬間風速18.1メートルを記録している。消防庁は消防法第35条の3の2に基づく消防庁長官の火災原因調査を行い、3月17日から19日には消防研究センターと予防課の職員が現地で調査した。報告書は、出火箇所を敷地と山林の境界付近にある、焼損の著しい切り株の付近と推定した。電気設備や配線、灰の処理、たき火については痕跡が認められず、これらによる出火の可能性はないとし、不審人物の目撃情報もないとしている。出火箇所から20メートルほど離れた場所に薪ストーブの煙突があり、当日は建物内でそのストーブが使われていた。報告書は、煙突の火の粉による出火の可能性はほかと比べて相対的に高いとしつつ、具体的な発火源、出火に至る経過、着火物の特定には至らないと結論づけた。

消火活動と政府の対応

2月26日15時34分、岩手県知事が消防庁長官に緊急消防援助隊の出動を要請した。最終的に15都道県から2,454隊・9,136人の緊急消防援助隊が出動し、地元の消防本部・消防団を含めて1日あたり最大約2,100人の体制で消火に当たった。自衛隊はCH-47ヘリコプター(最大8機)などで空中消火を行い、最大時は11機の体制で活動した。政府は2月27日0時に官邸に情報連絡室を設け、28日9時に官邸対策室へ改め、同日17時30分には関係閣僚会議を開いた。岩手県は2月26日に大船渡市に災害救助法を適用し、3月6日には被災者生活再建支援法の適用が報告された。さらに、2月19日の火災を含む大船渡市の災害は局地激甚災害に指定され、政令は3月25日に閣議決定、28日に公布・施行された。

林野火災注意報の創設

消防庁と林野庁は2025年4月11日から6回にわたり「大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会」を開き、8月26日に報告書を公表した。これを受けて消防庁は8月29日、火災予防条例(例)を改正し、新たに林野火災注意報を創設するとともに、林野火災警報の的確な発令や、たき火を届出の対象として明確にすることなどを市町村に求めた。林野火災注意報の発令指標の例は、前3日間の合計降水量が1ミリ以下であることに加え、前30日間の合計降水量が30ミリ以下であるか、乾燥注意報が出ている場合とされた。気象庁も2026年1月から、記録的な少雨のときに出す「少雨に関する気象情報」で林野火災を明示して注意を呼びかけることにした。消防庁は国会で、2026年4月1日時点で全国の約9割の消防本部等で火災予防条例が改正・施行されたと答弁し、2026年1月から3月までに林野火災警報は36都道府県の496市町村で、林野火災注意報は44道府県の1,017市町村で発令されたと説明している。

経過

  1. 2025年2月26日
    令和7年

    事件・事故 赤崎町合足で林野火災が発生

    13時02分覚知。延焼範囲は約3,370ヘクタール、死者1人、226棟が焼損。

  2. 2025年3月6日
    令和7年

    その他 被災者生活再建支援法の適用

  3. 2025年3月9日
    令和7年

    その他 鎮圧

    17時00分。避難指示は3月10日までにすべて解除。

  4. 2025年3月25日
    令和7年

    その他 局地激甚災害の指定を閣議決定

    政令は3月28日に公布・施行。

  5. 2025年4月7日
    令和7年

    その他 鎮火

    17時30分。

  6. 2025年8月26日
    令和7年

    その他 消防庁・林野庁の検討会が報告書を公表

  7. 2025年8月29日
    令和7年

    その他 火災予防条例(例)を改正し林野火災注意報を創設

    消防庁次長通知とあわせて市町村に通知。

出典・公的資料

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「大船渡市林野火災」事件JP、2026年10月27日閲覧。https://jiken.jp/cases/2025-ofunato-forest-fire/
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更新履歴

  • 2026年10月9日 初版公開

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