福島町ヒグマ事件 通称: 福島町ヒグマ人身事故

発生日 2025年7月12日(令和7年) 2025年(令和7年)の事件 / 7月12日に起きた事件
経過 発生から1年3か月
発生場所 北海道 松前郡福島町
種別 事故
状態 終結
被害 死者 1人
2025年7月12日の未明、北海道松前郡福島町三岳の住宅地で、新聞配達をしていた52歳の男性がヒグマに襲われて死亡した事故。北海道は同じ日、制度をつくってから初めての「ヒグマ警報」を町の全域に出した。加害個体は7月18日の未明、警察官職務執行法に基づいて銃で捕獲された。オスで、体長208センチ、体重218キロだった。DNA分析の結果、2021年に同じ町で農作業中の女性が死亡した事故の加害個体と同じだとわかった。警報は7月19日に注意報に切り替えられ、のちに解除された。
福島町ヒグマ事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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新聞配達中の未明の事故

北海道ヒグマ対策室の記録によると、事故が起きたのは2025年7月12日の午前2時49分だった。現場は松前郡福島町三岳の住宅地で、民家の敷地の近くだった。被害者は町内に住む52歳の男性で、未明に新聞配達のため、自転車で自宅を出ていた。クマ鈴などの鳴り物は持っていなかった。近くの松前のアメダスでは、降水量は0.0ミリ、風速は5.4メートルだった。ヒグマは男性を近くの草やぶへ連れ去り、その後、草やぶから逃げた。午前4時40分ごろ、男性は草やぶで見つかり、警察が現場で死亡を確認した。町内では3日前の7月9日に3件のヒグマの出没情報があり、翌10日にYahoo!防災速報で注意を呼びかけていた。このヒグマは事故の前から、町内の複数の場所でごみ置き場やコンポストを荒らしていたことが、痕跡から確かめられていた。
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制度で初めてのヒグマ警報

北海道は事故の当日、福島町の全域に「ヒグマ警報」を出した。道の記録は、制度をつくってから初めての警報だったとしている。道内でヒグマによる死亡事故が起きたのは、2023年5月の幌加内町朱鞠内湖、同じ年10月の福島町大千軒岳の事故以来だった。知事は7月17日の定例記者会見で対応を説明した。道はヒグマ対策室と渡島・檜山の両振興局から職員5人を現地に送り、道総研の専門家2人を呼んで箱わなを6基置いた。ハンター6人が加害個体を探し、痕跡を調べた。町は災害対策本部を立ち上げ、防災無線とチラシの全戸配布で住民に注意を呼びかけた。警察や消防と連携し、24時間の見回りも続けた。道の記録によると、町は複数の場所に電気柵と自動撮影カメラを置き、ヒグマが身を隠せる草やぶを刈り払った。町内の学校に通う児童生徒の保護者には、登下校の送り迎えを頼んだ。

加害個体の捕獲

7月18日の未明、ヒグマが町内の住宅の近くの草やぶに現れた。道の記録によると、このヒグマは警察官職務執行法に基づいて銃で捕獲された。北海道新聞は、町内の月崎の住宅街でハンターが猟銃で駆除したと報じた。月崎は、事故現場の三岳とは別の地区である。捕獲されたのはオスで、体長208センチ、体重218キロだった。道は事故の後、被害者の着衣から体毛などを取り、出没した複数の場所でもヒグマの体毛を集めていた。捕獲したヒグマからも体毛などを取ってDNAを調べたところ、すべて同じ個体のもので、捕獲したヒグマと一致した。北海道新聞は7月19日、事故のクマが前日に駆除された個体だとわかったと報じた。道は同じ19日、加害個体が捕獲されたとして、警報を「ヒグマ注意報」に切り替えた。このヒグマは事故の後も、町内のごみ置き場を中心に出没を繰り返していた。道は、ごみに強く執着していたと考えられるとしている。

4年前の死亡事故と同じ個体

DNA分析では、もう一つのことがわかった。このヒグマは、2021年度に福島町で起きた人身事故の加害個体でもあった。道の記録は、過去に人を襲った経験を持っていたとしている。2021年の事故は町内の白符で起きた。77歳の女性が7月1日の朝、農作業のため畑に行くと言って家を出た。女性は翌2日の午前10時22分に見つかり、畑でヒグマに襲われて死亡したとみられた。事故を見た人はおらず、道はこのとき加害個体をオスと記録し、捕獲のため箱わなを置いた。道のヒグマ人身事故一覧では、2021年の事故の欄に、2025年7月12日の事故と同一個体であると書き加えられている。福島町では2023年10月にも、大千軒岳で22歳の男性がヒグマに襲われて死亡した。この事故の加害個体は3歳のオスで、本件とは別の個体である。町内では5年の間に、ヒグマによる死亡事故が3件起きたことになる。

警報の見直しと解除

7月17日の会見では、事故の前に注意報を出すことについて、道と町の間で相談がなかったのかが問われた。知事は、このこと自体をしっかり検証し、注意報や警報に生かしていかなければならないと答えた。発出の基準を翌日に道内の179市町村へ改めて知らせ、現場の声を聞きながら今後のあり方を考える流れも示された。会見では、警報の期間が1カ月程度で、必要に応じて延長するとされている点も質問に出た。報道によると、福島町議会は7月18日、クマ対策の費用などを含む2,800万円の補正予算を可決した。北海道新聞によると、道は8月12日、福島町の全域に出していたヒグマ注意報を解除した。町内の住宅街で目撃がなくなったためで、郊外や近くの自治体では出没が続いていた。事故から1年後の2026年7月10日、町は緊急銃猟を想定した訓練を初めて行い、関係者46人がクマの発見から駆除までの連絡や行動を確かめた。

住宅地での駆除と全国の被害

本件の駆除は、警察官職務執行法に基づいて行われた。当時の鳥獣保護管理法は、住居が集まる地域などでの銃猟を禁じていた(第38条)。環境省の資料によると、現に危険があるときは、警察官職務執行法による命令や刑法の緊急避難によって、応急的に銃猟をしていた。2025年の通常国会では改正鳥獣保護管理法が成立し、市町村長の判断で、委託を受けた捕獲者が人の日常生活圏で銃猟をする「緊急銃猟」の制度ができた。施行は2025年9月1日で、本件の時点では施行前だった。2025年度は、クマによる人身被害が全国で相次いだ。環境省の速報値では、全国で216件、被害者238人、うち死亡13人だった。北海道は5件、6人、うち死亡2人で、死亡の2件は本件と、8月に斜里町の羅臼岳で登山者が亡くなった事故である。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2021年7月2日
  2. 事件・事故 2025年7月12日 +1,471日

経過

  1. 2021年7月2日
    令和3年

    事件・事故 福島町白符で農作業中の77歳女性がヒグマに襲われ死亡

    7月1日朝に外出し、2日に発見。のちに本件と同一個体と判明

  2. 2025年7月10日
    令和7年

    その他 町内の出没情報を受け、防災速報で注意を呼びかけ

    前日の7月9日に出没情報3件

  3. 2025年7月12日
    令和7年

    事件・事故 新聞配達中の52歳男性がヒグマに襲われ死亡

    午前2時49分、福島町三岳の住宅地

  4. 2025年7月12日
    令和7年

    その他 北海道が福島町全域に制度初のヒグマ警報を発出

    職員派遣、箱わな6基を設置

  5. 2025年7月17日
    令和7年

    その他 知事が定例記者会見で事故への対応を説明

  6. 2025年7月18日
    令和7年

    その他 加害個体を警察官職務執行法に基づき銃で捕獲

    オス、体長208センチ、体重218キロ

  7. 2025年7月19日
    令和7年

    その他 ヒグマ警報を注意報に切り替え

    駆除した個体が事故の加害個体と判明したと報道

  8. 2025年8月12日
    令和7年

    その他 福島町のヒグマ注意報を解除

    北海道新聞の報道による

  9. 2025年9月1日
    令和7年

    その他 改正鳥獣保護管理法が施行され、緊急銃猟制度が始まる

  10. 2026年7月10日
    令和8年

    その他 福島町で緊急銃猟を想定した初の訓練

    関係者46人が参加

出典・公的資料

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「福島町ヒグマ事件」事件JP、2026年10月27日閲覧。https://jiken.jp/cases/2025-fukushima-town-brown-bear-attack/
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更新履歴

  • 2026年10月16日 初版公開

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