うるま市女性殺害事件 通称: 米軍属女性暴行殺人事件

結末 2018年10月、元米海兵隊員の男が上告せず、殺人と強姦致死などの罪による無期懲役(求刑も無期懲役)が確定した

発生日 2016年4月28日(平成28年) 2016年(平成28年)の事件 / 4月28日に起きた事件
経過 発生から10年6か月 2018年10月5日の確定から8年
発生場所 沖縄県 うるま市
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 1人
  • 事件が変えた法律・制度事件を受け、日米両政府が日米地位協定上の軍属の範囲を明確にする補足協定(2017年署名・発効)を結んだ。
2016年4月28日夜、沖縄県うるま市でウォーキング中の20歳の会社員女性が、嘉手納基地で軍属として働いていた元米海兵隊員の男に襲われて殺害され、遺体を恩納村の雑木林に遺棄された事件。男は殺人・強姦致死・死体遺棄の罪で起訴され、那覇地裁の裁判員裁判で無期懲役の判決を受けて、2018年10月に確定した。事件を受けて沖縄県議会は初めて在沖米海兵隊の撤退を求め、日米両政府は2017年1月、日米地位協定上の軍属の範囲を明確にする補足協定を結んだ。
うるま市女性殺害事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)

行方不明と遺体の発見

2016年4月28日夜、沖縄県うるま市に住む20歳の会社員の女性が、ウォーキングに出たまま行方が分からなくなった。琉球新報によると、女性のスマートフォンの発信記録は、4月29日午前2時40分ごろ、うるま市州崎周辺で途絶えていた。 5月19日、沖縄県警は、元米海兵隊員で嘉手納基地内の会社に勤める32歳の男を、死体遺棄の疑いで逮捕した。男の供述に基づいて、恩納村安富祖の県道104号沿いの雑木林で女性の遺体が見つかった。うるま市議会の抗議決議は、4月28日から行方不明になっていた市在住の20歳の女性が、5月19日に恩納村の雑木林で遺体となって発見されたと記している。

加害者の身分と捜査

男は事件当時、基地内でインターネット関連の事業をする会社に勤めており、日米地位協定上の「軍属」の身分にあった。琉球新報によると、公務外の犯行で、男は基地の外に住んでいて日本側が先に身柄を確保したため、起訴前の身柄の引き渡しなど、地位協定をめぐる問題は生じなかった。男と女性に接点はなかった。 男は逮捕の翌日から供述を拒んだ。県警は、うるま市州崎の水路の川底から女性の自宅の鍵や、犯行に使われたとみられる棒を見つけた。朝日新聞によると、男は遺体を運んだスーツケースを米軍基地のキャンプ・ハンセンで捨てたと供述しており、県警は基地内で証拠隠滅を図った可能性があるとみていた。 那覇地検は6月9日、男を死体遺棄の罪で起訴した。県警は同じ日に殺人と強姦致死の疑いで再逮捕し、地検は6月30日、両罪で追起訴した。日本経済新聞によると、起訴状は、男が4月28日午後10時ごろ、うるま市の路上にいた女性を乱暴目的で襲って殺害したとしている。

管轄移転請求と一審判決

弁護側は、反基地感情が高まっていて公平な裁判ができないとして、審理を東京地裁に移すよう求めた。最高裁第二小法廷は2016年8月1日、大々的に報道され、地元の住民から裁判員を選ぶことになるといった事情は「裁判の公平を維持することができない虞があるとき」に当たらないとして、請求を棄却した。 那覇地裁の裁判員裁判は2017年11月16日に始まった。男は強姦致死と死体遺棄の罪を認め、「殺すつもりはなかった」と殺人罪を否認した。検察は「極めて残酷で身勝手な犯行だ」として無期懲役を求刑した。 12月1日、那覇地裁は殺人罪の成立を認め、求刑どおり無期懲役を言い渡した。琉球新報によると、判決は、男が女性の後頭部を打撃棒で殴り、首を絞め、ナイフで首の後ろ側を刺したと認定し、殺意があったと判断した。判決は「被害者には、何の落ち度もない」と述べた。遺族は極刑を求めていた。

控訴棄却と刑の確定

被告側は控訴した。福岡高裁那覇支部は2018年9月20日、殺人罪の成立を認めた一審判決を支持し、控訴を棄却した。 男は最高裁に上告しなかった。琉球新報(英語版)によると、10月4日の上告期限を過ぎ、10月5日午前0時に無期懲役が確定した。 裁判とは別に、那覇地裁は2018年1月、損害賠償命令の制度に基づき、男に遺族への賠償を命じた。朝日新聞によると、男には支払い能力がなく、米国政府も、男が米軍に直接雇われていなかったことを理由に負担しない方針だった。日本政府は、地位協定に基づく補償の対象には間接雇用の人も含まれるとの立場を国会で示した。沖縄タイムスによると、日米両政府は2018年7月11日付で、沖縄防衛局を通じて遺族に見舞金を支払った。金額は明らかにされていない。

沖縄の抗議と軍属補足協定

沖縄県議会は2016年5月26日、事件に抗議する意見書を可決し、日米両政府に謝罪と完全な補償、在沖米海兵隊の撤退、日米地位協定の抜本的な改定などを求めた。琉球新報によると、県議会が在沖米海兵隊の撤退を求めたのは、1972年の日本復帰以来初めてだった。6月19日には那覇市で県民大会が開かれ、主催者発表で約6万5千人が参加した。 日米両政府は2016年7月5日、軍属の扱いを見直す共同発表を出し、2017年1月16日、「日米地位協定の軍属に関する補足協定」に署名した。協定は署名の日に発効し、通常日本に住んでいる人を軍属から除く仕組みを強めることなどを定めた。同じ日に日米合同委員会は、軍属を8つの種別に分ける基準に合意した。地位協定そのものは改定されていない。政府は答弁書で、補足協定はこの事件の後に結ばれ、地位協定の軍属の内容を国際約束の形で補足し明確にするものだと説明している。外務省は2018年の国会で、今後は事件の被告と同じような状況の人は軍属に当たらないことで日米が共通の理解をしていると答弁した。 一方で、軍属の数は減っていない。外務省は、2018年10月末時点の軍属を1万1857人と国会で報告した。以前の報告に含まれていなかった人員を米側が数え直したためだと説明している。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2016年4月28日
  2. 逮捕 2016年5月19日 +21日
  3. 起訴 2016年6月9日 +21日
  4. 起訴 2016年6月30日 +21日
  5. 公判 2017年11月16日 +504日
  6. 判決 2017年12月1日 +15日
  7. 判決 2018年9月20日 +293日
  8. 判決 2018年10月5日 +15日

経過

  1. 2016年4月28日
    平成28年

    事件・事故 うるま市でウォーキング中の20歳の女性が襲われ殺害される

    起訴状では午後10時ごろ、うるま市の路上

  2. 2016年5月19日
    平成28年

    逮捕 元米海兵隊員の軍属の男を死体遺棄の疑いで逮捕、恩納村で遺体発見

    供述に基づき恩納村安富祖の雑木林で発見

  3. 2016年5月26日
    平成28年

    その他 沖縄県議会が抗議の意見書を可決し、在沖米海兵隊の撤退を初めて要求

  4. 2016年6月9日
    平成28年

    起訴 那覇地検が死体遺棄罪で起訴、殺人と強姦致死の疑いで再逮捕

  5. 2016年6月19日
    平成28年

    その他 那覇市で県民大会、主催者発表で約6万5千人が参加

  6. 2016年6月30日
    平成28年

    起訴 殺人と強姦致死の罪で追起訴

  7. 2016年7月5日
    平成28年

    その他 日米両政府が軍属の扱いの見直しに関する共同発表

  8. 2016年8月1日
    平成28年

    その他 最高裁が東京地裁への管轄移転の請求を棄却

    公平な裁判が期待し難い事情とはいえないと判断

    最高裁判所第二小法廷 (事件番号: 平成28年(す)第398号)

  9. 2017年1月16日
    平成29年

    その他 日米地位協定の軍属に関する補足協定に署名、同日発効

    地位協定そのものは改定せず、国際約束の形で軍属の範囲を明確化

  10. 2017年11月16日
    平成29年

    公判 那覇地裁で裁判員裁判の初公判、殺人罪を否認

    強姦致死と死体遺棄は認める

    那覇地方裁判所

  11. 2017年12月1日
    平成29年

    判決 那覇地裁が殺意を認め、求刑どおり無期懲役の判決

    那覇地方裁判所

  12. 2018年7月11日
    平成30年

    その他 日米両政府が沖縄防衛局を通じて遺族に見舞金を支払う

    金額は非公表

  13. 2018年9月20日
    平成30年

    判決 福岡高裁那覇支部が控訴を棄却

    一審の無期懲役を支持

    福岡高等裁判所那覇支部

  14. 2018年10月5日
    平成30年

    判決 上告せず、無期懲役が確定

    10月4日の上告期限を過ぎ、5日午前0時に確定

出典・公的資料

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「うるま市女性殺害事件」事件JP、2026年10月28日閲覧。https://jiken.jp/cases/2016-uruma-woman-murder/

更新履歴

  • 2026年10月22日 初版公開

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