奈良小1女児殺害事件

結末 2006年10月、男が控訴を取り下げ、奈良地裁の死刑判決が確定(2013年2月に執行)

発生日 2004年11月17日(平成16年) 2004年(平成16年)の事件 / 11月17日に起きた事件
経過 発生から21年11か月 2006年10月11日の確定から20年
発生場所 奈良県 奈良市(連れ去り現場)・生駒郡三郷町・生駒郡平群町
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 1人
  • 事件が変えた法律・制度性犯罪の前歴者の所在情報を法務省と警察庁が共有する運用が始まった
2004年(平成16年)11月17日午後、奈良市で下校途中の小学1年の女児(当時7歳)が男に車で連れ去られ、生駒郡三郷町の男の自宅で殺害された。遺体は翌18日未明、生駒郡平群町の道路脇の側溝で見つかった。男は女児の携帯電話を使って母親に女児の画像を送り、その後も脅迫メールを送り続けた。同年12月30日に男が逮捕され、2006年9月26日に奈良地方裁判所が死刑を言い渡した。被告人が控訴を取り下げたため同年10月11日に確定し、2013年2月21日に執行された。男に子どもを対象とした性犯罪の前科があったことから、2005年6月、法務省が子ども対象の暴力的性犯罪で服役した者の出所情報を警察に提供する仕組みが始まった。
奈良小1女児殺害事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)

事件の発生

2004年(平成16年)11月17日午後1時50分過ぎ、奈良市学園中の路上で、下校途中だった市立小学校1年の女児(当時7歳)が、車で近づいた男に言葉巧みに誘われて乗車させられ、連れ去られた。男は生駒郡三郷町の自宅マンションに女児を連れ込み、午後3時20分ごろ殺害した。 同日午後8時過ぎ、女児を捜していた母親の携帯電話に、女児の携帯電話から女児の画像とともに「娘はもらった」というメールが届いた。男は遺体を生駒郡平群町まで運んで道路脇の側溝に遺棄し、翌18日午前0時5分ごろ、平群町菊美台の側溝で女児の遺体が発見された。奈良県警察は捜査本部を設置した。その後も男は女児の携帯電話から母親に対し、「次は妹だ」とのメッセージとともに画像を送るなどの脅迫を続けた。

捜査と逮捕

奈良県警察の捜査本部は、女児の携帯電話から発信されたメールや通話の記録を解析するとともに、土地勘のある人物として聞き込みを進めた。その結果、犯行に使われた車両や、男が飲食店で女児の画像を客らに見せていたことなどが判明し、2004年12月30日、生駒郡三郷町に住む男(当時36歳)を逮捕した。男には、女児への強制わいせつ致傷事件などで懲役刑に処された前科があった。 2005年1月19日にわいせつ目的誘拐罪で起訴され、2月9日には殺人、強制わいせつ致死、死体遺棄、死体損壊、脅迫の各罪で追起訴された。 犯行が下校時間帯に起きたこと、犯人が事件後も被害者の家族に接触を続けたこと、そして子どもを対象とした性犯罪の前科がある人物による犯行だったことが、それぞれ別の角度から社会の不安を呼んだ。

裁判の経過

初公判は2005年4月18日に奈良地方裁判所で開かれた。2006年6月5日に検察側が死刑を求刑し、同年9月26日、奈良地方裁判所は死刑を言い渡した。被害者が1人のわいせつ目的の殺人事件で、殺人の前科がない被告人に死刑が言い渡されたことは注目を集めた。判決では、被害者遺族の処罰感情に加え、前科や犯行の計画性が重く見られたとされる。 弁護人は即日控訴したが、被告人は2006年10月10日に自ら控訴を取り下げ、控訴期限の切れた10月11日に死刑が確定した。死刑は2013年(平成25年)2月21日、大阪拘置所で執行された。

通学路の安全をめぐる動き

この事件の後、下校時の子どもの安全をどう守るかが全国的な課題となった。集団下校の徹底、防犯ブザーの配布、地域住民による見守り活動、通学路の危険箇所の点検といった取り組みが各地で広がった。 翌2005年には広島県と栃木県でも下校中の女児が殺害される事件が相次ぎ、政府は同年12月に「犯罪から子どもを守るための対策」をまとめている。学校・家庭・地域・警察が連携して子どもの安全を確保するという枠組みが、この時期に形づくられた。 一方で、見守りの担い手をどう確保し続けるか、地域社会の変化のなかでこの体制を維持できるかという問題は、その後も課題として残っている。

出所情報の共有制度

警察庁などの調査では、2004年中に検挙された子どもを対象とする暴力的な性犯罪の被疑者466人のうち約16%が以前にも同種の性犯罪を犯していた。本件に続き、2005年2月には所在不明の仮釈放者が愛知県で幼児を殺害した事件、同年5月には所在不明の保護観察付執行猶予者が東京都で少女を監禁していた事件が相次いで発覚し、社会の不安が高まった。 これを受けて警察庁と法務省は情報共有の仕組みを整え、2005年(平成17年)6月から、子どもを対象とした暴力的な性犯罪で服役した者の出所予定日や帰住予定先などの出所情報を、法務省が警察に提供する運用が始まった。警察は、出所者の更生や社会復帰を妨げないよう配慮しつつ、この情報を犯罪の予防や捜査の迅速化に活用するとしている。 日本では、一部の国で採用されているような前歴者情報の一般公開は行われていない。前歴者の情報をどこまで共有し、どのように扱うかは、再犯防止の要請と、刑期を終えた者の社会復帰やプライバシーの保護との間で調整を要する問題である。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2004年11月17日
  2. 逮捕 2004年12月30日 +43日
  3. 起訴 2005年2月9日 +41日
  4. 判決 2006年9月26日 +594日
  5. 判決 2006年10月11日 +15日

経過

  1. 2004年11月17日
    平成16年

    事件・事故 奈良市で下校途中の小学1年女児が連れ去られる

    午後1時50分過ぎに連れ去られ、三郷町の犯人宅で殺害された。遺体は翌18日午前0時5分ごろ平群町で発見された。

  2. 2004年12月30日
    平成16年

    逮捕 奈良県警察が男を逮捕

    女児の携帯電話の通信記録の解析や聞き込みから男が浮上した。

  3. 2005年2月9日
    平成17年

    起訴 殺人・強制わいせつ致死・死体遺棄などの罪で起訴

    1月19日のわいせつ目的誘拐罪での起訴に続く追起訴。

    奈良地方裁判所

  4. 2005年6月
    平成17年

    その他 子ども対象・暴力的性犯罪の出所情報を法務省が警察に提供する運用が始まる

    本件など前歴者・所在不明者による事件が相次いだことを受けた措置。

  5. 2006年9月26日
    平成18年

    判決 奈良地方裁判所が死刑を言い渡す

    同年6月5日に検察側が死刑を求刑していた。

    奈良地方裁判所

  6. 2006年10月11日
    平成18年

    判決 被告人の控訴取り下げにより死刑が確定

    弁護人が即日控訴したが、被告人が10月10日に取り下げた。

    奈良地方裁判所

  7. 2013年2月21日
    平成25年

    その他 死刑が執行される

出典・公的資料

一次資料 2件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。

  • 白書・統計資料
    警察庁  2006年7月1日発行
    奈良県内での子ども対象・暴力的性犯罪の前歴者による誘拐殺害事件などを受け、2005年6月から法務省が子ども対象・暴力的性犯罪の出所情報を警察に提供するようになった経緯を確認。
  • 白書・統計資料
    法務省
    性犯罪者処遇プログラムなど、出所者の再犯防止に関する現行の枠組みを確認。
  • その他
    ウィキペディア日本語版
    発生・連れ去り・殺害・遺体発見の日時、犯人の前科、逮捕・起訴の日付、奈良地裁判決と控訴取り下げ・死刑確定、死刑執行日を確認。

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「奈良小1女児殺害事件」事件JP、2026年10月27日閲覧。https://jiken.jp/cases/2004-nara-schoolgirl-murder/

更新履歴

  • 2026年9月29日 事実精度監査:連れ去りの時刻(13時50分過ぎ)と遺体発見日時(18日0時5分)を訂正、脅迫メールの経緯と控訴取り下げの経過を修正、一次資料を本件に言及した警察白書の該当節に差し替え
  • 2026年8月24日 初版公開

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