長崎ストーカー殺人事件 通称: 西海市2女性殺害事件

結末 2016年7月、最高裁が上告を棄却し、一審・二審の死刑が確定した

発生日 2011年12月16日(平成23年) 2011年(平成23年)の事件 / 12月16日に起きた事件
経過 発生から14年10か月 2016年7月21日の確定から10年3か月
発生場所 長崎県 西海市(西彼町風早郷)
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 2人  負傷者 0人
  • 事件が変えた法律・制度3県警の連携の不備が問題となり、警告・禁止命令を出せる警察本部長・公安委員会の範囲を広げた2013年のストーカー規制法改正の背景となった。
2011年(平成23年)12月16日夕方、長崎県西海市西彼町の住宅に、元交際相手の女性へのストーカー行為を続けていた男(当時27歳)が侵入し、女性の母(当時56歳)と祖母(当時77歳)を包丁で刺して殺害した事件。女性の家族は事件前から千葉・三重・長崎の3県警に相談していたが、千葉県警習志野署が傷害の被害届の受理を先送りし、その間に担当者らが北海道旅行に出ていたことが判明し、警察の対応が厳しく批判された。事件は2013年のストーカー規制法改正の背景の一つとなった。男は2016年7月、最高裁で死刑が確定した。
長崎ストーカー殺人事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
スポンサーリンク

事件の経過

2011年(平成23年)12月16日午後6時ごろ、長崎県西海市西彼町風早郷の住宅に男(当時27歳)が窓ガラスを割って侵入し、女性の祖母(当時77歳)を包丁で刺して殺害した。男は隣接する女性の父母方にも立て続けに侵入し、母(当時56歳)も刺して殺害した。 男は三重県桑名市に住む無職で、女性(当時23歳)の元交際相手だった。女性は千葉県習志野市に住んでいたが、男からの暴力を含むストーカー被害を受け、長崎の実家に戻っていた。長崎県警は翌17日、殺人などの疑いで男を逮捕した。
スポンサーリンク

事件前の相談と3県警の対応

女性の父は2011年10月末から12月中旬にかけて、男による女性への暴力を含むストーカー被害を、千葉・三重・長崎の3県警に相談していた。女性の住む地域を管轄する千葉県警習志野署は、12月6日に父が傷害の被害届を出そうとした際、「1週間待ってほしい」と対応を保留した。その直後の12月8日から10日まで、同署の担当者らは2泊3日の北海道旅行に出ていた。事件が起きたのは、被害届の提出を保留されてから10日後だった。 3県警は2012年3月5日に検証結果を公表し、「重大事件に発展する危機意識が不足していた」として遺族に謝罪した。警察白書は、問題点として重大事件に発展する危機意識の不足、警察署での組織的対応の不備、関係県警の連携の不備を挙げている。 しかし検証結果には旅行のことが書かれておらず、同年3月に報道で明らかになった。千葉県警は4月23日に再検証の結果を公表し、旅行は捜査に影響したと認め、「捜査の中心だった刑事課係長が旅行に参加していなければ、より踏み込んだ対応ができた可能性がある」と指摘した。国家公安委員会は同日、千葉県警本部長を訓戒処分とし、警察庁と千葉県警も県警幹部20人を処分した。

裁判

男は住居侵入、殺人、窃盗、傷害、脅迫の罪で起訴された。2013年5月14日に長崎地裁で始まった裁判員裁判の初公判で、男は起訴内容について「否認します」と述べ、無罪を主張した。 長崎地裁は2013年6月14日、求刑どおり死刑を言い渡した。福岡高裁は2014年6月24日、控訴を棄却した。最高裁第一小法廷は2016年7月21日、「種々の客観的証拠等」に基づいて男を犯人と認定した一審判決を是認した原判断は相当だとして、裁判官全員一致で上告を棄却し、死刑が確定した。最高裁の裁判例情報は、この判決を「死刑の量刑が維持された事例(長崎ストーカー殺人事件)」として掲載している。

警察の取り組みとストーカー規制法の改正

警察庁は3県警の検証結果を踏まえ、2012年3月5日に同種事案の再発防止に向けた通達を出し、3月7日には全国会議を開いた。この種の事案は事態が急展開して重大事件に発展するおそれが大きいことを全職員に再認識させ、最初の相談の段階から警告などの措置を積極的にとることを徹底するとした。 2013年(平成25年)には、ストーカー規制法が改正された(平成25年法律第73号、7月3日公布)。警察庁の施行通達は、改正の趣旨として、長崎県西海市で女性2人が殺害された事件で「関係県警察における連携の不備等警察の対応の見直しが必要とされ」たことを、神奈川県逗子市の事件などと並べて挙げている。平成25年版警察白書によれば、改正には西海市の事件の問題点などを踏まえ、警告を行うことができる警察本部長や、禁止命令を出すことができる都道府県公安委員会の範囲の拡大が盛り込まれた。電子メールを繰り返し送る行為を規制対象に加えた部分は、主に逗子市の事件を受けたものである。改正法は、電子メールの規制が7月23日から、その他の部分が10月3日から施行された。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2011年12月16日
  2. 逮捕 2011年12月17日 +1日
  3. 判決 2013年6月14日 +545日
  4. 判決 2014年6月24日 +375日
  5. 判決 2016年7月21日 +758日

経過

  1. 2011年12月6日
    平成23年

    その他 千葉県警習志野署が傷害の被害届の受理を先送り

    「1週間待ってほしい」と保留。8日から10日まで担当者らが北海道旅行に出た

  2. 2011年12月16日
    平成23年

    事件・事故 西海市の住宅で女性の母と祖母が刺殺される

    死者2人。元交際相手の男が住宅に侵入

  3. 2011年12月17日
    平成23年

    逮捕 長崎県警が元交際相手の男を殺人などの疑いで逮捕

  4. 2012年3月5日
    平成24年

    その他 3県警が検証結果を公表し謝罪、警察庁が再発防止の通達

    危機意識の不足、組織的対応と県警間の連携の不備を認めた

  5. 2012年4月23日
    平成24年

    その他 千葉県警が再検証結果を公表、本部長を訓戒処分

    署員の旅行が捜査に影響したと認めた。県警幹部20人も処分

  6. 2013年6月14日
    平成25年

    判決 長崎地裁(裁判員裁判)が求刑通り死刑を言い渡す

    被告は無罪を主張していた

    長崎地方裁判所

  7. 2013年7月3日
    平成25年

    その他 改正ストーカー規制法が公布される

    警告・禁止命令を出せる警察本部長・公安委員会の範囲を拡大。7月23日・10月3日に施行

  8. 2014年6月24日
    平成26年

    判決 福岡高裁が控訴を棄却

    一審の死刑判決を維持

    福岡高等裁判所

  9. 2016年7月21日
    平成28年

    判決 最高裁が上告を棄却し、死刑が確定

    裁判官全員一致

    最高裁判所第一小法廷 (事件番号: 平成26年(あ)第1160号)

出典・公的資料

一次資料 4件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。

さらに調べるには

資料の探し方や引用の書き方は調べ学習・レポートでの使い方にまとめています。

関連する法律用語

この記事を引用する

レポート・記事などで本ページを参照する際は、以下の表記をご利用ください。一次資料までたどる方法は調べ学習・レポートでの使い方をご覧ください。

「長崎ストーカー殺人事件」事件JP、2026年10月28日閲覧。https://jiken.jp/cases/2011-nagasaki-stalker-murders/
スポンサーリンク

更新履歴

  • 2026年10月24日 初版公開

本ページは公的資料に基づいて作成しています。情報の誤りにお気づきの場合や、掲載内容の削除・訂正のご依頼は お問い合わせ・削除依頼よりご連絡ください。