桶川ストーカー殺人事件 通称: 桶川ストーカー事件

結末 2006年9月、指示役とされた男の無期懲役が最高裁で確定。実行役ら3人にも懲役15〜18年の判決

発生日 1999年10月26日(平成11年) 1999年(平成11年)の事件 / 10月26日に起きた事件
経過 発生から27年 2006年9月5日の確定から20年1か月
発生場所 埼玉県 桶川市
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 1人
  • 事件が変えた法律・制度つきまとい行為の危険性と警察対応の不備が問われ、ストーカー規制法(2000年成立)の直接の契機となった。
1999年(平成11年)10月26日、埼玉県桶川市のJR桶川駅前で女子大学生が、元交際相手の関係者らによって刺殺された事件。被害者は事件前から執拗な嫌がらせを受け上尾警察署に相談していたが対応は不十分で、事件後には捜査資料の改ざんも発覚し、警察の対応の問題が社会問題化した。この事件を契機に、2000年にストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)が制定された。
桶川ストーカー殺人事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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事件の経過

被害者は埼玉県上尾市に住む当時21歳の女子大学生で、交際していた男性に別れを告げたのち、男性とその関係者から執拗な嫌がらせを受けるようになった。自宅付近には被害者を中傷するビラが多数貼られた。被害者と家族は1999年6月に上尾警察署へ被害を申告し、7月には名誉毀損で告訴したが、同署は本格的な捜査に乗り出さなかった。同年10月26日午後0時50分ごろ、被害者はJR高崎線桶川駅西口前で待ち伏せしていた男に刃物で刺され、死亡した。
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警察対応の問題と改ざん発覚

平成12年版警察白書によれば、上尾警察署は1999年6月の被害申告の時点から、被害者らの訴えに対して不適切な発言と消極的な対応を繰り返したうえ、捜査書類を偽造・変造していた。告訴調書の改ざんなどは2000年4月に発覚し、埼玉県警は同月6日に調査報告を公表した。同月、上尾署の刑事第二課長ら3人が懲戒免職となり、県警本部長や上尾署長らの幹部も減給などの処分を受けた。3人は虚偽有印公文書作成・同行使の罪で起訴され、2000年9月7日、懲役1年2か月〜1年6か月(いずれも執行猶予3年)の有罪判決を受けた。国会でも取り上げられ、2000年4月18日の衆議院地方行政委員会で国家公安委員長は、本件の反省点を具体的に整理して全国の警察に示す方針を答弁した。警察白書は本件を、同時期に相次いだ新潟県警や神奈川県警の不祥事とともに、国民の信頼を損なった事案として挙げている。

ストーカー規制法の制定

本件は、つきまといや嫌がらせが凶悪犯罪に発展する危険と、それを初期段階で取り締まる法律がないという問題を浮き彫りにした。2000年5月18日、議員立法による「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(平成12年法律第81号)が成立し、同年11月24日に施行された。同法はその後、2013年(平成25年法律第73号)、2016年(平成28年法律第102号)、2021年(令和3年法律第45号)、2025年(令和7年法律第83号)と改正を重ね、電子メールやSNSを使ったつきまとい、GPS機器や紛失防止タグによる位置情報の無断取得などが規制対象に加えられてきた。

実行犯グループの裁判の経過

1999年12月19日から20日にかけて、被害者を刺した実行役ら4人が殺人容疑で逮捕された。実行役の特定では、写真週刊誌の独自取材が先行し、その情報が県警に伝わって逮捕につながったとされる。元交際相手の男性は、逃亡先の北海道で2000年1月27日に屈斜路湖で遺体となって見つかり、警察は自殺と断定した。実行役ら4人はさいたま地方裁判所で審理され、2001年7月17日に実行役へ懲役18年、見張り役へ懲役15年、2002年6月27日に運転役へ懲役15年、同年12月25日に指示役とされた元交際相手の兄へ無期懲役の判決がそれぞれ言い渡された。兄は殺意を否認して控訴したが、2005年12月20日に東京高裁が控訴を棄却し、2006年9月5日に最高裁も上告を棄却して刑が確定した。兄はその後も冤罪を訴えて再審を請求し、実行役が服役中に書いた「兄に頼まれたというのはうそだった」とする手記を新証拠として提出したが、さいたま地裁は2026年5月29日に請求を棄却した。弁護側は即時抗告したと報じられている。

遺族による国家賠償訴訟

遺族は2000年12月、埼玉県を相手に国家賠償を求めて提訴した。さいたま地方裁判所は2003年2月26日、上尾署の捜査怠慢を違法と認め、警察が適正な捜査で守ってくれるという被害者側の期待と信頼を侵害したとして県に慰謝料500万円などの支払いを命じたが、捜査怠慢と殺害との因果関係は認めなかった。2005年1月に東京高裁も双方の控訴を棄却し、2006年8月30日に最高裁が上告を退けて確定した。遺族は、県警が事件後に捜査怠慢を認める調査報告書を作り、県警本部長が遺族宅を訪れて謝罪しながら、裁判ではその報告書の意味を否定したと述べ、判決を強く批判している。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 1999年10月26日
  2. 逮捕 1999年12月19日 +54日
  3. 判決 2000年9月7日 +263日
  4. 判決 2001年7月17日 +313日
  5. 判決 2002年6月27日 +345日
  6. 判決 2002年12月25日 +181日
  7. 判決 2003年2月26日 +63日
  8. 判決 2005年12月20日 +1,028日
  9. 判決 2006年8月30日 +253日
  10. 判決 2006年9月5日 +6日

経過

  1. 1999年6月
    平成11年

    その他 被害者と家族が上尾警察署に被害を申告

  2. 1999年7月
    平成11年

    その他 名誉毀損で告訴

  3. 1999年10月26日
    平成11年

    事件・事故 JR桶川駅前で女子大学生が刺殺される

  4. 1999年12月19日
    平成11年

    逮捕 実行役ら4人を殺人容疑で逮捕

    19日から20日にかけて逮捕

  5. 2000年1月27日
    平成12年

    その他 元交際相手が北海道・屈斜路湖で遺体で見つかる

    警察は自殺と断定

  6. 2000年4月6日
    平成12年

    捜査 埼玉県警が調査報告を公表、上尾署員3人を懲戒免職

    告訴調書の改ざんなどが発覚

  7. 2000年5月18日
    平成12年

    その他 ストーカー規制法が成立

  8. 2000年9月7日
    平成12年

    判決 元上尾署員3人に有罪判決

    虚偽有印公文書作成・同行使。いずれも執行猶予3年

  9. 2000年11月24日
    平成12年

    その他 ストーカー規制法が施行

  10. 2001年7月17日
    平成13年

    判決 実行役に懲役18年、見張り役に懲役15年

    さいたま地方裁判所

  11. 2002年6月27日
    平成14年

    判決 運転役に懲役15年

    さいたま地方裁判所

  12. 2002年12月25日
    平成14年

    判決 指示役とされた元交際相手の兄に無期懲役

    さいたま地方裁判所

  13. 2003年2月26日
    平成15年

    判決 国家賠償訴訟で県に賠償命令

    捜査怠慢の違法を認めたが、殺害との因果関係は否定

    さいたま地方裁判所

  14. 2005年12月20日
    平成17年

    判決 東京高裁が兄の控訴を棄却

    東京高等裁判所

  15. 2006年8月30日
    平成18年

    判決 国家賠償訴訟が最高裁で確定

    遺族の上告を退ける

    最高裁判所

  16. 2006年9月5日
    平成18年

    判決 兄の無期懲役が最高裁で確定

    最高裁第二小法廷が上告を棄却

    最高裁判所

  17. 2026年5月29日
    令和8年

    その他 さいたま地裁が兄の再審請求を棄却

    弁護側は即時抗告したと報じられている

    さいたま地方裁判所

出典・公的資料

一次資料 5件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。

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「桶川ストーカー殺人事件」事件JP、2026年10月31日閲覧。https://jiken.jp/cases/1999-okegawa-stalker-murder/
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更新履歴

  • 2026年9月27日 警察白書・国会会議録等の一次資料に基づき警察対応の経緯を加筆、国家賠償訴訟と再審請求棄却(2026年5月)を追記、年表の誤りを訂正
  • 2026年7月12日 本文を増補(「実行犯グループの裁判の経過」セクションを追加)
  • 2026年7月11日 初版公開

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