金丸事件 通称: 金丸信脱税事件

結末 1996年3月、元副総裁が公判中に死去し公訴棄却。秘書には懲役2年4か月・執行猶予4年・罰金7000万円の有罪判決が確定

発生日 1993年3月6日(平成5年) 1993年(平成5年)の事件 / 3月6日に起きた事件
経過 発生から33年7か月
発生場所 東京都 千代田区(東京地検特捜部)
種別 汚職・政治事件
状態 判決確定
1993年(平成5年)3月6日、自民党元副総裁・金丸信氏が秘書とともに所得税法違反(脱税)容疑で東京地検特捜部に逮捕された事件。ゼネコンなどから供与された資金で無記名の割引金融債券を買って隠す方法により、3年分で約10億4000万円の所得税を免れたとして起訴され、政治改革論議を加速させた。
金丸事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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事件の経過

1993年3月6日、東京地方検察庁特捜部は、自民党最大派閥・経世会(竹下派)の会長を務めていた金丸信元副総裁と、秘書の生原正久氏を、所得税法違反(脱税)容疑で逮捕した。金丸氏は前年、東京佐川急便からの5億円にのぼる闇献金が発覚し、政治資金規正法違反で略式起訴されていたが、その際の罰金がわずか20万円にとどまったことに世論の強い批判が集まっていた。
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巨額の使途不明金

法務省刑事局長の国会報告によれば、東京地検は東京佐川急便事件の捜査の過程で、金丸氏が巨額の無記名割引金融債券を保有し、秘書の生原正久氏も相当額を蓄財している事実を把握して内偵捜査を進めた。3月6日の逮捕と同時に東京国税局と共同で事務所などを捜索し、金丸氏に帰属する日本債券信用銀行のワリシンや日本興業銀行のワリコーなど割引金融債券約35億円分と、生原氏に帰属するワリシン約6億円分を押収した。その後も大手総合建設会社や山梨県内の建設業者など計94か所を捜索し、約7000点の証拠物を押収した。東京地検は東京国税局の告発を受け、3月13日に公訴時効の完成が迫っていた1987年(昭和62年)分について、3月27日に1988年・1989年分について両名を起訴した。起訴事実によれば、金丸氏は大手総合建設会社や山梨県内の建設業者などから供与された資金の一部を原資に割引金融債券を購入して隠す方法で、3年分で合計10億4154万円の所得税を免れ、生原氏は自身の分として5年分で合計3億2986万円の所得税を免れたとされた。金丸氏本人は保釈後に無罪を主張して公判が続いたが、1996年3月に死去したため公訴棄却となり、判決を受けないまま裁判は終結した。秘書の生原正久氏については、金丸氏の死去直後の1996年3月、東京地方裁判所が金丸氏との共謀部分を含む約2億7248万円の脱税を認定し、懲役2年4か月・執行猶予4年・罰金7000万円の有罪判決を言い渡した。この判決はその後確定した。

政治改革への影響

かつて「政界のドン」と呼ばれた大物政治家の逮捕は日本社会に大きな衝撃を与え、政治資金をめぐる不透明な実態への批判を一気に噴出させた。この事件を契機に、自民党内では派閥政治や金権政治への批判が強まり、同年には非自民連立政権が誕生するなど、平成初期の政界再編の大きな引き金の一つとなった。

闇献金と略式起訴の経緯

前年に発覚した東京佐川急便からの5億円の闇献金事件では、金丸氏は政治資金規正法違反で略式起訴されたが、科された罰金はわずか20万円にとどまった。この処分の軽さに世論の批判が殺到し、検察内部でも「もう一度金丸を捜査すべきだ」との声が高まったことが、脱税容疑での再捜査・逮捕につながったとされる。

検察の執念とその後の評価

脱税事件としての立件は、政治家本人への課税上の処罰が実務上極めて難しいとされる中での「例外中の例外」であったと評価されている。時効が迫る中での逮捕であったことから、検察の執念を示す事例として、後年の政治資金をめぐる事件の捜査にも影響を与えたとされる。

闇献金事件との関係

金丸氏をめぐっては、脱税事件に先立つ東京佐川急便事件でも巨額の資金の流れが問題視されており、一連の疑惑が政治とカネの問題を象徴する存在として、繰り返し国会でも取り上げられた。

審理・経過の流れ

  1. 逮捕 1993年3月6日
  2. 起訴 1993年3月13日 +7日
  3. 起訴 1993年3月27日 +14日
  4. 判決 1996年3月 +1,070日

経過

  1. 1993年3月6日
    平成5年

    逮捕 金丸信元副総裁が所得税法違反容疑で逮捕される

  2. 1993年3月13日
    平成5年

    起訴 1987年分の所得税法違反で起訴

    公訴時効の完成が迫っていた1987年分について、東京国税局の告発を受けて金丸氏と秘書を起訴した。

  3. 1993年3月27日
    平成5年

    起訴 1988年・1989年分で追起訴

    金丸氏の脱税額は3年分で合計10億4154万円とされた。

  4. 1993年
    平成5年

    その他 非自民連立政権が誕生

    金権政治批判の高まりを背景とした政界再編。

  5. 1996年3月
    平成8年

    判決 東京地裁が秘書に有罪判決

    金丸氏との共謀部分を含む約2億7248万円の脱税を認定し、懲役2年4か月・執行猶予4年・罰金7000万円。判決はその後確定した。

    東京地方裁判所

  6. 1996年3月28日
    平成8年

    その他 金丸信元副総裁が死去、公訴棄却で裁判終結

    脳梗塞のため死去。無罪主張のまま判決を受けずに公判が終結した。

出典・公的資料

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「金丸事件」事件JP、2026年11月2日閲覧。https://jiken.jp/cases/1993-kanemaru-tax-evasion-scandal/
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更新履歴

  • 2026年10月19日 秘書の判決の時期を1996年3月に訂正し、元副総裁の死去の時期と矛盾していた年表の項目を整理
  • 2026年10月3日 一次資料補強:国会会議録(法務省刑事局長の捜査報告)を出典に追加。捜査の端緒を「東京国税局の内偵」から「東京佐川急便事件の捜査過程で東京地検が把握」に訂正し、押収額・起訴日・脱税額を加筆
  • 2026年9月25日 判決確定イベントのタイトルを明確化(主語を秘書と明記)、金丸氏死去のイベントを追加
  • 2026年9月23日 金丸氏本人が死去により公訴棄却、有罪確定は秘書のみだった事実を追記(重大な欠落を修正)、出典追加

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