京都アニメーション放火殺人事件 通称: 京アニ事件

発生日 2019年7月18日(令和元年)
経過 発生から7年1か月 2025年1月27日の確定から1年7か月
発生場所 京都府 京都市伏見区
種別 放火
状態 判決確定
被害 死者 36人  負傷者 34人
2019年7月18日午前、京都市伏見区のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオに男がガソリンをまいて放火し、従業員ら36人が死亡、32人が負傷した。男は事件当日に身柄を確保されたが重傷のため長期入院し、2020年5月に正式逮捕、同年12月に殺人罪等で起訴された。2024年1月、京都地方裁判所は死刑を言い渡し、被告本人の控訴取り下げにより2025年1月に死刑が確定した。
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事件の経過

2019年7月18日午前10時31分頃、京都市伏見区桃山町因幡のアニメ制作会社「京都アニメーション」第1スタジオ(鉄筋コンクリート造3階建て、延べ床面積約691平方メートル)に男が侵入し、ガソリン計約40リットルを従業員らに向けてまき、ライターで着火した。消防が火災を覚知したのは午前10時35分で、建物内は出火から極めて短時間で煙と熱に包まれた。消防は指揮隊・消防隊・救助隊・救急隊など計111隊398名を投入し、火勢は同日午後3時19分に鎮圧、翌19日午前6時20分に鎮火した。建物は全焼し、従業員36人が死亡、34人が負傷した。
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被害の実態と火災の急速な進行

京都市消防局の分析によれば、犠牲者は1階で2人、2階で11人、3階で20人にのぼり、特に3階から屋上に通じる西側階段付近で多数の死者が確認された。消防庁消防研究センターが行った火災シミュレーションでは、出火からわずか30秒で1階だけでなく2階・3階にも煙が回り、階段が早期に使用不能となっていたことが判明した。同スタジオにはスプリンクラー設備はなく、消防法施行令上も設置義務のある規模には該当していなかった。一方で、この危機的な状況下でも半数を超える在館者が建物外への避難に成功していたことも分かっている。京都市消防局による同スタジオへの最終査察は事件の9か月前の2018年10月に実施され、消防法令上の不備事項は確認されておらず、同年11月には従業員70名が参加する消防訓練も行われていた。

捜査・裁判の経過

男は事件当日に重傷を負った状態で身柄を確保され、長期入院を経て2020年5月27日に正式逮捕、同年12月16日に殺人・殺人未遂・現住建造物等放火罪等で起訴された。公判では、被告が妄想性障害の影響を受けていたとする弁護側の主張を踏まえ、刑事責任能力の有無・程度が最大の争点となった。2024年1月25日、京都地方裁判所は、被告の判断力は精神障害により多少低下していたとしても著しく減退していたとは認められないとして完全責任能力を認めたうえで、「強固な殺意に基づく計画的犯行で危険性・残虐性が極めて高い」として検察側の求刑どおり死刑を言い渡した。被告が控訴を取り下げたことで、2025年1月27日に死刑が確定した。男自身も事件により重度熱傷を負い、事情聴取が可能な状態になるまで約10か月間の入院・治療を要したことが、逮捕までに長期間を要した理由とされる。

寄付・義援金の状況

事件発生後、京都アニメーションは支援金預かり専用口座を開設し、国内外から多数の寄付が寄せられた。同社は事業再開に寄付金を充てず、全額を遺族・被害者支援に用いる方針を示し、2019年9月20日、預かっていた支援金を公的機関である京都府に設置された義援金配分委員会へ移管した。京都府は同年9月9日から10月31日まで義援金の受付を実施し、2020年2月28日に配分委員会の審議結果が公表された。京都アニメーションからの移管分を含む義援金総額は33億4138万3481円に上り、被害の程度等に応じた配分ルールに基づいて被害者・遺族へ配分されることとなった。

事件を受けた規制・防災指針の見直し

実行犯がガソリンスタンドで携行缶にガソリンを詰め替えて購入していたことを踏まえ、総務省消防庁は2019年12月20日、「危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令」を公布した。改正省令は、ガソリンを容器に詰め替えて販売する際、事業者に対して顧客の本人確認、使用目的の確認及び販売記録の作成を義務付けるもので、2020年2月1日に施行された。また、京都市消防局は、避難者への聞き取りと消防研究センターによる延焼シミュレーションの分析結果をもとに、階段が煙で使えなくなるまでの時間や在館者の危険レベルに応じた避難行動を整理した「火災から命を守る避難の指針」を策定し、2020年7月から市内事業所での訓練指導に活用している。同指針は、煙の侵入を防ぐ扉の閉鎖や区画の徹底、一時避難スペースの確保など、事件の教訓を踏まえた具体策を示している。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2019年7月18日
  2. 逮捕 2020年5月27日 +314日
  3. 起訴 2020年12月16日 +203日
  4. 判決 2024年1月25日 +1,135日

経過

  1. 2019年7月18日
    令和元年

    事件・事故 京都アニメーション第1スタジオで放火

    36人が死亡、32人が負傷

  2. 2020年2月1日
    令和2年

    その他 ガソリン携行缶販売の本人確認義務化(改正省令施行)

    事件を受け、総務省消防庁による「危険物の規制に関する規則の一部を改正する省令」が施行され、ガソリンを容器に詰め替えて販売する際の顧客の本人確認・使用目的の確認・販売記録の作成が義務化された。

  3. 2020年5月27日
    令和2年

    逮捕 殺人容疑等で正式逮捕

  4. 2020年7月14日
    令和2年

    その他 京都市消防局が避難行動の指針に基づく訓練指導を開始

    避難者への聞き取りと火災シミュレーションの分析結果をもとに策定した「火災から命を守る避難の指針」を用いた訓練を、市内事業所で開始した。

  5. 2020年12月16日
    令和2年

    起訴 殺人・現住建造物等放火罪等で起訴

  6. 2024年1月25日
    令和6年

    判決 京都地方裁判所が死刑判決

  7. 2025年1月27日
    令和7年

    その他 控訴取り下げにより死刑確定

出典・公的資料

一次資料 2件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。

関連する法律用語

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レポート・記事などで本ページを参照する際は、以下の表記をご利用ください。

「京都アニメーション放火殺人事件」事件JP、2026年9月15日閲覧。https://jiken.jp/cases/2019-kyoani-arson-attack/

関連する事件

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更新履歴

  • 2026年8月18日 消防庁公式刊行物を出典に追加し、被害の実態(階別死者数・火災シミュレーション)と避難指針策定の経緯を加筆。負傷者数を消防庁公式統計(34人)に訂正し、既存出典1件のtypeをpress→statuteに訂正
  • 2026年7月12日 本文を増補(「寄付・義援金の状況」「事件を受けた規制の見直し」の2セクションを追加)
  • 2026年7月11日 初版公開

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