電通過労自殺事件 通称: 高橋まつりさん過労死事件

発生日 2015年12月25日(平成27年)
経過 発生から10年8か月
発生場所 東京都
種別 その他
状態 判決確定
被害 死者 1人
2015年、大手広告代理店・電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24歳)が、本採用直後からの急激な業務量増加による極度の長時間労働とパワーハラスメントによりうつ病を発症し自殺した事件。三田労働基準監督署が労災認定し、法人としての電通は労働基準法違反で有罪判決(罰金50万円)を受けた。政府が推進した「働き方改革」関連法制定の直接的な契機となった。
電通過労自殺事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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事件の概要

2015年4月、株式会社電通に新卒入社した高橋まつりさん(当時24歳)は、同年10月の本採用直後から担当業務が急増し、極度の長時間労働と上司からの度重なる叱責によって精神的に追い詰められた。三田労働基準監督署の認定によれば、うつ病発症直前1か月の時間外労働は約105時間に達し、2か月前の約40時間から急激に増加していた。高橋さんは同年12月25日、自ら命を絶った。この事件は大手広告代理店における違法な長時間労働の実態を社会に広く知らしめ、のちの働き方改革関連法(2018年成立)制定の直接的な契機の一つとなった。
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経緯

2015年4月1日、高橋さんは電通に入社し、同年7月にダイレクトマーケティング・ビジネス局デジタル・アカウント部に配属された。10月の本採用後、担当業務が急増した。2016年9月30日、三田労働基準監督署は長時間労働を原因とするうつ病発症と自殺を労災と認定した。同年12月28日、東京労働局は法人としての電通と当時の上司(元部長)を労働基準法違反容疑で書類送検し、同日、電通の石井直社長(当時)が引責辞任の意向を表明した。2017年7月、東京地検は電通を労働基準法違反罪で略式起訴し、上司は不起訴(起訴猶予)となった。同年10月6日、東京簡易裁判所は電通に罰金50万円の有罪判決を言い渡した。

長時間労働の実態

労基署の認定によれば、高橋さんの時間外労働はうつ病発症直前の1か月で約105時間に達し、当時電通が労使協定(三六協定)で定めていた上限(月70時間)を大幅に超えていた。上限違反を回避するため、実際の労働時間より少なく自己申告させる不適切な勤務時間の登録が社内で常態化していたことも、電通自身の公表資料で明らかにされている。

刑事処分と裁判

2017年7月、東京地検は法人としての電通を労働基準法違反の罪で東京簡易裁判所に略式起訴した。一方、直属の上司だった元部長は起訴猶予として不起訴処分となった。同年10月6日、東京簡易裁判所は求刑通り電通に罰金50万円の有罪判決を言い渡した。判決を受け、電通は関係役員の処分と労働環境改革本部の取り組み強化を発表した。元上司の不起訴処分については遺族側が検察審査会に審査を申し立て、2018年7月12日、東京第一検察審査会は「不起訴相当」の議決を公表した。

社会への影響

本事件は、大手企業における長時間労働とパワーハラスメントの実態を可視化し、政府の「働き方改革」の議論を大きく後押しした。安倍晋三首相(当時)は再発防止への決意を表明し、2018年6月には残業時間の上限(月100時間未満、年720時間等)を罰則付きで規定する働き方改革関連法が成立した。電通自身も「労働環境改革基本計画」を策定し、業務量の適正化や企業文化の見直しに取り組むこととなった。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2015年12月25日
  2. 起訴 2017年7月5日 +558日
  3. 判決 2017年10月6日 +93日

経過

  1. 2015年12月25日
    平成27年

    事件・事故 高橋さん死亡

    極度の長時間労働とパワーハラスメントによりうつ病を発症し、自ら命を絶った。

  2. 2016年9月30日
    平成28年

    捜査 労災認定

    三田労働基準監督署が、うつ病発症直前1か月の時間外労働が約105時間に達していたとして労災認定した。

  3. 2016年12月28日
    平成28年

    捜査 書類送検

    東京労働局が、法人としての電通と当時の上司(元部長)を労働基準法違反容疑で書類送検した。

  4. 2017年7月5日
    平成29年

    起訴 略式起訴

    東京地検が法人としての電通を労働基準法違反の罪で東京簡易裁判所に略式起訴した。上司だった元部長は起訴猶予(不起訴)となった。

    東京簡易裁判所

  5. 2017年10月6日
    平成29年

    判決 有罪判決(罰金50万円)

    東京簡易裁判所は求刑通り、法人としての電通に罰金50万円の有罪判決を言い渡した。

    東京簡易裁判所

  6. 2018年7月12日
    平成30年

    その他 検察審査会議決

    東京第一検察審査会は、元上司の不起訴処分を「不起訴相当」と議決した。

出典・公的資料

関連する法律用語

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「電通過労自殺事件」事件JP、2026年9月8日閲覧。https://jiken.jp/cases/2015-dentsu-overwork-suicide/

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更新履歴

  • 2026年9月1日 初版公開

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