会津美里町夫婦殺害事件 通称: 福島夫婦強盗殺人事件

結末 2016年3月、最高裁が上告を棄却し、裁判員裁判の死刑判決が確定した(2026年10月時点で執行の報道はない)

発生日 2012年7月26日(平成24年) 2012年(平成24年)の事件 / 7月26日に起きた事件
経過 発生から14年3か月 2016年10月25日の確定から10年
発生場所 福島県 大沼郡会津美里町(穂馬の住宅)
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 2人  負傷者 0人
2012年(平成24年)7月26日早朝、福島県大沼郡会津美里町の住宅に男が侵入し、病院に勤める夫(当時55歳)と看護師の妻(当時56歳)をナイフで刺して殺害し、財布などを奪った強盗殺人事件。逮捕された住所不定・無職の男(当時45歳)は、妻に嘘を重ねて住宅の購入資金に困り、民家に押し入ることを決めたと認定された。2013年3月、福島地裁郡山支部の裁判員裁判で求刑どおり死刑が言い渡され、2016年3月に最高裁が上告を棄却して確定した。審理で遺体の写真を見た裁判員が急性ストレス障害になり、国を訴えたことでも知られる。
会津美里町夫婦殺害事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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事件の経過

2012年(平成24年)7月26日朝、福島県大沼郡会津美里町の住宅で、会津若松市の病院の業務部長を務める夫(当時55歳)と、同じ病院の訪問看護ステーションの所長で看護師の妻(当時56歳)が殺害された。草取りに出ていた同居する夫の母親が、家の中から悲鳴のような声が聞こえたため戻ると、妻が1階、夫が2階で倒れていた。 判決によると、男は金品を奪う目的で、同日午前5時20分頃、鍵のかかっていない勝手口から侵入し、現金1万円やキャッシュカードの入った財布を盗んだ。さらに起きてきた夫にペティナイフを突き付けて「お金を出してください」と脅したが、夫が応じずに抵抗したため、殺意をもって首などを刺して殺害した。続いて妻を脅してネックレスなどを奪い、妻が119番通報をしたことに気付くと、妻も刺して殺害した。
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逮捕と動機

会津若松署の捜査本部は26日夜、町内にいた住所不定・無職の男(当時45歳)に任意同行を求め、27日に強盗殺人の疑いで逮捕した。男は被害品のキャッシュカードを持っており、容疑を認めていると報じられた。男は住居侵入、強盗殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反の罪で起訴された。 判決が認定した経緯によると、男は前年11月頃に妻と会津若松市に移り住んだが、実際には職に就かず、妻には就職したと嘘をついていた。妻の着物などを無断で質に入れた金で外国為替の取引をしたが利益を出せず、借家も明け渡すことになり、7月13日頃からは町内の空き家の敷地に止めた車の中で妻と暮らしていた。住宅の購入を望む妻に「7月26日までには勤め先から購入資金が借りられる」などと嘘を重ねた男は、7月23日頃、近くの民家に押し入って現金を奪うことを決めた。

裁判員裁判と死刑判決

福島地裁郡山支部での裁判員裁判の初公判は2013年3月4日に開かれ、男は「おおむね認めますが、最初から家人を殺害し、金品を強奪しようと考えたというのは否認する」と述べた。 同支部は3月14日、求刑どおり死刑を言い渡した。判決は、動機を「利欲的で,あまりにも身勝手というほかない」とした。殺害を前提とした具体的な計画までは認め難いものの、ナイフを持って侵入していることなどから、抵抗されれば殺害に及ぶことも当然想定していたと認定した。四十代半ばまで前科がなく反省の弁を述べていることなどを考慮しても、刑事責任は極めて重大だと結論づけた。裁判員裁判の死刑判決は17件目とみられると報じられた。弁護側は即日控訴した。

控訴審・上告審と死刑確定

仙台高裁は2014年6月3日、一審判決を支持して控訴を棄却した。弁護側は「健康状態が疑われる裁判員を解任、辞退させる手続きを怠った」と主張したが、高裁は「違法な点はなかった」と退けた。 最高裁第三小法廷は2016年3月8日、裁判官全員一致で上告を棄却した。判決は、2人をいずれも「めった刺しにして,その場で殺害しており,犯行態様は非情かつ残酷である」とし、謝罪や反省の態度、前科がないことなどを考慮しても死刑はやむを得ないとした。これにより死刑が確定した。2026年10月時点で、刑の執行は報じられていない。

裁判員の精神的負担をめぐる問題

一審で裁判員を務めた郡山市の女性は、審理で殺害現場の写真を見るなどした後に急性ストレス障害と診断され、2013年5月、国に損害賠償を求める訴訟を起こした。裁判員経験者による提訴は全国初とみられた。国会でも取り上げられたこの訴訟で、一審判決は、裁判員として審理に参加したことと発症との因果関係を認めたが、請求は退けられ、2016年10月に最高裁が上告を退けて女性の敗訴が確定した。 共同通信は、この提訴を契機に各地の裁判員裁判で、遺体の写真を示すことを事前に告知したり、モノクロにしたりするなど、裁判員の負担を軽減する取り組みが進んだと報じた。最高裁も国会で、刺激の強い証拠は真に必要な場合に限って採用し、採用する場合も白黒写真にするなどの工夫をしていると答弁している。これらは裁判所の運用の見直しで、本件をきっかけとした法改正は確認されていない。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2012年7月26日
  2. 逮捕 2012年7月27日 +1日
  3. 公判 2013年3月4日 +220日
  4. 判決 2013年3月14日 +10日
  5. 判決 2014年6月3日 +446日
  6. 判決 2016年3月8日 +644日

経過

  1. 2012年7月26日
    平成24年

    事件・事故 会津美里町の住宅で夫婦が刺殺され、財布などが奪われる

    死者2人。同居する夫の母親が見つけた

  2. 2012年7月27日
    平成24年

    逮捕 住所不定・無職の男を強盗殺人の疑いで逮捕

    被害品のキャッシュカードを所持していた

  3. 2013年3月4日
    平成25年

    公判 裁判員裁判の初公判

    被告は当初からの殺害の意図を否認した

    福島地方裁判所郡山支部

  4. 2013年3月14日
    平成25年

    判決 求刑どおり死刑判決

    弁護側は即日控訴

    福島地方裁判所郡山支部 (事件番号: 平成24年(わ)第127号)

  5. 2013年5月7日
    平成25年

    その他 裁判員を務めた女性が急性ストレス障害を理由に国を提訴

    裁判員経験者による提訴は全国初とみられた

  6. 2014年6月3日
    平成26年

    判決 仙台高裁が控訴を棄却

    裁判員の解任手続きに関する弁護側の主張を退けた

    仙台高等裁判所

  7. 2016年3月8日
    平成28年

    判決 最高裁が上告を棄却し、死刑が確定

    裁判官全員一致

    最高裁判所第三小法廷 (事件番号: 平成26年(あ)第959号)

  8. 2016年10月25日
    平成28年

    その他 元裁判員の国家賠償訴訟で女性の敗訴が確定

    最高裁が上告を退けた

    最高裁判所第三小法廷

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「会津美里町夫婦殺害事件」事件JP、2026年10月29日閲覧。https://jiken.jp/cases/2012-aizumisato-couple-murder/
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更新履歴

  • 2026年10月29日 初版公開

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