山口連続殺人放火事件 通称: 周南5人殺害事件

結末 2019年8月、最高裁への判決訂正の申し立てが退けられ、死刑が確定した

発生日 2013年7月21日(平成25年) 2013年(平成25年)の事件 / 7月21日に起きた事件
経過 発生から13年3か月 2025年1月29日の確定から1年8か月
発生場所 山口県 周南市(大字金峰 郷集落)
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 5人
2013年(平成25年)7月21日夜から22日朝にかけて、山口県周南市金峰(みたけ)の山間の郷(ごう)集落で、71〜80歳の住民5人が木の棒で殴られて殺害され、うち2軒の住宅が放火されて全焼した事件。同じ集落に住む男(当時63歳)が26日に近くの山中で見つかり、逮捕された。最高裁は、近隣住民からうわさや嫌がらせを受けているという妄想を抱いた男が報復しようと考えて犯行に及んだと認定し、2019年に死刑が確定した。最高裁判決は「山口周南市連続殺人放火事件」と呼んでいる。
山口連続殺人放火事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
スポンサーリンク

事件の経過

現場はJR徳山駅から北へ約16キロの山あいにある周南市金峰の郷集落で、事件前は8世帯14人が暮らしていた(山口新聞)。 2013年7月21日午後9時ごろ、集落の住宅2軒で火災が起き、いずれも全焼した。焼け跡から、夫婦(71歳・72歳)と、隣家で一人暮らしをしていた女性(79歳)の計3人の遺体が見つかった。翌22日には、別の2軒で女性(73歳)と一人暮らしの男性(80歳)が遺体で見つかった。5人はいずれも頭などを木の棒で何度も殴られて死亡していた。起訴状などによると、犯行は21日夜から22日朝にかけて行われた。 山口県警は周南署に捜査本部を置き、所在が分からなくなっていた同じ集落の無職の男の自宅を捜索した。自宅の窓には「つけびして 煙喜ぶ 田舎者」と書かれた貼り紙があり、事件直後には放火をほのめかすものとして報じられた。
スポンサーリンク

逮捕と起訴

7月26日午前9時5分ごろ、住民が避難していた集落の公民館から北へ約1キロの山道で、下着姿・はだしで座っていた男(当時63歳)を捜査員が見つけた。男は発見時に「死のうと思ったが、死にきれなかった」と話したと報じられた。県警は同日、隣家の女性に対する殺人と非現住建造物等放火の疑いで男を逮捕した。男は容疑を認め、残る4人の殺害への関与もおおむね認める供述をした。 男は地元の出身で、関東で働いた後に帰郷していた。2011年の元日には、集落で孤立していると周南署に相談していた。 山口地検は起訴前に精神鑑定のための鑑定留置を行ったうえで、2013年12月、5人に対する殺人と2件の非現住建造物等放火の罪で男を起訴した。公判前には山口地裁が改めて精神鑑定を行い、責任能力が主な争点となった。

裁判

山口地裁の裁判員裁判は2015年6月25日に始まり、男は捜査段階の供述を翻して起訴内容を否認し、無罪を主張した。検察は7月10日に死刑を求刑し、山口地裁は7月28日、男を犯人と認め、完全責任能力があったとして求刑どおり死刑を言い渡した。弁護側は控訴した。 広島高裁は2016年9月13日に控訴を棄却し、弁護側が上告した。最高裁第一小法廷は2019年7月11日、裁判官全員一致で上告を棄却した。判決は、男は「約10年間にわたり,近隣住民からうわさをされたり,挑発や嫌がらせを受けたりしているとの妄想」を抱き、報復しようと考えて「一晩のうちに,近隣の住居4軒において住人5名を殺害し,うち2軒の家屋に放火して全焼させた」と認定した。そのうえで、妄想は動機の形成に影響しているものの、男は自らの価値観に基づいて犯行を選んで実行したもので、「前記妄想が本件各犯行に及ぼした影響は大きなものではない」とし、死刑を維持した。 弁護側は判決の訂正を申し立てたが、最高裁は8月1日付でこれを退け、死刑が確定した。

確定後の再審請求と集落のその後

男は2019年11月、責任能力の判断を争って山口地裁に再審を請求した。山口地裁は2021年3月に請求を棄却し、即時抗告を受けた広島高裁も2022年11月に棄却した。最高裁第二小法廷は2025年1月29日付で特別抗告を退け、再審を認めない判断が確定した。 裁判所の判断は、近隣住民によるうわさや嫌がらせを事実として認めたものではなく、男がそう思い込んでいたという認定である。事件後、集落の人間関係をめぐるさまざまな臆測が広まったが、遺族は最高裁の弁論後の会見で、インターネット上の書き込みは事実と違うと訴えた。集落ではその後も住民が減り、2019年には3世帯6人が残るのみと報じられた。事件はノンフィクション『つけびの村』(2019年)などの書籍でも取り上げられた。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2013年7月21日
  2. 逮捕 2013年7月26日 +5日
  3. 起訴 2013年12月27日 +154日
  4. 公判 2015年6月25日 +545日
  5. 判決 2015年7月28日 +33日
  6. 判決 2016年9月13日 +413日
  7. 判決 2019年7月11日 +1,031日

経過

  1. 2013年7月21日
    平成25年

    事件・事故 周南市金峰の郷集落で住民5人が殺害され、住宅2軒が全焼

    死者5人(71〜80歳)。犯行は21日夜から22日朝にかけて

  2. 2013年7月26日
    平成25年

    逮捕 山中で見つかった同じ集落の男を殺人などの疑いで逮捕

    隣家の女性に対する殺人と非現住建造物等放火の疑い

  3. 2013年12月27日
    平成25年

    起訴 山口地検が5人の殺人と2件の放火で起訴

    起訴前に鑑定留置を実施

  4. 2015年6月25日
    平成27年

    公判 山口地裁で裁判員裁判の初公判、男は否認

    山口地方裁判所

  5. 2015年7月28日
    平成27年

    判決 山口地裁が求刑どおり死刑を言い渡す

    犯人性と完全責任能力を認定。弁護側が控訴

    山口地方裁判所

  6. 2016年9月13日
    平成28年

    判決 広島高裁が控訴を棄却

    一審の死刑判決を維持

    広島高等裁判所 (事件番号: 平成27年(う)第127号)

  7. 2019年7月11日
    令和元年

    判決 最高裁が上告を棄却

    裁判官全員一致

    最高裁判所第一小法廷 (事件番号: 平成28年(あ)第1508号)

  8. 2019年8月1日
    令和元年

    その他 判決訂正の申し立てが退けられ、死刑が確定

    最高裁判所第一小法廷

  9. 2025年1月29日
    令和7年

    その他 最高裁が特別抗告を退け、再審を認めない判断が確定

    再審請求は2019年11月。山口地裁・広島高裁も棄却していた

    最高裁判所第二小法廷

出典・公的資料

一次資料 2件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。

さらに調べるには

資料の探し方や引用の書き方は調べ学習・レポートでの使い方にまとめています。

関連する法律用語

この記事を引用する

レポート・記事などで本ページを参照する際は、以下の表記をご利用ください。一次資料までたどる方法は調べ学習・レポートでの使い方をご覧ください。

「山口連続殺人放火事件」事件JP、2026年10月28日閲覧。https://jiken.jp/cases/2013-shunan-serial-murder-arson/
スポンサーリンク

更新履歴

  • 2026年10月25日 初版公開

本ページは公的資料に基づいて作成しています。情報の誤りにお気づきの場合や、掲載内容の削除・訂正のご依頼は お問い合わせ・削除依頼よりご連絡ください。