三春町ひき逃げ殺人事件 通称: 三春ひき逃げ殺人

結末 2024年5月、最高裁が検察の上告を棄却し、6月に二審の無期懲役が確定

発生日 2020年5月31日(令和2年) 2020年(令和2年)の事件 / 5月31日に起きた事件
経過 発生から6年4か月 2024年6月1日の確定から2年4か月
発生場所 福島県 田村郡三春町(山田・国道288号)
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 2人
2020年(令和2年)5月31日午前7時55分ごろ、福島県三春町山田の国道288号で、清掃ボランティアに参加していた町内の男性(当時55)と女性(当時52)が、盗んだトラックを運転する男にはねられて死亡した事件。男は刑務所を出所した2日後で、刑務所に戻りたいと考えて犯行に及んだと判決は認定した。当初はひき逃げの容疑で逮捕されたが、福島地検郡山支部は殺人罪で起訴した。一審の裁判員裁判は死刑としたが、二審の仙台高裁が無期懲役に改め、2024年に最高裁が検察の上告を棄却して無期懲役が確定した。
三春町ひき逃げ殺人事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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清掃ボランティア中の2人がはねられる

2020年5月31日は日曜日だった。この朝、三春町の有志でつくる「桜川をきれいにする会」が、町を流れる桜川沿いの道路で清掃作業を行っていた。三春町と郡山市を結ぶ幹線道路での、休日のボランティア活動だった。 午前7時55分ごろ、ごみ拾いを終えて集合場所へ戻る途中だった町内の男性(当時55)と女性(当時52)が、三春町山田の国道288号で準中型トラックにはねられた。一審判決によると、トラックは2人の横をいったん通り過ぎ、先の路外駐車場で向きを変えてから、時速約60〜70キロまで加速して道路の左端を歩く2人に衝突した。トラックはそのまま走り去った。2人は郡山市内の病院に運ばれたが、男性は同日午前9時35分ごろ、女性は午前11時25分ごろに死亡した。
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逮捕と殺人罪での起訴

福島県警は須賀川市内で、ガラスの割れたトラックと車内にいた男を見つけ、事故から約4時間後の午前11時45分、無免許過失運転致死と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで緊急逮捕した。男は当時50歳で住所不定、無職だった。逮捕直後は「怖くなって逃げた」と話していたと報じられた。 判決によると、男は5月29日に福島刑務所を満期で出所したばかりで、事件当日の午前7時30分ごろ、郡山市内の勤め先となる予定だった会社の寮の駐車場からトラックを盗み、無免許で運転していた。県警は交通部に加えて刑事部の捜査員も投入した。福島地検郡山支部は6月30日、故意にはねた趣旨の供述や、現場にブレーキ痕がなかったことなどから、男を殺人と窃盗、道路交通法違反の罪で起訴した。

一審は死刑判決

福島地裁郡山支部の裁判員裁判は2021年6月7日に始まった。男は故意にはねたことを認める一方、「殺害しようと積極的に思ったわけではない」と述べ、弁護側も殺人罪の成立自体は争わなかった。争点は殺意の内容で、検察側は殺害の意欲があったと主張し、弁護側は死んでも構わないという程度の認識だったと主張した。被告人質問で男は「刑務所は衣食住が保証されていて、戻りたかった」と語った。遺族の意見陳述では、厳罰を求める約1万4000人分の署名にも触れられた。 検察側は死刑を求刑し、弁護側は無期懲役が相当とした。2021年6月24日の判決は、男が2人を死亡させる危険性が高いと認識しながら意図的に衝突させたと認め、求刑どおり死刑を言い渡した。判決は、出所後の新しい環境への不安から刑務所に戻りたいと考え、長く刑務所にいるためにトラックを2人くらいに衝突させて逃げようと考えたという動機を「極めて身勝手かつ自己中心的」とし、日常生活の中で誰でも被害を受けかねないという不安を社会に与えたと指摘した。

二審で無期懲役に

弁護側は控訴し、仙台高裁では殺意そのものを否定して、傷害致死罪の適用を求めた。仙台高裁は2023年2月16日、殺意を認めた一審の判断は維持したうえで、量刑について一審判決を破棄し、無期懲役を言い渡した。 高裁は、本件は不特定の者を殺害すること自体を目的とした、いわゆる無差別殺人とは異なり、出所後の不安から自棄的になって刑務所に長く入りたいと考えた犯行だと位置づけた。そのうえで、被害者2人の命を奪うことが確実な態様だったとまではいえず、生命軽視の態度が甚だしく顕著とまではいえないとして、死刑の選択はやむを得ないとはいえないと判断した。河北新報は、東北の裁判員裁判の死刑判決が二審で覆されたのは初めてと報じた。

最高裁で無期懲役が確定

仙台高検は2023年3月1日、二審判決を不服として上告した。最高裁第一小法廷(堺徹裁判長)は2024年5月27日付の決定で、裁判官全員一致で上告を棄却した。決定は、刑務所に戻りたいという動機は極めて身勝手で、社会に相当の不安感を与えたことも否定できないとしながら、綿密な計画や周到な準備に基づいて殺害を確実に遂げようとした犯行とはいえず、死刑を選択することが真にやむを得ないとまではいい難いとした。福島放送によると、期日までに異議の申し立てはなく、6月1日付で無期懲役の判決が確定した。 清掃活動をしていた会のメンバーは、事件後に被告の厳罰を求める署名活動を続けてきた。最高裁の決定を受けて、会の会長は「こんなひどいことをして無期懲役なのはおかしい」と語った。命日を前にした現場には、竹で作られた献花台が設けられていた。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2020年5月31日
  2. 逮捕 2020年5月31日 +0日
  3. 起訴 2020年6月30日 +30日
  4. 公判 2021年6月7日 +342日
  5. 判決 2021年6月24日 +17日
  6. 判決 2023年2月16日 +602日
  7. 公判 2023年3月1日 +13日
  8. 判決 2024年5月27日 +453日

経過

  1. 2020年5月31日
    令和2年

    事件・事故 三春町の国道288号で清掃中の男女2人がトラックにはねられ死亡

    午前7時55分ごろ。清掃ボランティアの男性(当時55)と女性(当時52)が死亡。トラックは走り去った

  2. 2020年5月31日
    令和2年

    逮捕 ひき逃げなどの疑いで男を緊急逮捕

    午前11時45分、須賀川市内で。容疑は無免許過失運転致死と道路交通法違反(ひき逃げ)

  3. 2020年6月30日
    令和2年

    起訴 福島地検郡山支部が殺人などの罪で起訴

    罪名は窃盗、道路交通法違反、殺人

  4. 2021年6月7日
    令和3年

    公判 福島地裁郡山支部で裁判員裁判が始まる

    被告は故意にはねたことを認め、積極的な殺意は否定

    福島地方裁判所郡山支部 (事件番号: 令和2年(わ)第80号)

  5. 2021年6月24日
    令和3年

    判決 福島地裁郡山支部が求刑どおり死刑判決

    殺意を認定。弁護側は翌日控訴

    福島地方裁判所郡山支部 (事件番号: 令和2年(わ)第80号)

  6. 2023年2月16日
    令和5年

    判決 仙台高裁が一審の死刑判決を破棄し、無期懲役を言い渡す

    殺意の認定は維持。いわゆる無差別殺人とは異なると判断

    仙台高等裁判所 (事件番号: 令和3年(う)第97号)

  7. 2023年3月1日
    令和5年

    公判 仙台高検が最高裁に上告

  8. 2024年5月27日
    令和6年

    判決 最高裁が検察の上告を棄却

    第一小法廷決定、裁判官全員一致

    最高裁判所第一小法廷 (事件番号: 令和5年(あ)第292号)

  9. 2024年6月1日
    令和6年

    その他 無期懲役の判決が確定

    期日までに異議の申し立てがなく確定(福島放送の報道による)

出典・公的資料

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「三春町ひき逃げ殺人事件」事件JP、2026年10月28日閲覧。https://jiken.jp/cases/2020-miharu-hit-and-run-murder/
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更新履歴

  • 2026年10月18日 初版公開

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