別府看護師殺害事件 通称: 別府秘湯殺人事件

結末 2012年3月、検察・弁護側とも控訴せず、男の無期懲役の判決が確定した

発生日 2010年8月31日(平成22年) 2010年(平成22年)の事件 / 8月31日に起きた事件
経過 発生から16年2か月 2012年3月29日の確定から14年7か月
発生場所 大分県 別府市(明礬の鍋山の湯に続く山道)
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 1人  負傷者 0人
2010年(平成22年)8月31日夜、大分県別府市明礬の露天温泉「鍋山の湯」に続く山道で、一人で九州を旅行していた神戸市の看護師の女性(当時28歳)が殺害され、遺体が雑木林に遺棄された事件。遺体は9月4日に見つかった。約1年後の2011年8月、被害者の携帯電話の通信記録や遺留物のDNA型から、別の事件で神奈川県警に逮捕されていた大分市出身の男(当時33歳)が死体遺棄容疑で逮捕され、のちに強盗殺人容疑で再逮捕された。大分地裁の裁判員裁判は2012年3月、強盗とわいせつの目的で襲い発覚を恐れて殺害したと認定し、求刑どおり無期懲役を言い渡した。判決は控訴なく確定した。事件後、別府市は秘湯へ続く市道を一時通行止めにし、防犯カメラなどを設置した。
別府看護師殺害事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)

一人旅の看護師の失踪と遺体の発見

神戸市の看護師の女性(当時28歳)は、2010年(平成22年)8月28日から九州を一人で旅行すると母親に連絡していた。車内に残っていたノートなどから、女性は28日に福岡に入り、熊本・鹿児島の両県を経て、31日夕方に宮崎県から大分県に入ったとみられる。ノートの最後の記述は31日午後5時すぎの「温泉よかった」で、女性はその日、大分県内の温泉など数カ所に立ち寄った後、露天風呂に続く山道に向かったとみられる。 9月4日、別府市明礬の雑木林で、山道から約4メートル下の斜面で女性の遺体が見つかった。現場は「別府三大秘湯」の一つとされる無料の露天風呂「鍋山の湯」に続く道で、温泉に向かう人以外はほとんど通らず、照明もなく夜は真っ暗になる場所だった。県警は5日の司法解剖で、首を手で絞められたことによる窒息死と断定し、別府署に捜査本部を設置した。

別府市の安全対策

事件後、現場周辺では不審車両が相次いで目撃され、全国から安全管理を問う意見が別府市に寄せられた。浜田博市長は9月9日、「鍋山の湯」と近くの「へびん湯」に通じる市道を通行止めにすることを表明した。明礬の温泉街から700メートルの地点に車が通れないようフェンスを設け、注意を促す看板や24時間稼働する監視カメラ、防犯灯も設置するとした。市は10日にホテル関係者などを交えた会議を開き、観光業への影響を懸念する出席者から安全対策の徹底を求める声が上がった。 市は2011年2月10日、防犯カメラや街灯、注意看板の設置が完了し、警察から随時パトロールをする了承が得られたことなどから、通行止めを14日に解除することを決めた。鍋山の湯はこの時点で立ち入り禁止のままだった。

男の逮捕

県警は延べ約1万9千人の捜査員を投入して捜査を続けた。女性の携帯電話の通信記録を調べる過程で、事件後の2010年秋ごろ、女性の電話番号の情報が入ったSIMカードが、ある男の携帯電話に入れて使われていた形跡が見つかった。その男は2011年5月、川崎市で女性宅に侵入して顔を殴り財布を奪ったとして、強盗致傷などの容疑で神奈川県警に逮捕されていた。女性が身に着けていた衣服の遺留物のDNA型も男のものと一致した。 大分県警は8月31日、大分市出身の元建設作業員の男(当時33歳)を横浜から別府署に移送し、死体遺棄容疑で逮捕した。男は事件当時、別府市の家族の家に帰省しており、女性と面識はなかったとみられる。県警は9月12日、男を立ち会わせて捜索し、供述どおりの場所から女性のバッグや財布を見つけた。男は死体遺棄罪で起訴された後、9月23日に強盗殺人容疑で再逮捕され、「間違いありません」と容疑を認めた。その後、強盗殺人などの罪で起訴された。

大分地裁の裁判員裁判

大分地裁(西崎健児裁判長)での裁判員裁判の初公判は2012年3月6日に開かれた。男は「金品を奪う意図はあったが、当初からの殺意や、わいせつ目的はなかった」と述べ、起訴内容の一部を否認した。検察側は冒頭陳述で、男は当時、料金の滞納で携帯電話を使えなくなるほど金に困っていたと指摘し、夕暮れ時に温泉に続く山道で歩いていた女性に声をかけたが無視され、現金を奪おうと考えたと述べた。 7日の公判では、男が検察官の質問に興奮して証言台を押し倒し、審理が中断した。8日に残りの被告人質問が行われ、検察側は無期懲役を求刑した。男は最終陳述で「被害者やご遺族の方に大変申し訳ないことをした」と謝罪した。 大分地裁は3月14日、求刑どおり無期懲役の判決を言い渡した。判決は、男が強盗とわいせつの目的で女性を襲い、犯行の発覚を恐れて殺害したと認定した。男は女性の頭をレンチで殴って殺害し、現金約3万9千円が入ったバッグを奪い、遺体を雑木林に遺棄したとされた。判決は「残虐な犯行で刑事責任は極めて重大。自己中心的な犯行動機に酌量の余地はない」とし、「遺族が被告に対する極刑を求めるのも当然」と述べた。さらに、男は反省できておらず、繰り返し粗暴な犯罪に及んでいて再犯の恐れが高いとして、刑の軽減を求める弁護側の主張を退けた。

判決の確定

控訴期限までに検察・弁護側のいずれからも控訴はなく、無期懲役の判決は2012年3月29日午前0時に確定した。男は川崎市の住宅で財布を盗んだとして窃盗などの罪にも問われており、横浜地裁川崎支部が2012年2月に懲役3年6月を言い渡し、この判決も確定していた。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2010年8月31日
  2. 逮捕 2011年8月31日 +365日
  3. 逮捕 2011年9月23日 +23日
  4. 公判 2012年3月6日 +165日
  5. 公判 2012年3月8日 +2日
  6. 判決 2012年3月14日 +6日

経過

  1. 2010年8月31日
    平成22年

    事件・事故 別府市明礬の鍋山の湯に続く山道で、一人旅の看護師の女性が殺害される

    夜。現金の入ったバッグが奪われ、遺体は雑木林に遺棄された

  2. 2010年9月4日
    平成22年

    捜査 山道から約4メートル下の斜面で女性の遺体が見つかる

    翌5日、司法解剖で窒息死と断定し、別府署に捜査本部を設置

  3. 2010年9月9日
    平成22年

    その他 別府市長が秘湯へ続く市道の通行止めを表明

  4. 2011年2月14日
    平成23年

    その他 防犯カメラなどの設置を終え、市道の通行止めを解除

    鍋山の湯は立ち入り禁止のまま

  5. 2011年8月31日
    平成23年

    逮捕 大分県警が別件で勾留中の男を死体遺棄容疑で逮捕

    被害者のSIMカードの使用形跡と遺留物のDNA型から浮上した

  6. 2011年9月23日
    平成23年

    逮捕 男を強盗殺人容疑で再逮捕

    男は容疑を認めた

  7. 2012年3月6日
    平成24年

    公判 大分地裁で裁判員裁判の初公判。男は当初からの殺意などを否認

    大分地方裁判所

  8. 2012年3月8日
    平成24年

    公判 検察側が無期懲役を求刑

    大分地方裁判所

  9. 2012年3月14日
    平成24年

    判決 大分地裁が求刑どおり無期懲役の判決

    強盗とわいせつの目的で襲い、発覚を恐れて殺害したと認定

    大分地方裁判所

  10. 2012年3月29日
    平成24年

    その他 控訴なく無期懲役の判決が確定

出典・参考資料

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「別府看護師殺害事件」事件JP、2026年11月4日閲覧。https://jiken.jp/cases/2010-beppu-nurse-murder/

更新履歴

  • 2026年11月4日 初版公開

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