佐賀入院患者射殺事件 通称: 武雄入院患者射殺事件

結末 2010年3月、最高裁が上告を棄却し、組員の男の無期懲役が確定した(男は2014年に病死)

発生日 2007年11月8日(平成19年) 2007年(平成19年)の事件 / 11月8日に起きた事件
経過 発生から18年11か月 2010年3月8日の確定から16年7か月
発生場所 佐賀県 武雄市
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 1人
2007年(平成19年)11月8日朝、佐賀県武雄市の整形外科病院の病室で、入院中の男性(当時34歳)が、指定暴力団道仁会系の組員の男(当時61歳)に拳銃で撃たれて死亡した事件。男は、道仁会と対立する九州誠道会の関係者と間違えて、暴力団と関係のない男性を撃った。佐賀地裁は2008年6月に懲役24年としたが、福岡高裁は2009年2月に一審判決を破棄して無期懲役を言い渡し、2010年3月に最高裁が上告を退けて確定した。一般市民が抗争に巻き込まれた例として国会でも繰り返し取り上げられ、2012年の暴力団対策法改正の審議でも言及された。
佐賀入院患者射殺事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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事件の経過

2007年(平成19年)11月8日午前7時40分ごろ、佐賀県武雄市の整形外科病院の2階の個室に男が入り込み、入院していた男性(当時34歳)を拳銃で撃った。男性は同市山内町で板金業を営んでおり、アキレスけんを断裂して手術を受けたあと、リハビリのために入院していた。 確定した判決によると、男は2発を男性の首や胸に命中させ、殺害した。男性は暴力団とは関係のない一般の市民だった。発生から1週間後の報道では、この病室には10月22日まで、暴力団員と親交のある別の人物が入院していたことが伝えられていた。
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背景:道仁会と九州誠道会の抗争

福岡県久留米市に本拠を置く指定暴力団道仁会では、2006年に会長の後継をめぐる争いが起き、組織内の最大勢力が離脱して九州誠道会を結成した。2007年8月に福岡市で道仁会の会長が射殺されると、両組織の対立は激しくなった。 判決によると、道仁会系の組員だった男は、この抗争で殺された会長の報復として九州誠道会の関係者を殺そうとし、病室にいた男性を誠道会の関係者と間違えて撃った。警察白書(平成25年版)も、本件を「入院中の男性が九州誠道会の関係者と間違われて拳銃で射殺されるという痛ましい事件」と記している。

逮捕と一審判決

男は11月25日未明、福岡県大野城市で職務質問をした警察官に向けて発砲したとして、銃刀法違反の現行犯で福岡県警に逮捕された。男は武雄市の事件への関与を認め、武雄署の捜査本部はすでに殺人容疑で逮捕状を取っていた。 男は殺人などの罪で起訴された。2008年3月17日の佐賀地裁の初公判で、男は九州誠道会の関係者と間違えて男性を殺害したことを認めた。その3日後、九州誠道会の関係者が男性の自宅を訪れ、「抗争終結宣言」と記した文書を持参して遺族に謝罪した。 佐賀地裁は2008年6月10日、男に懲役24年を言い渡した。一審は、遺族との示談が成立していることなどを考え、有期刑が相当と判断した。検察と男の双方が控訴した。

控訴審の無期懲役と確定

福岡高裁(川口宰護裁判長)は2009年2月3日、一審判決を破棄し、求刑どおり無期懲役を言い渡した。判決は「善良な一市民を対立組織の関係者と誤認し、射殺しており、殺人事件の中でも極めて悪質」と述べ、有期刑を選んだ一審の量刑は軽すぎると判断した。 一審が考慮した示談については、民事上の使用者責任などに基づいて道仁会の代表者との間で成立したもので、男本人との間で成立したものではないとして、一審の事実誤認を指摘した。男が今も男性を暴力団関係者だと思っていると主張したことについても、「真剣に反省しているとは到底認められない」とした。男性の妻は一審・二審で意見陳述を行った。 最高裁第1小法廷(宮川光治裁判長)は2010年3月8日付で男の上告を棄却する決定をし、無期懲役が確定した。男は服役中の2014年8月13日、大阪医療刑務所で病死した。67歳だった。

国会での議論と暴力団対策法の改正

事件から2週間後の2007年11月22日、参議院内閣委員会で国家公安委員長は、長崎市長の射殺事件とともに「佐賀県の病院内におけるけん銃使用の殺人事件」を挙げ、一般市民に不安を抱かせる状況だと答弁した。2008年4月の暴力団対策法改正の審議でも、議員が法改正の背景として本件に触れた。 両組織の抗争はいったん表に出なくなったが、2011年に再燃した。2012年の暴力団対策法改正の審議では、国家公安委員長が「平成十九年には病院で入院患者が誤って射殺される事件も発生しているなど、市民生活に対する重大な脅威」と答弁した。この改正法は2012年8月1日に公布され、抗争中の暴力団を「特定抗争指定暴力団等」に指定する制度が設けられた。同年12月、福岡・佐賀・長崎・熊本の4県の公安委員会が、道仁会と九州誠道会をこの特定抗争指定暴力団等に指定した。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2007年11月8日
  2. 逮捕 2007年11月25日 +17日
  3. 公判 2008年3月17日 +113日
  4. 判決 2008年6月10日 +85日
  5. 判決 2009年2月3日 +238日
  6. 判決 2010年3月8日 +398日

経過

  1. 2007年11月8日
    平成19年

    事件・事故 武雄市の病院で入院中の男性が拳銃で撃たれ死亡

    死者1人。道仁会系の組員の男が、対立する九州誠道会の関係者と間違えて撃った(判決の認定)

  2. 2007年11月22日
    平成19年

    その他 参議院内閣委員会で国家公安委員長が本件に言及

  3. 2007年11月25日
    平成19年

    逮捕 男が福岡県大野城市で警察官に発砲し、銃刀法違反の現行犯で逮捕

    男は武雄市の事件への関与を認めた。武雄署の捜査本部は殺人容疑で逮捕状を取っていた

  4. 2008年3月17日
    平成20年

    公判 佐賀地裁で初公判

    男は人違いで殺害したことを認めた

    佐賀地方裁判所

  5. 2008年6月10日
    平成20年

    判決 佐賀地裁が懲役24年の判決

    遺族との示談の成立などを考慮した。検察と男の双方が控訴

    佐賀地方裁判所

  6. 2009年2月3日
    平成21年

    判決 福岡高裁が一審判決を破棄し、無期懲役

    示談は道仁会の代表者との間のもので、男本人とは成立していないと指摘

    福岡高等裁判所

  7. 2010年3月8日
    平成22年

    判決 最高裁が上告を棄却し、無期懲役が確定

    最高裁判所第一小法廷

  8. 2012年8月1日
    平成24年

    その他 改正暴力団対策法が公布(特定抗争指定暴力団等の制度を新設)

    審議で国家公安委員長が本件に触れた

  9. 2012年12月
    平成24年

    その他 道仁会と九州誠道会が特定抗争指定暴力団等に指定される

    福岡・佐賀・長崎・熊本の各県公安委員会による指定

  10. 2014年8月13日
    平成26年

    その他 服役中の男が大阪医療刑務所で病死

出典・公的資料

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「佐賀入院患者射殺事件」事件JP、2026年10月28日閲覧。https://jiken.jp/cases/2007-saga-takeo-hospital-shooting/
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更新履歴

  • 2026年10月27日 初版公開

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