闇サイト殺人事件

結末 2009年4月に男1人の死刑が確定、2012年7月までに残る2人の無期懲役も確定した

発生日 2007年8月24日(平成19年) 2007年(平成19年)の事件 / 8月24日に起きた事件
経過 発生から19年2か月 2012年7月18日の確定から14年3か月
発生場所 愛知県 名古屋市千種区(拉致現場)/愛西市(監禁・殺害現場)
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 1人  負傷者 0人
2007年(平成19年)8月24日深夜から25日未明にかけて、携帯電話向けの闇サイトで知り合った男3人が、名古屋市千種区の路上で帰宅途中の女性会社員(当時31歳)を拉致し、現金約6万2千円やキャッシュカードなどを奪ったうえ、愛知県愛西市の駐車場で殺害して遺体を岐阜県瑞浪市の山林に遺棄した。一審で死刑とされた2人のうち1人は控訴を取り下げて死刑が確定し、もう1人は控訴審で無期懲役に減軽されて2012年に確定した。自首した残る1人も無期懲役が確定した。
闇サイト殺人事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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事件の経過

2007年8月24日23時10分ごろ、愛知県名古屋市千種区内の路上で、帰宅途中だった女性会社員(当時31歳)が、携帯電話向けの闇サイト「闇の職業安定所」を通じて知り合った男3人に拉致され、自動車内に監禁された。3人は被害者から現金約6万2千円とキャッシュカードなどを奪い、暗証番号を聞き出したうえで、翌25日1時ごろ、愛西市内の屋外駐車場で首を絞めたりハンマーで頭部を殴ったりするなどして殺害し、同日早朝、遺体を岐阜県瑞浪市の山林に遺棄した。犯人らは闇サイトを通じて知り合っただけの互いに面識の乏しい者同士で、金を得る目的で結びついて犯行に及んだ点が注目された。被害者が犯人らに伝えた暗証番号「2960」は実際の番号とは異なるもので、犯人らはその後ATMで預金を引き出そうとしたが果たせなかった。被害者の母親と交際相手は、この数字を「憎むわ(ニクムワ)」の語呂合わせだと証言している。事件当日の午後、3人のうち1人が愛知県警に電話で自首し、事件が発覚した。
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裁判の経過

3人は強盗殺人・死体遺棄などの罪に問われ、2009年3月18日、名古屋地方裁判所は2人に死刑、自首した1人に無期懲役の判決を言い渡した。死刑を言い渡された被告の1人は同年4月13日に控訴を取り下げ、死刑が確定した。もう1人の死刑判決については、2011年4月12日、控訴審の名古屋高等裁判所が、犯行の計画は綿密なものではなく、重大な前科がないことなどから矯正の可能性があるとし、主導した共犯者と役割を同等とはできず被害者が1人であることを考えると死刑とするにはためらいがあるとして、一審の死刑判決を破棄し無期懲役を言い渡した。同じ判決で、一審で無期懲役とされた被告については検察側の控訴が棄却され、その後無期懲役が確定した。検察側は死刑を破棄した判決を不服として上告したが、最高裁判所第二小法廷は2012年7月11日付の決定で、被告の刑事責任は重大であるとしつつも、共犯者との役割の違いや被害者が1人であることを踏まえた高裁の判断を是認して上告を棄却し、同月18日付で無期懲役が確定した。

死刑適用基準をめぐる議論

本件は、1983年の最高裁判決で示されたいわゆる永山基準——犯行の性質・動機・態様(特に殺害された被害者の数)・結果の重大性・遺族の被害感情・社会的影響・被告人の年齢・前科・犯行後の情状などを総合的に考慮し、罪責が誠に重大で罪刑の均衡や一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合に死刑を選択するという枠組み——の適用が改めて問われた事件として注目された。一審の名古屋地裁は被害者が1人の事件で2人に死刑を言い渡したが、控訴審は主導的立場にあった共犯者との役割の違いや被害者が1人である点を踏まえてうち1人を無期懲役に減軽し、最高裁もこの判断を是認した。同一の被害者1人に対する共同犯行で、共犯者の間で死刑と無期懲役に刑が分かれた事件として知られている。

被害者遺族の活動と被害者支援制度への提言

被害者の母親は、事件から20日ほどたった9月半ば、姉と2人で加害者の極刑を求める署名活動を始めた。9月22日にはホームページを立ち上げて協力を呼びかけ、当初の期限とした10月1日までに10万件を超える署名が集まった。署名活動はすべての裁判が結審したのを受けて娘の5年目の命日をもって終了し、協力者は33万2,806人に達した。母親は殺人事件被害者遺族の会「宙の会」幹事として、2013年度の警察庁「犯罪被害者週間」啓発事業(島根大会)の基調講演に登壇し、自身の体験を踏まえて被害者支援制度の改善を訴えた。具体的には、加害者と同様に被害者側にも国選弁護人を付けられるよう資力要件を見直すこと、被告側は無料で受け取れる証拠資料のコピーに被害者側は費用がかかる不公平の是正、重大事件では警察の担当者が被害者支援センターへ直接取り次ぐことで早期の支援につなげる仕組みなどを提言した。

その後の展開

控訴審で無期懲役に減軽され服役していた被告の1人は、無期懲役の確定から約2週間後の2012年8月3日、1998年6月に愛知県碧南市で起きたパチンコ店長夫婦の強盗殺人事件の容疑で、共犯者とともに逮捕された。さらに2013年1月には、2006年6月に名古屋市守山区で起きた強盗殺人未遂事件でも逮捕された。これらの事件の裁判で同被告は2015年12月に名古屋地裁で死刑を言い渡され、2019年7月に最高裁が上告を棄却して同年8月に死刑が確定した。闇サイト殺人事件では無期懲役となった人物が、別の事件で死刑を言い渡される結果となった。一方、闇サイト殺人事件で先に死刑が確定していたもう1人の被告に対しては、2015年6月25日に刑が執行された。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2007年8月24日
  2. 判決 2009年3月18日 +572日
  3. 判決 2011年4月12日 +755日
  4. 逮捕 2012年8月3日 +479日

経過

  1. 2007年8月24日
    平成19年

    事件・事故 女性が拉致・監禁のうえ殺害される

  2. 2009年3月18日
    平成21年

    判決 名古屋地方裁判所が2人に死刑、1人に無期懲役の判決

    名古屋地方裁判所

  3. 2009年4月13日
    平成21年

    その他 被告の1人が控訴を取り下げ死刑確定

  4. 2011年4月12日
    平成23年

    判決 名古屋高裁が1人の死刑判決を破棄し無期懲役に

    一審で無期懲役とされた被告については検察側の控訴を棄却した。

    名古屋高等裁判所

  5. 2012年7月18日
    平成24年

    その他 残る被告の無期懲役が確定

    最高裁第二小法廷が7月11日付で検察側の上告を棄却し、二審の無期懲役判決が確定した。

    最高裁判所

  6. 2012年8月3日
    平成24年

    逮捕 無期懲役が確定した元被告を碧南市の夫婦殺害事件で逮捕

    1998年に愛知県碧南市で起きたパチンコ店長夫婦の強盗殺人事件の容疑。

  7. 2015年6月25日
    平成27年

    その他 死刑が確定していた元被告の死刑を執行

出典・公的資料

一次資料 1件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。

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「闇サイト殺人事件」事件JP、2026年10月31日閲覧。https://jiken.jp/cases/2007-dark-site-murder/
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更新履歴

  • 2026年10月1日 事実精度監査:「現金を引き出させた」との記述を訂正(偽の暗証番号のため引き出しは失敗)、暗証番号の語呂合わせの根拠(母親らの証言)と遺体遺棄・自首の経過を追記、碧南市の事件の被害者(パチンコ店長夫婦)を訂正、控訴審判決の理由を報道に基づき修正
  • 2026年9月4日 一次資料(警察庁・犯罪被害者週間基調講演)を追加し、死刑適用基準の議論・被害者遺族の活動・その後の展開(碧南事件との関係)の3セクションを新設して内容を拡充
  • 2026年7月17日 初版公開

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