金沢市夫婦強盗殺人事件 通称: 金沢夫婦刺殺事件

結末 2007年2月、元少年が控訴を取り下げ、少年法51条を適用した無期懲役(求刑も無期懲役)が確定した

発生日 2004年9月13日(平成16年) 2004年(平成16年)の事件 / 9月13日に起きた事件
経過 発生から22年1か月 2007年2月13日の確定から19年8か月
発生場所 石川県 金沢市(神野2丁目)
種別 強盗
状態 判決確定
被害 死者 2人  負傷者 0人
2004年(平成16年)9月13日未明、石川県金沢市神野2丁目の住宅に、面識のない17歳の無職の少年が侵入し、住人の夫婦(夫66歳・妻64歳)を刃物などで殺害して、現金約3700円入りの財布を奪った事件。少年は運転免許を取る費用を得る目的だったと認定された。少年は家庭裁判所から検察官に送致(逆送)されて刑事裁判を受け、金沢地裁は2006年、「本来は死刑をもって処断すべき」としたうえで、18歳未満の者に死刑を科さないと定める少年法51条により、求刑通り無期懲役を言い渡した。2007年に本人が控訴を取り下げ、刑が確定した。
金沢市夫婦強盗殺人事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
スポンサーリンク

事件の経過

2004年(平成16年)9月13日午前3時20分ごろ、石川県金沢市神野2丁目の住宅から、女性の声で「見知らぬ男が入ってきた」と110番通報があった。現場はJR金沢駅の西約5キロ、北陸自動車道の金沢西インターチェンジに近い住宅地で、内装工事業を営む男性(当時66歳)と妻(当時64歳)が2人で暮らしていた。 駆けつけた金沢西署員が、1階で刺されて倒れている夫婦を見つけ、裏口から血の付いたナイフを持って出てきた男を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。男は「人を刺した」と認めた。夫は通報の約1時間後、妻は約2時間後に死亡し、同署は容疑を殺人に切り替えた。 逮捕されたのは石川県内に住む17歳の無職の少年で、夫婦とは面識がなかった。少年は勝手口の窓ガラスを割って侵入しており、「盗み目的で侵入した」と話した。
スポンサーリンク

動機と少年の供述

少年は県警の調べに「運転免許を取る費用が欲しかった」と供述した。少年は母親の車を無免許で運転して自宅を出て、運転しているときから盗みに入るつもりだったと話した。現場の約2キロ西で車が道路脇の溝に脱輪したため、そこからは歩いて侵入する家を探したという。 後の判決は、少年が運転免許取得のための金を奪う目的で夫婦方に侵入し、2人を大型のナイフと鉄製の杭で殺害して、現金約3700円入りの財布を奪ったと認定した。 事件後、インターネットの掲示板に少年を特定するような書き込みがあったとして、金沢地方法務局は9月22日、掲示板の管理者に書き込みの削除を求めた。

家庭裁判所から刑事裁判へ

県警は9月14日、少年を強盗殺人、銃刀法違反、住居侵入の疑いで金沢地検に送検した。少年は金沢家裁に送致され、10月14日に開かれた第1回の少年審判で、強盗殺人などの非行事実を「間違いありません」と認めた。その後、少年は金沢家裁から検察官に送致(逆送)され、強盗殺人などの罪で起訴された。 2004年12月22日に金沢地裁で開かれた初公判で、少年は起訴事実を認めた。弁護側は、金品を奪う目的の犯行であることは争わないとしたうえで、犯行時の責任能力に影響する障害があると主張し、精神鑑定の実施を求める方針を示した。

一審・金沢地裁の無期懲役判決

検察側は論告で、少年法51条を適用した無期懲役を求刑した。同条は、犯行時18歳未満の者に対しては、死刑で処断すべきときは無期刑を科すと定めている。 金沢地裁は2006年12月18日、主文の言い渡しを後回しにして判決理由を述べた。堀内満裁判長は、殺害のための凶器を複数用意するなど意識は清明で、完全責任能力があったと認定し、アスペルガー症候群の疑いが強いとする弁護側の主張を退けた。そのうえで「犯行は冷酷無情で酌量の余地は全くない」「残虐非道で、本来は死刑をもって処断すべき」と述べ、求刑通り、18歳未満の少年の犯罪としては最高刑にあたる無期懲役を言い渡した。北國新聞によると、最高裁が把握する18歳未満の少年に対する一審の無期懲役判決は1966年以降で6件目、金沢地裁では統計が残る1978年以来初めてだった。

刑の確定とその後

判決後、夫婦の長男は「年齢に関係なく、死刑を適用できるように少年法を見直してほしい」と訴えた。遺族は元少年とその両親を相手に、約4900万円の損害賠償を求める民事訴訟も起こしていた。 弁護人は2006年12月27日、名古屋高裁金沢支部に控訴したが、本人の控訴の意思は確認できないとしていた。元少年は2007年2月13日、自ら控訴を取り下げ、無期懲役が確定した。 2022年、重大な少年事件の記録が各地の家庭裁判所で廃棄されていた問題が明らかになると、本件も最高裁が経緯を個別に調べる全国52件の少年事件の一つに含まれた。金沢家裁は取材に対し、本件の少年の記録が作成されたかどうか不明だと答えている。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2004年9月13日
  2. 逮捕 2004年9月13日 +0日
  3. 公判 2004年12月22日 +100日
  4. 判決 2006年12月18日 +726日
  5. 判決 2007年2月13日 +57日

経過

  1. 2004年9月13日
    平成16年

    事件・事故 金沢市神野の住宅に少年が侵入し、夫婦を殺害

    死者2人。現金約3700円入りの財布が奪われた

  2. 2004年9月13日
    平成16年

    逮捕 現場から出てきた17歳の少年を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕

    夫婦の死亡により容疑を殺人に切り替え

  3. 2004年9月14日
    平成16年

    その他 強盗殺人などの疑いで金沢地検に送検

    強盗殺人、銃刀法違反、住居侵入の疑い

  4. 2004年10月14日
    平成16年

    その他 金沢家裁で第1回少年審判、少年が非行事実を認める

    その後、検察官送致(逆送)され、強盗殺人などの罪で起訴された

    金沢家庭裁判所

  5. 2004年12月22日
    平成16年

    公判 金沢地裁で初公判、少年が起訴事実を認める

    弁護側は責任能力を争う方針を示した

    金沢地方裁判所

  6. 2006年12月18日
    平成18年

    判決 金沢地裁が少年法51条を適用し、求刑通り無期懲役を言い渡す

    「本来は死刑をもって処断すべき」と判示

    金沢地方裁判所

  7. 2006年12月27日
    平成18年

    その他 弁護人が名古屋高裁金沢支部に控訴

  8. 2007年2月13日
    平成19年

    判決 元少年が控訴を取り下げ、無期懲役が確定

出典・公的資料

一次資料 1件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。

さらに調べるには

資料の探し方や引用の書き方は調べ学習・レポートでの使い方にまとめています。

関連する法律用語

この記事を引用する

レポート・記事などで本ページを参照する際は、以下の表記をご利用ください。一次資料までたどる方法は調べ学習・レポートでの使い方をご覧ください。

「金沢市夫婦強盗殺人事件」事件JP、2026年10月28日閲覧。https://jiken.jp/cases/2004-kanazawa-couple-robbery-murder/
スポンサーリンク

更新履歴

  • 2026年10月21日 初版公開

本ページは公的資料に基づいて作成しています。情報の誤りにお気づきの場合や、掲載内容の削除・訂正のご依頼は お問い合わせ・削除依頼よりご連絡ください。