緒方竹虎襲撃事件

発生日 1945年2月24日(昭和20年)
経過 発生から81年6か月
発生場所 東京都 千代田区霞が関(大政翼賛会本部)
種別 テロ・無差別襲撃
状態 終結
被害 死者 0人
1945年(昭和20年)2月24日、東京・霞が関の大政翼賛会本部会議室で、国務大臣・緒方竹虎が短刀を持った男に襲撃された。男は皇民化教育の影響を受けた朝鮮出身者で、弱体化した小磯内閣の打倒を狙ったとされる。緒方の側近に取り押さえられ未遂に終わったが、事件の刑事手続は長期化し、1998年、東京地方裁判所は公訴時効の完成を理由に免訴を言い渡した。
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事件の経緯

1945年2月24日、東京・霞が関の大政翼賛会本部会議室に、短刀を持った26歳の男が侵入し、国務大臣・緒方竹虎に殺意をもって切りかかった。緒方の側近らが男を取り押さえたため、緒方に危害は及ばなかった。大政翼賛会は、当時の日本において政党に代わる国民統合組織として機能しており、その本部会議室という国家の中枢に近い場所で現職閣僚が襲撃されたことは、戦争末期の政治的緊張の高まりを象徴する出来事として受け止められた。
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緒方竹虎という人物

緒方竹虎は朝日新聞社の主筆を経て、1944年に小磯国昭内閣の国務大臣兼情報局総裁に就任していた人物である。戦況の悪化に伴い政権基盤が弱体化する中、政府・大政翼賛会の要人が国家主義団体から危険視される情勢下で本件は発生した。緒方は事件後も政界にとどまり、戦後は自由党総裁代行等を務めるなど、日本の保守政治の中心的人物の一人として活動を続けた。緒方は事件後、情報局総裁として終戦工作にも関与し、戦後は公職追放を経て政界に復帰するなど、激動の時代を生き抜いた。

実行犯の背景

実行犯は朝鮮忠清南道の出身で、皇民化教育の影響から自らを日本人と認識するに至っていたとされる。1940年11月に皇民化運動の指導者を志して来日し、1941年4月には福岡で橋本欣五郎の講演に感化されて国家主義思想に傾倒した。1944年10月には国家主義者らとともに上京し、弱体化していた小磯内閣を打倒し、強力な維新内閣を樹立する手段として緒方の殺害を計画したとされる。実行犯は、当時の日本の植民地統治下で行われていた皇民化教育の影響を強く受け、朝鮮人でありながら自らを日本国家の一員として認識し、その立場から国家改造を志向するに至ったとされる点で、植民地統治政策がもたらした複雑な帰結を示す事例としても注目される。

その後の刑事手続

実行犯と日本人共犯者2人は、国政変乱に関する戦時刑事特別法違反(殺人未遂)の容疑で起訴された。実行犯は1945年12月に保釈され、1946年10月の第1回公判に出頭しなかった。長期間にわたり所在不明の状態が続いた末、1998年1月30日、東京地方裁判所は公訴時効が完成しているとして免訴の判決を言い渡した。

長期化した刑事手続の背景

事件の刑事手続は、実行犯が公判に出頭しなくなったことなどにより長期間にわたり停止した状態が続いた。戦後の混乱や国籍・所在の把握の難しさもあり、時効の起算・停止をめぐる法的な扱いが複雑化したまま半世紀以上が経過し、最終的に1998年の東京地裁判決で公訴時効の完成による免訴という形で決着した。

事件の位置づけ

本件は、太平洋戦争末期の混乱の中で、皇民化教育を受けた朝鮮出身者による現職閣僚への襲撃という特異な事件であり、また刑事手続が半世紀以上を経て公訴時効により終結した点でも異例の事例として記録されている。1998年の免訴判決は、戦時中に発生し公判が長期間停止していた事件が、時効制度の適用によって半世紀を経てようやく法的な決着をみた事例として、刑事訴訟法学の観点からも取り上げられることがある。

共犯とされた日本人の関与

実行犯に協力したとされる日本人2人も、国政変乱に関する戦時刑事特別法違反の容疑で起訴された。事件全体は、単独犯による突発的な犯行ではなく、国家主義思想を共有する複数人による組織的な計画であった点が特徴とされている。

経過

  1. 1945年2月24日
    昭和20年

    事件・事故 大政翼賛会本部で緒方竹虎が襲撃される

    短刀を持った男が緒方竹虎に切りかかったが、側近に取り押さえられた。

  2. 1998年1月30日
    平成10年

    その他 東京地裁が公訴時効の完成を理由に免訴

    長期間にわたり刑事手続が停止していた事件について、免訴の判決が言い渡された。

出典・公的資料

関連する法律用語

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「緒方竹虎襲撃事件」事件JP、2026年9月8日閲覧。https://jiken.jp/cases/1945-ogata-taketora-assault/

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更新履歴

  • 2026年8月19日 初版公開

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