光市母子殺害事件 通称: 光市母子殺人事件

結末 2012年2月、最高裁が上告を棄却し、犯行時18歳の元少年の死刑が確定

発生日 1999年4月14日(平成11年) 1999年(平成11年)の事件 / 4月14日に起きた事件
経過 発生から27年6か月 2012年2月20日の確定から14年8か月
発生場所 山口県 光市室積(社宅アパート)
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 2人  負傷者 0人
1999年(平成11年)4月14日、山口県光市の社宅アパートで、当時18歳の少年が配水管の検査を装って一室に侵入し、在宅していた主婦(当時23歳)を強姦しようとして激しく抵抗されたため首を絞めて殺害し、さらに激しく泣き続ける生後11か月の長女も犯行の発覚を恐れて殺害した事件。少年であることを理由に無期懲役とした一審・二審判決に対し、最高裁判所は2006年、審理を差し戻した。差し戻し後の広島高等裁判所は2008年4月、死刑を言い渡し、2012年2月に上告が棄却されて死刑が確定した。少年犯罪に対する量刑や、犯行時少年であった被告への死刑適用のあり方をめぐり、長期にわたり社会的な議論を呼んだ。
光市母子殺害事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)

事件の経過

1999年4月14日午後2時頃、山口県光市室積にあった新日鐵の社宅アパートの一室に、当時18歳の少年が配水管の検査を装って侵入した。少年は在宅していた主婦(当時23歳)を強姦しようと背後から抱き付いたが、激しく抵抗されたため、両手で首を強く絞めて窒息死させた。さらに、激しく泣き続ける生後11か月の長女についても、犯行の発覚を恐れて床にたたき付けるなどしたうえ、ひもで首を絞めて殺害した。少年は現金などの入った被害者の財布を盗み、2人の遺体を押し入れに隠して逃走した(最高裁判決の認定)。犯行の凶悪性に加え、犯人が事件当時18歳と少年法の適用対象であったことから、量刑のあり方をめぐる大きな社会的関心を呼ぶことになった。

裁判の経過

第一審の山口地方裁判所は2000年3月、検察官の死刑求刑に対し無期懲役を言い渡した。検察官は控訴したが、2002年3月の広島高等裁判所判決でも無期懲役が維持された。しかし検察官はさらに上告し、最高裁判所第三小法廷(濱田邦夫裁判長)は2006年6月20日、殺害に計画性がないことや犯行時18歳と30日の少年であったことなどは、死刑を回避すべき決定的な事情とまではいえないと指摘し、無期懲役を維持した控訴審判決は量刑が甚だしく不当であるとして破棄した。そのうえで、「死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情があるかどうかにつき更に慎重な審理を尽くさせるため」、審理を広島高等裁判所に差し戻した。差し戻し後の2008年4月22日、広島高等裁判所(楢崎康英裁判長)は、それまでの供述を翻して殺意や強姦の犯意を否定した被告人の新たな供述を「不自然不合理」で信用できないと退け、一審判決を破棄して死刑を言い渡した。被告側は上告したが、最高裁判所第一小法廷(白木勇裁判長)は2012年2月20日、犯行を「冷酷、残虐にして非人間的な所業」と述べ、犯行時少年であったことなどを十分考慮しても死刑はやむを得ないとして上告を棄却し、死刑が確定した。この判決には、被告人の精神的成熟度について審理を尽くすため差し戻すべきだとする宮川光治裁判官の反対意見が付いた。

その後

死刑確定後、弁護団は複数回にわたり再審請求を行っているが、いずれも棄却されている。2026年2月27日には、広島高等裁判所が第3次再審請求を棄却する決定を出し、弁護団はこれを不服として異議を申し立てている。本稿執筆時点で死刑は執行されていない。本件は、犯行時少年であった被告に死刑が適用された数少ない事例として、少年法の理念である更生可能性の重視と、被害の重大性に応じた量刑判断とのバランスをめぐる議論において、繰り返し参照される事件となっている。被害者の夫が実名で手記や取材を通じて事件を語り続けたことも、犯罪被害者遺族の声を社会に伝える活動として大きな注目を集めた。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 1999年4月14日
  2. 判決 2000年3月22日 +343日
  3. 判決 2002年3月14日 +722日
  4. 判決 2008年4月22日 +2,231日
  5. 判決 2012年2月20日 +1,399日

経過

  1. 1999年4月14日
    平成11年

    事件・事故 主婦と乳児が殺害される

    配水管の検査を装って侵入した少年が、強姦しようとして抵抗された主婦を殺害し、泣き続ける乳児も発覚を恐れて殺害した。

  2. 2000年3月22日
    平成12年

    判決 山口地方裁判所が無期懲役を言い渡し

    検察官の死刑求刑に対し無期懲役とした。

    山口地方裁判所

  3. 2002年3月14日
    平成14年

    判決 広島高等裁判所が控訴審で無期懲役を維持

    広島高等裁判所 (事件番号: 平成12年(う)第66号)

  4. 2006年6月20日
    平成18年

    その他 最高裁判所が審理を広島高等裁判所に差し戻し

    殺害に計画性がないことや犯行時18歳であったことは死刑回避の決定的事情とまではいえないとして、控訴審判決を破棄し差し戻した。

    最高裁判所第三小法廷 (事件番号: 平成14年(あ)第730号)

  5. 2008年4月22日
    平成20年

    判決 広島高等裁判所(差し戻し審)が死刑を言い渡し

    被告人の新供述を不自然不合理として退け、一審判決を破棄して死刑を言い渡した。

    広島高等裁判所 (事件番号: 平成18年(う)第161号)

  6. 2012年2月20日
    平成24年

    判決 最高裁判所が上告を棄却し死刑が確定

    宮川光治裁判官の反対意見(差し戻すべき)があったが、多数意見で上告を棄却した。

    最高裁判所第一小法廷 (事件番号: 平成20年(あ)第1136号)

出典・公的資料

一次資料 3件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。

さらに調べるには

資料の探し方や引用の書き方は調べ学習・レポートでの使い方にまとめています。

関連する法律用語

この記事を引用する

レポート・記事などで本ページを参照する際は、以下の表記をご利用ください。一次資料までたどる方法は調べ学習・レポートでの使い方をご覧ください。

「光市母子殺害事件」事件JP、2026年10月30日閲覧。https://jiken.jp/cases/1999-hikari-mother-child-murder/

更新履歴

  • 2026年10月3日 一次資料補強:最高裁(2006年・2012年)と差戻後控訴審(2008年)の判決を出典に追加。最高裁判決の引用を判決文どおりに訂正し、犯行態様、2012年判決の反対意見を加筆
  • 2026年9月26日 一審・控訴審の判決日を精緻化(プレースホルダー月精度から実際の日付に)
  • 2026年7月16日 初版公開

本ページは公的資料に基づいて作成しています。情報の誤りにお気づきの場合や、掲載内容の削除・訂正のご依頼は お問い合わせ・削除依頼よりご連絡ください。