関越自動車道高速バス居眠り運転事故 通称: 関越道ツアーバス事故
結末 2014年3月、前橋地裁で運転手に懲役9年6月・罰金200万円の判決が言い渡され、控訴せず確定
| 発生日 | 2012年4月29日(平成24年) 2012年(平成24年)の事件 / 4月29日に起きた事件 |
|---|---|
| 経過 | 発生から14年6か月 2014年3月25日の確定から12年7か月 |
| 発生場所 | 群馬県 藤岡市(関越自動車道上り線藤岡ジャンクション付近) |
| 種別 | 事故 |
| 状態 | 判決確定 |
| 被害 | 死者 7人 負傷者 38人 |
- 事故・災害が変えた安全対策過当競争下の格安ツアーバスの構造的問題が露呈し、高速ツアーバス制度の廃止と新高速乗合バス制度への一本化につながった。
2012年(平成24年)4月29日未明、群馬県藤岡市の関越自動車道上り線藤岡ジャンクション付近で、金沢発・高岡経由で東京ディズニーリゾートに向かっていた高速ツアーバスが居眠り運転により防音壁に衝突し、乗客7人が死亡、乗客38人が重軽傷を負った事故。運転手は無許可のバス運送業も営んでおり睡眠不足が続いていた。前橋地方裁判所は2014年3月、懲役9年6月・罰金200万円を言い渡し、判決が確定した。事故を契機に高速ツアーバスは廃止されて新高速乗合バスに移行した。
スポンサーリンク
事故の経過
前橋地裁の判決によれば、事故を起こしたバス便はJR金沢駅を出発し、JR高岡駅を経由して東京都内の停留所を回り、最終的に千葉県浦安市の東京ディズニーリゾートに向かう高速ツアーバスで、旅行会社が企画したライナー便の増発分だった。運転手(当時43歳)は金沢駅で乗客33人、高岡駅で12人を乗せ、4月28日午後11時28分ごろに高岡駅を出発して単独で運転を続けた。29日午前4時20分ごろ、関越自動車道上りを時速約90キロで走行中に睡眠不足と疲労のため眠気を覚えたが運転を続け、午前4時40分ごろ、群馬県藤岡市岡之郷付近で仮睡状態に陥り、バスを道路左脇のガードレールに接触させたうえ、防音壁に衝突させた。バスの車体は前部から約10.5メートルにわたり左右に裂けるように壊れ、17歳から50歳の乗客7人が死亡し、乗客38人が重軽傷を負った。
スポンサーリンク
裁判の経過とその後の対策
判決は、運転手が無許可でバス運送業を営むかたわら、運行会社のアルバイト運転手もしており、2012年3月ごろから事故の頃までは自ら営むバス運送業で多忙を極め、十分な睡眠がとれない状態が続いていたと認定した。運転手は自動車運転過失致死傷のほか、無許可で中国人旅行客らを運送して運賃を受け取った道路運送法違反、車両の登録をめぐる電磁的公正証書原本不実記録・同供用の罪にも問われた。2014年3月25日、前橋地方裁判所は懲役9年6月・罰金200万円(求刑・懲役10年、罰金200万円)を言い渡し、判決は確定した。羽田雄一郎国土交通大臣は国会で、事故を受けて全国の関係事業者への緊急重点監査、旅行業者と貸切バス事業者の取引内容の明確化、利用者への安全情報の表示の義務付けなどの緊急対策を講じたと説明し、その後、バス事業の安全基準と監査体制の強化、処分の厳格化とともに、高速ツアーバスから新高速乗合バス制度への移行を進めた。
格安ツアーバスをめぐる構造的問題
事故を起こしたバスは、旅行会社が企画し、運行会社に運行のみを委託する形態の「高速ツアーバス」であった。当時、こうした都市間ツアーバスは、通常の高速乗合バスに比べて運賃が安く設定される一方、過当な価格競争の中で運行会社が運転手の労働環境や車両整備に十分な投資を行えていない実態があると指摘されていた。本事故でも、運転手が実際には十分な休息を取れないまま長距離運行に従事していたことが判明し、運行を委託した旅行会社と、実際に運行を担った会社との間で安全管理の責任の所在が曖昧になりやすい構造が問題視された。国土交通省はこの事故を重大な教訓として、高速ツアーバス制度そのものを廃止するという抜本的な制度改正に踏み切った。
経過
-
2012年4月29日
平成24年事件・事故 ツアーバスが防音壁に衝突
居眠り運転により乗客7人が死亡、38人が重軽傷を負った。
-
2012年4月29日
平成24年逮捕 運転手を自動車運転過失致死傷容疑で逮捕
-
2014年3月25日
平成26年判決 前橋地方裁判所が懲役9年6月・罰金200万円を言い渡し、確定
運転手が控訴しなかったため判決が確定した。
前橋地方裁判所
出典・公的資料
一次資料 3件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。
-
判決文・裁判記録
裁判所 2014年3月25日発行バス便の行程、出発・衝突の時刻と地点、死傷者数、運転手の無許可営業と睡眠不足の経緯、罪名と量刑(求刑懲役10年・罰金200万円)を確認
- その他
- その他
-
調査報告書
国会会議録検索システム(国立国会図書館) 2012年6月13日発行事故を受けた緊急重点監査など夏の多客期に向けた緊急対策を確認
-
調査報告書
国会会議録検索システム(国立国会図書館) 2012年11月2日発行バス事業の安全基準・監査体制の強化と新高速乗合バス制度への移行を確認
さらに調べるには
- 国立国会図書館サーチこの事件を扱った書籍・雑誌記事を探す
- CiNii Research論文・判例研究を探す
- 裁判所 裁判例検索判決文を探す(公開されている判決のみ)
- 国会会議録検索システム国会でこの事件がどう議論されたかを調べる
資料の探し方や引用の書き方は調べ学習・レポートでの使い方にまとめています。
関連する法律用語
この記事を引用する
レポート・記事などで本ページを参照する際は、以下の表記をご利用ください。一次資料までたどる方法は調べ学習・レポートでの使い方をご覧ください。
「関越自動車道高速バス居眠り運転事故」事件JP、2026年10月31日閲覧。https://jiken.jp/cases/2012-kanetsu-expressway-bus-crash/
スポンサーリンク
更新履歴
- 2026年10月19日 年表の負傷者数を判決の認定(乗客38人)にそろえて訂正
- 2026年10月3日 一次資料補強:前橋地裁の判決文(裁判所ウェブサイト)と国会会議録(国土交通大臣)を出典に追加し、衝突時刻(4時50分→4時40分)、負傷者数(乗客38人)、行程(最終目的地は東京ディズニーリゾート)を訂正、運転手の無許可営業と睡眠不足の経緯、罪名を追記
- 2026年7月16日 初版公開
本ページは公的資料に基づいて作成しています。情報の誤りにお気づきの場合や、掲載内容の削除・訂正のご依頼は お問い合わせ・削除依頼よりご連絡ください。