鳥取連続不審死事件

結末 2017年8月、最高裁で女の死刑判決が確定し、女は執行されないまま2023年1月に拘置所で死亡

発生日 2009年4月4日(平成21年) 〜 2009年10月6日 2009年(平成21年)の事件 / 4月4日に起きた事件
経過 発生から17年6か月 2017年8月23日の確定から9年2か月
発生場所 鳥取県 東伯郡北栄町、鳥取市
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 2人
2009年4月と10月、鳥取県で、女に金の支払いを求めていた男性2人が、睡眠薬などを飲まされたうえで海と川に誘い込まれて溺死させられた強盗殺人事件。女の周辺で男性の死が相次いだことから「連続不審死」と報じられたが、裁判で殺害と認定されたのはこの2人の事件である。直接の証拠がない中、裁判員裁判の鳥取地裁は2012年に状況証拠を積み重ねて女を犯人と認め、死刑を言い渡した。2017年に最高裁が上告を棄却して死刑が確定し、女は2023年に拘置所で死亡した。
鳥取連続不審死事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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相次いだ男性の死

2009年4月、鳥取県のトラック運転手の男性(当時47歳)が北栄町の海で、同年10月には鳥取市で電器店を営む男性(当時57歳)が市内の摩尼川で、それぞれ遺体となって見つかった。朝日新聞によると、この2人と、同じ10月に死亡した別の男性の計3人の体内から、睡眠導入剤とみられる物質が検出された。県警は、11月2日にそれぞれ別の詐欺の容疑で逮捕された同居の男女と、3人との接点を調べた。女の周辺ではほかにも男性の死があったと報じられ、事件は「連続不審死」と呼ばれた。しかし、2010年5月10日に県警が捜査本部を解散した際、3人目の男性の死は病死と判断され、立件されなかった。殺人の罪に問われたのは、北栄町と摩尼川の2人の事件だけである。
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起訴された2つの事件

女は詐欺の容疑で勾留されていた2010年1月28日に摩尼川の事件で、3月3日に北栄町の事件で逮捕され、2件の強盗殺人の罪で起訴された。起訴状によると、女はトラック運転手の男性から合計270万円の借金の返済を求められていたが、2009年4月4日、睡眠作用のあるトリアゾラムなどを含む睡眠薬などを飲ませて意識をもうろうとさせ、北栄町の砂浜付近で海の中に誘い込んで溺れさせ、殺害したとされた。また、電器店の男性からは電化製品の代金の支払いを求められていたが、10月6日、同じように睡眠薬などを飲ませて摩尼川に誘い込み、殺害したとされた。女はこのほか、元同居男性と共謀した詐欺などの罪でも起訴された。女は2件の強盗殺人について、「私はやっていません」と否認した。

状況証拠だけで争われた裁判員裁判

裁判は裁判員裁判で行われた。この裁判を分析した島大法学の論文によると、公判前整理手続は2010年1月から2012年9月までの2年8か月の間に42回開かれ、殺害と女を直接結びつける証拠がない中で、状況証拠だけから女が犯人と言えるかどうかが争点となった。弁護側は、元同居男性が犯人だと主張した。第1回公判は2012年9月25日に開かれ、判決までの期間は75日に及んだ。この長さは、首都圏で同じころに起きた連続不審死事件のさいたま地裁の裁判に次ぐものだった。女は被告人質問で黙秘した。被害者の体内から検出された睡眠薬などの成分は珍しい組み合わせで、それを処方していた医師は、1,000人以上診察した患者の中で同じ組み合わせで処方した患者はほかにいなかったと証言した。

鳥取地裁の死刑判決

2012年12月4日、鳥取地裁は2件の強盗殺人を女の犯行と認め、死刑を言い渡した。判決は、女が被害者から金の支払いを強く求められると安易に殺害を決意したとし、「自己に都合の悪い存在をこの世から消し去ることにより自らの安泰を図ろうという冷酷かつ身勝手な動機」だと述べた。さらに、北栄町の事件で殺人の重大性を知りながら摩尼川の事件に及んだことを、同じ機会に2人を殺害した場合と比べてより強く非難されるべきだとし、極刑をもって臨むのがやむを得ないとした。一方で、摩尼川の事件で女が支払いを免れた代金について、判決は検察官が主張した123万5,800円ではなく、53万1,950円と認定した。

最高裁の判断と死刑の確定

2014年3月20日、広島高裁松江支部は控訴を棄却した。2017年7月27日、最高裁第一小法廷は上告を棄却した。判決は、女が犯人であることについて、①女は各被害者が行方不明になった際に最後に接触していた人物で、その後まもなく一人でいるところを同居の男性に体がぬれた状態で目撃されたこと、②遺体から検出された特徴的な組み合わせの睡眠薬などを事前に入手していたか、入手できたこと、③被害者に対する債務があり殺害の動機があったこと、などを総合すれば、いずれも合理的な疑いを差し挟む余地がない程度に証明されているとした。そして、強固な殺意に基づく計画的で冷酷な犯行であり、死刑はやむを得ないと判断した。裁判官全員一致の判断だった。判決に対する訂正の申立ても8月23日付で退けられ、死刑が確定した。

死因究明制度への問い

2010年2月24日の衆議院法務委員会では、議員が、鳥取と首都圏でそれぞれ連続不審死事件が起き、いずれも自殺に見せかけるなど殺害を偽装した疑いがあると指摘し、犯罪による死が見逃されているのではないかという不安の声があり、現行の解剖や検視の制度に一石を投じていると述べた。国家公安委員長は、警察庁が死因究明制度の強化に向けて有識者の研究会を立ち上げたことを説明し、解剖率を引き上げる考えを示した。女は2023年1月14日、収容されていた広島拘置所で食事中に食べ物を喉に詰まらせて死亡した。法務省が翌日に明らかにした。死刑は執行されなかった。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2009年4月4日
  2. 事件・事故 2009年10月6日 +185日
  3. 逮捕 2009年11月2日 +27日
  4. 逮捕 2010年1月28日 +87日
  5. 逮捕 2010年3月3日 +34日
  6. 公判 2012年9月25日 +937日
  7. 判決 2012年12月4日 +70日
  8. 判決 2014年3月20日 +471日
  9. 判決 2017年7月27日 +1,225日
  10. 判決 2017年8月23日 +27日

経過

  1. 2009年4月4日
    平成21年

    事件・事故 北栄町の海岸でトラック運転手の男性が殺害される

  2. 2009年10月6日
    平成21年

    事件・事故 鳥取市の摩尼川で電器店の男性が殺害される

  3. 2009年11月2日
    平成21年

    逮捕 同居の男女を別の詐欺容疑で逮捕

  4. 2010年1月28日
    平成22年

    逮捕 摩尼川の事件で女を逮捕

  5. 2010年3月3日
    平成22年

    逮捕 北栄町の事件で女を再逮捕

  6. 2010年5月10日
    平成22年

    捜査 県警が捜査本部を解散、3人目の死は病死と判断

  7. 2012年9月25日
    平成24年

    公判 鳥取地裁で裁判員裁判の初公判

    女は強盗殺人を否認

    鳥取地方裁判所

  8. 2012年12月4日
    平成24年

    判決 鳥取地裁が死刑判決

    鳥取地方裁判所

  9. 2014年3月20日
    平成26年

    判決 広島高裁松江支部が控訴を棄却

    広島高等裁判所松江支部

  10. 2017年7月27日
    平成29年

    判決 最高裁が上告を棄却

    裁判官全員一致

    最高裁判所第一小法廷 (事件番号: 平成26年(あ)第589号)

  11. 2017年8月23日
    平成29年

    判決 訂正の申立てが退けられ死刑判決が確定

    最高裁判所第一小法廷

  12. 2023年1月14日
    令和5年

    その他 女が広島拘置所で死亡

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「鳥取連続不審死事件」事件JP、2026年10月28日閲覧。https://jiken.jp/cases/2009-tottori-serial-suspicious-deaths/
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更新履歴

  • 2026年10月14日 初版公開

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