栃木兄弟誘拐殺人事件

発生日 2004年9月11日(平成16年)
経過 発生から22年
発生場所 栃木県 小山市(思川)
種別 誘拐・監禁
状態 終結
被害 死者 2人  負傷者 0人
2004年(平成16年)9月11日深夜、栃木県小山市の橋の上で、男(当時39歳)が同居家庭の幼い兄弟(4歳・3歳)を橋の下の川に投げ落として殺害した。男は日頃から兄弟を虐待していたとされる。2005年9月8日、宇都宮地方裁判所は死刑判決を言い渡したが、控訴審中に被告人が病死し、確定判決のないまま裁判手続きは終了した。
栃木兄弟誘拐殺人事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)

虐待の経緯と行政の対応

2004年6月、栃木県小山市のアパートで、家主の男(当時39歳、覚醒剤依存症)が、父親の友人として同居を始めた。男は次第に同居家庭の幼い兄(4歳)・弟(3歳)をうるさく思うようになり、日常的に暴行を加えるようになった。同年7月、コンビニエンスストアの店長が虐待を疑って警察に通報したことをきっかけに、警察と栃木県県南児童相談所が介入し、兄弟は一時保護された。しかし児童相談所は虐待の全容を把握しないまま兄弟を父親のもとへ帰し、その後兄弟が男の家に戻っていた事実を把握しながらも家庭訪問など追加の対応をとらなかった。兄弟の祖母は児童相談所に家庭訪問を再三要請していたとされる。

事件の経過

2004年9月10日、男は兄弟をガソリンスタンドや車内で暴行し、2人は息も絶え絶えの状態になった。翌11日午前1時30分ごろ、男は小山市内を流れる思川に架かる橋の上で車を止め、助手席で眠っていた兄弟を1人ずつ車外に引きずり出すと、転落防止用ワイヤーの隙間から約5メートル下の川へ投げ込み、殺害した。後部座席には男の実の娘も同乗しており、兄弟の泣き声で目を覚ましたという。

捜査の経緯

9月12日深夜、男は未成年者誘拐容疑で逮捕された。当初は「12日午前1時30分ごろ、小山市間々田の路上に2人を置き去りにした」と供述していたが、350人態勢の捜索が始まった13日以降に供述を翻し、川への投棄を認めた。14日に弟の遺体が思川の中州で発見され、16日には兄の遺体も見つかった。17日、男は殺人容疑で再逮捕され、動機について「同居への不満に加え、2人を殴ってあざを作ってしまい、そのまま連れて帰れば父親に殴られると思った」と供述した。19日に宇都宮地検へ送検され、10月8日、殺人罪で起訴された。

裁判の経過

2004年12月14日の初公判で、男は起訴事実を認めたうえで、覚醒剤の影響による心神耗弱を主張した。2005年8月9日、検察は「落ち度もない幼児2人を橋の上から投げ入れて殺害した犯行態様は卑劣」として死刑を求刑。同年9月8日、宇都宮地方裁判所は男に完全責任能力を認定したうえで求刑通り死刑を言い渡し、判決の中で児童相談所の対応についても「誠に遺憾な対応と言わざるを得ない」と言及した。男は控訴したが、係属中の2006年6月4日に東京拘置所で病死した(41歳)。同21日、東京高等裁判所は被告人死亡を理由に公訴棄却を決定し、確定判決のないまま刑事手続きは終了した。なお、兄弟の父親は覚醒剤取締法違反(使用)容疑で逮捕・起訴され、2004年11月22日に懲役1年6月の実刑判決を受け、控訴せず確定した。

児童福祉行政への影響

事件を受け、栃木県は2005年2月7日付で組織改編を実施し、児童福祉司を中心とする児童虐待対応チームを県内3か所の全児童相談所に配置した。厚生労働省も児童福祉司の配置基準を見直し、市町村と児童相談所の連携・フォロー体制の強化を進めた。

オレンジリボン運動の広がり

2005年、小山市社会福祉協議会の講座をきっかけに市民団体「カンガルーOYAMA」が結成され、「二度と同様の事件を起こさない」という願いを込めて、子ども虐待防止を呼びかけるオレンジリボン運動を開始した。2006年には認定NPO法人「児童虐待防止全国ネットワーク」が運動の全国的な窓口となり、活動は全国に拡大した。2007年11月以降、厚生労働省は毎年11月を「児童虐待防止推進月間」に指定している。事件現場付近には匿名の人物によって兄弟を供養する地蔵が設置され、地域住民によって手入れが続けられている。事件発生から20年が経過した2024年の地元紙の取材でも、児童虐待の相談件数は高止まりが続いていることが報じられており、事件前日に兄弟を撮影した地元の牧師は「近くにいながら救えなかった」と振り返るなど、事件の記憶と教訓は地域で受け継がれている。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2004年9月11日
  2. 逮捕 2004年9月17日 +6日
  3. 起訴 2004年10月8日 +21日
  4. 判決 2005年9月8日 +335日

経過

  1. 2004年9月11日
    平成16年

    事件・事故 幼い兄弟が橋から川に投げ落とされる

  2. 2004年9月17日
    平成16年

    逮捕 殺人容疑で再逮捕

    9月12日に未成年者誘拐容疑でいったん逮捕。

  3. 2004年10月8日
    平成16年

    起訴 殺人罪で起訴

  4. 2005年9月8日
    平成17年

    判決 宇都宮地方裁判所が死刑判決

    宇都宮地方裁判所

  5. 2006年6月21日
    平成18年

    その他 被告人死亡により東京高等裁判所が公訴棄却を決定

    控訴審係属中の2006年6月4日に被告人が病死。

    東京高等裁判所

出典・公的資料

関連する法律用語

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「栃木兄弟誘拐殺人事件」事件JP、2026年9月15日閲覧。https://jiken.jp/cases/2004-tochigi-brothers-abduction-murder/

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更新履歴

  • 2026年8月12日 本文を6セクション・約1,900字に拡充(虐待経緯・行政対応・児童福祉行政への影響・オレンジリボン運動を追加)
  • 2026年7月17日 初版公開

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