高知白バイ衝突死事故 通称: 高知白バイ事件

発生日 2006年3月3日(平成18年)
経過 発生から20年6か月 2008年8月20日の確定から18年
発生場所 高知県 吾川郡春野町(現・高知市)
種別 事故
状態 判決確定
被害 死者 1人
2006年(平成18年)3月3日午後2時30分ごろ、高知県吾川郡春野町(現・高知市)の国道56号の交差点で、中学生らを乗せたスクールバスと警察の白バイが衝突し、白バイに乗っていた巡査長(26)が胸部大動脈破裂で死亡した。バスの運転手が業務上過失致死罪で起訴され、禁錮1年4月の実刑判決が2008年に確定した。しかし運転手側は一貫して「バスは停止していた」と無罪を主張し、ブレーキ痕の成因や白バイの速度をめぐって争いが続いた。再審請求は3度にわたって退けられ、2018年5月に最高裁が特別抗告を棄却した。
高知白バイ衝突死事故を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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事故の発生

2006年(平成18年)3月3日午後2時30分ごろ、高知県吾川郡春野町弘岡中(現・高知市)の国道56号の交差点で衝突事故が起きた。 中学生ら乗客を乗せたスクールバスが、道路脇のレストランの駐車場から国道へ右折して進入しようとしたところ、走行してきた高知県警察の白バイと衝突した。白バイに乗車していた26歳の巡査長は胸部大動脈破裂により死亡した。 バスには中学生22人と教員3人が乗っていたが、けが人は出なかった。修学旅行の帰路で立ち寄った休憩からの出発直後という状況だった。
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起訴と一審判決

高知地方検察庁は、スクールバスの運転手を業務上過失致死罪で起訴した。検察側の主張は、運転手が安全確認を十分に行わないまま道路に進入したことが事故の原因である、というものだった。 これに対して運転手は起訴内容を否認し、「衝突の瞬間、バスは停止していた」と一貫して無罪を主張した。バスに乗っていた中学生や教員も、バスは止まっていたと証言した。 2007年6月7日、高知地方裁判所(片多康裁判官)は運転手に禁錮1年4月の実刑判決を言い渡した。執行猶予は付されなかった。判決は検察側の主張を採用し、バスが走行中に白バイと衝突したと認定している。

争点となった証拠

公判では複数の物証と証言の評価が正面から争われた。 最大の争点はブレーキ痕だった。検察側は、現場に残された前輪1.2メートルと1メートルのブレーキ痕はバスの急ブレーキによるもので、捏造ではないと主張した。弁護側は、バスがわずか6.5メートル移動しただけでこの長さのブレーキ痕が生じるのかを疑問視し、乗客の誰も急ブレーキを感じていないこと、飲料水を塗布すれば痕跡を作ることが可能であることを挙げて反論した。 白バイの速度も争われた。検察側は時速60キロメートル程度の通常走行中だったとしたのに対し、弁護側は付近を走行していた軽トラックの運転手の証言をもとに時速100キロ近くまで加速していた可能性を指摘し、目撃者による速度の判定は極めて困難だと主張した。あわせて、公道での違法な高速走行訓練が行われていたのではないかとも主張したが、検察側は取り締まり時を除いて法定速度の超過はないと反論した。 バスが停止していたか走行していたかについては、検察側が車両の破損状況から走行中であることは明らかだとし、弁護側は校長と生徒の証言、および破片の散乱状況が停止を裏づけると反論した。

上訴と判決の確定

運転手は一審判決を不服として控訴した。2007年10月30日、高松高等裁判所(柴田秀樹裁判長)は控訴を棄却し、禁錮1年4月の実刑を維持した。 さらに上告したが、2008年8月20日、最高裁判所第二小法廷が上告を棄却して有罪判決が確定した。事故から2年5か月後のことである。運転手は服役した。 刑事裁判の枠組みのなかでは、これで判断は確定した。しかし運転手側は事実誤認があるとして、確定判決を覆すための再審請求に進むことになる。

再審請求の経過

2010年10月18日、元運転手は高知地方裁判所に再審を請求した。再審は確定した有罪判決をやり直す手続きで、無罪を言い渡すべき明らかな新証拠が必要とされる。 2014年12月16日、高知地方裁判所は再審請求を棄却した。これに対する即時抗告も2016年10月18日に高松高等裁判所が棄却し、2018年5月7日には最高裁判所第三小法廷が特別抗告を棄却した。これにより再審の道は閉ざされた。事故から12年、確定判決から10年が経過していた。 この事故については、地元放送局が長期にわたって連載・特集を続けるなど、報道による検証が継続してきた。有罪判決が確定している一方で、ブレーキ痕の成因や白バイの速度をめぐる疑問は解消されていないとする指摘があり、交通事故捜査における物証の収集と評価のあり方を問う事例として言及されることが多い。 本記事は、確定判決が認定した事実と、弁護側が主張した内容の双方を、いずれか一方を断定することなく併記している。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2006年3月3日
  2. 判決 2007年6月7日 +461日
  3. 判決 2007年10月30日 +145日
  4. 判決 2008年8月20日 +295日
  5. 公判 2010年10月18日 +789日
  6. 判決 2014年12月16日 +1,520日
  7. 判決 2016年10月18日 +672日
  8. 判決 2018年5月7日 +566日

経過

  1. 2006年3月3日
    平成18年

    事件・事故 春野町の国道56号でスクールバスと白バイが衝突

    午後2時30分ごろ発生し、白バイに乗車していた巡査長が死亡した。バスの乗客にけがはなかった。

  2. 2007年6月7日
    平成19年

    判決 高知地方裁判所がバス運転手に禁錮1年4月の実刑判決

    業務上過失致死罪について検察側の主張を採用した。運転手は無罪を主張していた。

  3. 2007年10月30日
    平成19年

    判決 高松高等裁判所が控訴を棄却

    禁錮1年4月の実刑が維持された。

  4. 2008年8月20日
    平成20年

    判決 最高裁判所第二小法廷が上告を棄却し有罪が確定

    事故から2年5か月後に判決が確定した。

  5. 2010年10月18日
    平成22年

    公判 元運転手が高知地方裁判所に再審を請求

    確定判決の事実認定に誤りがあると主張した。

  6. 2014年12月16日
    平成26年

    判決 高知地方裁判所が再審請求を棄却

  7. 2016年10月18日
    平成28年

    判決 高松高等裁判所が即時抗告を棄却

  8. 2018年5月7日
    平成30年

    判決 最高裁判所第三小法廷が特別抗告を棄却

    再審の道が閉ざされた。

出典・公的資料

関連する法律用語

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レポート・記事などで本ページを参照する際は、以下の表記をご利用ください。

「高知白バイ衝突死事故」事件JP、2026年9月8日閲覧。https://jiken.jp/cases/2006-kochi-police-motorcycle-collision/

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更新履歴

  • 2026年8月20日 初版公開

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