中国製冷凍ギョーザ中毒事件 通称: 毒ギョーザ事件

発生日 2008年1月30日(平成20年)
経過 発生から18年8か月 2014年2月15日の確定から12年7か月
発生場所 千葉県 千葉市・市川市(ほかに兵庫県高砂市)
種別 テロ・無差別襲撃
状態 判決確定
被害 死者 0人  負傷者 10人
2008年(平成20年)1月30日、中国河北省の天洋食品が製造し日本に輸入された冷凍ギョーザを食べた千葉県と兵庫県の3家族計10人が有機リン系殺虫剤メタミドホスによる中毒を起こしていたことを厚生労働省が公表した事件。中毒は2007年12月28日(千葉市)、2008年1月5日(兵庫県高砂市)、1月22日(千葉県市川市)に発生し、市川市の5歳の女児が一時重体となった。日本の警察は日本国内で混入した可能性は極めて低いとしたが、中国側はこれを否定し、混入場所をめぐって日中の見解が対立した。2010年3月、中国当局が待遇に不満を抱いた天洋食品の元臨時従業員の男を拘束し、2014年1月20日に河北省石家荘市の中級人民法院が危険物質混入罪で無期懲役を言い渡した(同年2月確定)。政府は輸入食品の監視強化や情報伝達体制の見直しなどの再発防止策をまとめた。
中国製冷凍ギョーザ中毒事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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中毒の発生

厚生労働省の検証報告書によると、中毒は3件発生した。いずれも、ジェイティフーズ(東京都品川区)が2007年11月上旬に中国から輸入した、河北省の天洋食品製の冷凍ギョーザによるものだった。 最初は2007年12月28日の千葉市である。生協の店舗で購入した冷凍ギョーザを夕食に食べた母子2人が中毒症状を起こし、母親が救急搬送された。被害者は薬品のような臭いがしたとして毒物の検査も求めたが、この時点では保健所の調査は食中毒菌が中心で、原因は特定されなかった。 2008年1月5日には兵庫県高砂市で、スーパーで購入した冷凍ギョーザを夕食に食べた1家族3人が、縮瞳などの症状を示して入院した。兵庫県と兵庫県警は食中毒と事件の両面から調べることとした。 1月22日には千葉県市川市で、生協の店舗で購入した冷凍ギョーザを自宅で食べた家族5人が、約30分後から嘔吐や腹痛などを訴えて救急搬送された。このうち5歳の女児が重篤となり、医師は有機リン中毒を疑うとともに、事件性もあるとして千葉県警に通報した。
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公表と被害の拡大防止

2008年1月29日、東京都から厚生労働省に、兵庫県と千葉県(市川市)の有機リン中毒の疑い事案について、いずれも発症直前に同じ輸入元・同じ製造者の冷凍ギョーザを食べており、警察の検査で吐瀉物などからメタミドホスが検出されているとの情報が寄せられた。翌30日、千葉市の事案も同一製品によるものと判明した。 厚生労働省は1月30日、報道機関と都道府県を通じて問題の製品を絶対に食べないよう国民に呼びかけ、事業者には販売と輸入の自粛を要請した。駐日中国大使館を通じて中国政府に原因究明も求めた。同日、兵庫県警は冷凍ギョーザのパッケージからメタミドホスを検出したと公表した。31日には、天洋食品から輸入された冷凍食品すべてを対象に、18の事業者に販売自粛・製品回収・自主検査を要請した。 2月5日には、日本生活協同組合連合会から、千葉県の2事案と同じ製品で製造日が異なるものから、別の有機リン系農薬ジクロルボスが高濃度で検出されたとの報告もあった。 公表後、全国の保健所などへの相談は2008年3月31日までに5,915人にのぼったが、いずれも有機リン中毒は否定された。有機リン中毒と確定した患者は、1月29日以前に報告があった10人(千葉県7人、兵庫県3人)である。

混入場所をめぐる日中の対立

千葉県警と兵庫県警は、流通経路の解明、メタミドホスの性状分析、関係者からの事情聴取などを進めた。2008年2月29日の衆議院予算委員会で警察庁長官は、日本国内で薬物が混入した可能性は極めて低いとする根拠として、次の3点を挙げた。千葉と兵庫のギョーザは中国から出荷された後にまったく別のルートで日本に入っており、国内で交わる点がないこと。密封された袋の内側からメタミドホスが検出されたこと。検出されたメタミドホスには不純物が混じっており、日本で入手できる純度の高い試薬とは異なること。 これに対し中国側は、袋の外側から内側にメタミドホスが浸透したとする見方を示し、日本国内での混入の可能性を示唆した。警察庁は浸透実験の詳細がわかる資料を書面で提供するよう中国の公安当局に要請するなど、日中の捜査当局による協議が続いた。 原因の究明は長期化し、事件は日中関係の懸案の一つとなった。

容疑者の拘束と判決

公表から2年余りが経った2010年3月26日、中国側から日本政府に、事件の被疑者を逮捕したとの通報があった。消費者担当大臣は4月5日の参議院決算委員会で、通報が外務省・警察を通じて消費者庁にも届いたことを説明している。 拘束されたのは天洋食品の元臨時従業員の男で、会社での待遇に不満を抱き、冷凍ギョーザに注射器で殺虫剤を注入したとされた。男は2010年8月に起訴され、2013年7月の初公判で起訴内容を認めた。 2014年1月20日、河北省石家荘市の中級人民法院(地方裁判所に相当)は、危険物質混入罪で男に無期懲役を言い渡した。判決は、男による殺虫剤の混入で、日本と中国で重症者1人を含む計14人に健康被害が出たと認定した。男は期限内に上訴せず、判決は2014年2月15日に確定した。

行政対応の検証と再発防止策

事件は、輸入食品の安全確保と、健康被害の情報が行政の中で伝わらなかったことの両面で課題を残した。厚生労働省が2008年7月にまとめた検証報告書は、千葉市の事案について、年末のため一報が保健所に届くまで時間がかかったこと、被害者が薬品臭を訴えていたにもかかわらず毒物の検査が行われなかったこと、保健所長や市への報告がなされなかったことなどを指摘した。兵庫県から東京都への情報提供の際にファクスの送信ミスがあったことも記録されている。 政府は2008年2月22日、「食品による薬物中毒事案に関する関係閣僚による会合申合せ」で、原因究明を待たずに実施する再発防止策をまとめた。柱は、①情報の集約・一元化体制の強化(現場から本省への報告ルールの見直しや、事業者が把握した情報を行政に報告するルールの確立)、②緊急時の速報体制の強化、③輸入加工食品の安全確保策の強化の3点である。検疫所の食品衛生監視員の増員や、冷凍加工食品の残留農薬検査の拡大が盛り込まれ、問題となった有機リン系農薬のモニタリング検査は2月22日から始まった。 参議院の調査資料は、ギョーザの輸入元や販売事業者に以前から異臭などの苦情が寄せられていたのに、原因が特定されないまま調査が打ち切られていたことも問題点として挙げている。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2008年1月30日
  2. 逮捕 2010年3月26日 +786日
  3. 起訴 2010年8月 +128日
  4. 判決 2014年1月20日 +1,268日
  5. 判決 2014年2月15日 +26日

経過

  1. 2007年12月28日
    平成19年

    その他 千葉市で母子2人が中毒症状

    生協の店舗で購入した冷凍ギョーザを食べた母子2人が中毒症状を起こした。当時は原因が特定されなかった。

  2. 2008年1月5日
    平成20年

    その他 兵庫県高砂市で1家族3人が中毒

    冷凍ギョーザを夕食に食べた3人が入院した。

  3. 2008年1月22日
    平成20年

    その他 千葉県市川市で家族5人が中毒

    冷凍ギョーザを食べた家族5人が救急搬送され、5歳の女児が一時重体となった。

  4. 2008年1月30日
    平成20年

    事件・事故 厚生労働省が中毒事案を公表

    天洋食品製の冷凍ギョーザによる有機リン(メタミドホス)中毒として公表し、喫食しないよう呼びかけた。中毒と確定した患者は千葉県7人、兵庫県3人の計10人。

  5. 2008年2月22日
    平成20年

    その他 関係閣僚会合で再発防止策を申し合わせ

    情報の集約・一元化、緊急時の速報体制、輸入加工食品の安全確保策の強化を柱とする対策をまとめた。検疫所で有機リン系農薬のモニタリング検査を開始。

  6. 2008年7月
    平成20年

    捜査 厚生労働省が検証報告書をまとめる

    行政と事業者の対応を検証し、保健所の連絡体制や毒物検査のあり方などの改善策を示した。

  7. 2010年3月26日
    平成22年

    逮捕 中国当局が元臨時従業員の男を拘束(日本側に通報)

    中国側から日本政府に被疑者逮捕の通報があった。

  8. 2010年8月
    平成22年

    起訴 危険物質混入罪で起訴

  9. 2014年1月20日
    平成26年

    判決 無期懲役の判決

    河北省石家荘市の中級人民法院が危険物質混入罪で無期懲役を言い渡した。日中で計14人(重症1人)に健康被害が出たと認定。

    石家荘市中級人民法院(中国)

  10. 2014年2月15日
    平成26年

    判決 上訴期限の経過により無期懲役が確定

    被告が期限内に上訴しなかったため判決が確定した。

    石家荘市中級人民法院(中国)

出典・公的資料

一次資料 5件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。

関連する法律用語

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レポート・記事などで本ページを参照する際は、以下の表記をご利用ください。

「中国製冷凍ギョーザ中毒事件」事件JP、2026年10月3日閲覧。https://jiken.jp/cases/2008-china-frozen-gyoza-poisoning/

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更新履歴

  • 2026年10月3日 初版公開

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