相模原障害者施設殺傷事件 通称: 津久井やまゆり園事件

発生日 2016年7月26日(平成28年)
経過 発生から10年1か月 2020年3月31日の確定から6年5か月
発生場所 神奈川県 相模原市緑区
種別 殺人
状態 判決確定
被害 死者 19人  負傷者 26人
2016年7月26日未明、神奈川県立の知的障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)に元職員の男が刃物を持って侵入し、入所者らを次々と刺傷した。入所者19人が死亡、入所者24人と職員2人の計26人が負傷し、戦後日本の事件史上最多の犠牲者を出した。男は逮捕され、2020年3月、横浜地方裁判所は完全責任能力を認めて死刑を言い渡し、被告本人が控訴を取り下げたため同月中に死刑が確定した。
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事件の経過

2016年7月26日未明、神奈川県立の知的障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)に、当時26歳の元職員の男が刃物を持って侵入し、就寝中の入所者らを次々と刺傷した。男は午前2時頃、複数の包丁やハンマー、結束バンド等を入れたバッグを持って施設敷地内に入り、女性入所者の居住棟の窓ガラスを割って押し入った後、複数の建物を移動しながら刺傷を重ねた。入所者19人が死亡、入所者24人と職員2人の計26人が負傷し、戦後日本の事件史上最多の犠牲者を出した。
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事件前の兆候と措置入院の解除

男は事件の約5か月前にあたる2016年2月14日と15日の2度にわたり衆議院議長公邸を訪れ、「重複障害者は安楽死させるべきだ」という趣旨の主張とともに「障害者470人を抹殺できる」と記した手紙を渡した。この内容を受けて相模原市は同年2月19日に緊急措置入院の手続きを取り、22日に正式に措置入院となったが、「大麻精神病」等の診断のもと「他害のおそれがない」と判断され、入院からおよそ2週間後の3月2日には措置が解除された。この経緯は、事件後に措置入院制度・退院後の医療的支援の在り方が問題視される要因となった。

捜査・裁判の経過

男は事件当夜のうちに施設近くの警察署に出頭し逮捕された。2017年2月に殺人罪等で起訴された。裁判では、弁護側が大麻精神病の影響による心神喪失・心神耗弱を主張して無罪や刑の減軽を求めたが、2020年3月16日、横浜地方裁判所(裁判員裁判)は、事前の準備や犯行前後の行動に一貫性が認められることなどを踏まえて完全責任能力を認め、死刑を言い渡した。被告本人が控訴を取り下げたことにより、同月31日に死刑が確定した。

被害者の匿名審理という異例の対応

裁判では、遺族の意向を踏まえ、亡くなった被害者19人全員が実名を伏せた「甲A」「乙B」等の呼称で審理された。障害者への差別・偏見を懸念する遺族の意向が背景にあるとされ、警察発表の段階から匿名を原則とする異例の対応が取られた。一方で「犠牲者が記号のように扱われることに違和感がある」として実名を公表した遺族もおり、匿名報道の是非については専門家の間でも見解が分かれている。事件現場には遺族らの意向を踏まえた「慰霊碑」が設置され、毎月26日の月命日には水が19本の筋となって流れ落ちる構造になっている。花を手向ける台座には、遺族の同意を得た被害者の実名が刻まれており、事件から10年を迎えた2026年時点で11人分の実名が公開されている。

精神保健福祉法改正をめぐる議論と廃案

厚生労働省の検証・検討チームは2016年12月、退院後の医療的支援体制の強化などを盛り込んだ再発防止策の報告書をまとめた。これを踏まえ、政府は2017年2月、措置入院者の退院後支援計画の作成を都道府県に義務付ける精神保健福祉法改正案を第193回国会に提出した。しかし、障害者団体から「患者の監視強化につながる」との反対が根強く、参議院を通過したものの衆議院での審議入りに至らないまま、同年9月の衆議院解散により廃案となった。男の主張の背景には、意思疎通が困難な重度障害者の存在を否定する優生思想的な考え方があったとされ、事件は障害者の尊厳や「生きる価値」をめぐる社会的な議論を呼んだ。

施設の再建と再編

事件現場となった津久井やまゆり園の建物は2018年5月に除却工事が始まり、2019年3月に完了した。神奈川県は入所者の意向を踏まえ、元の敷地に再建する「津久井やまゆり園」と、横浜市港南区に新設する「芹が谷やまゆり園」の2施設に再編する方針を決定した。入所者は一時、仮設の園舎で生活したのち、2021年8月1日に両施設が新たに運営を開始し、利用者はそれぞれの施設へ移った。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2016年7月26日
  2. 逮捕 2016年7月26日 +0日
  3. 起訴 2017年2月24日 +213日
  4. 判決 2020年3月16日 +1,116日

経過

  1. 2016年2月15日
    平成28年

    その他 衆議院議長公邸に手紙を渡す

    「障害者470人を抹殺できる」とする内容の手紙を渡した。

  2. 2016年2月22日
    平成28年

    その他 措置入院となる

    緊急措置入院の手続きを経て正式に措置入院となった。

  3. 2016年3月2日
    平成28年

    その他 措置入院が解除される

    「他害のおそれがない」と判断され、入院から約2週間で解除された。

  4. 2016年7月26日
    平成28年

    事件・事故 津久井やまゆり園で入所者19人が死亡

  5. 2016年7月26日
    平成28年

    逮捕 元職員の男を逮捕

  6. 2016年12月8日
    平成28年

    その他 厚労省検証チームが再発防止策の報告書をまとめる

  7. 2017年2月24日
    平成29年

    起訴 殺人罪等で起訴

  8. 2017年9月28日
    平成29年

    その他 精神保健福祉法改正案が廃案に

    衆議院解散に伴い、審議入りしないまま廃案となった。

  9. 2020年3月16日
    令和2年

    判決 横浜地方裁判所が死刑判決

  10. 2020年3月31日
    令和2年

    その他 控訴取り下げにより死刑確定

  11. 2021年8月1日
    令和3年

    その他 再建施設の運営開始

出典・公的資料

一次資料 3件 判決文・白書・調査報告書・法令など、原典にあたれる資料を掲載しています。

関連する法律用語

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レポート・記事などで本ページを参照する際は、以下の表記をご利用ください。

「相模原障害者施設殺傷事件」事件JP、2026年9月15日閲覧。https://jiken.jp/cases/2016-sagamihara-disability-facility-stabbing/

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更新履歴

  • 2026年8月10日 記事内容を拡充(措置入院の経緯、被害者の匿名審理、精神保健福祉法改正案の廃案などを追加)
  • 2026年7月12日 本文を増補(「施設の再建と再編」セクションを追加)
  • 2026年7月11日 初版公開

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