山形・東京連続放火殺人事件

結末 2016年6月、最高裁が上告を棄却し、男の死刑が確定することになった。共犯の妻は懲役18年が確定

発生日 2010年10月2日(平成22年) 〜 2011年11月24日 2010年(平成22年)の事件 / 10月2日に起きた事件
経過 発生から16年 2016年6月13日の確定から10年4か月
発生場所 山形県 山形市(下条町)ほか(東京都江東区毛利)
種別 放火
状態 判決確定
被害 死者 3人
2010年(平成22年)10月2日、山形市下条町の住宅が放火されて全焼し、住人の夫婦2人が死亡した事件と、2011年11月24日に東京都江東区の集合住宅で女性1人が殺害され、部屋が放火された事件をあわせた連続殺人事件。いずれも被害者は、名古屋市の男が交際していた男性の親だった。山形の火災は当初、事件性が判断されなかったが、東京の事件で逮捕された男の供述から放火と分かった。東京地裁の裁判員裁判は2013年に死刑を言い渡し、2016年6月13日に最高裁が上告を棄却した。
山形・東京連続放火殺人事件を象徴する概念イラスト
※イメージ画像(生成AIによる概念イラストであり、実際の現場・関係者を写したものではありません)
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山形市の住宅火災

2010年10月2日午後10時20分ごろ、山形市下条町4丁目の住宅から出火し、木造2階建て約177平方メートルが全焼した。焼け跡からは、この家に住む男性(当時71)と妻(当時69)の遺体が見つかった。 最高裁判決によると、夫婦はいずれも体に不具合があり、名古屋市から実家に戻った長男が両親の世話と家業を手伝っていた。長男は名古屋市の男と交際していたが、男は長男が実家に帰ったあともつきまとい、山形県警からストーカー規制法に基づく警告を受けていた。県警は男の周辺を捜査したものの、ストーカー規制法違反での立件は見送った。火災についても事件性を判断できなかったため、男との関連は捜査していなかったと報じられている。
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東京都江東区の事件

2011年11月24日、東京都江東区毛利2丁目の集合住宅9階の一室で、この部屋に住む女性(当時76)が殺害され、部屋が放火されて全焼した。女性の長男も、かつて男と交際していた男性だった。 最高裁判決の認定によると、男は長男の居所を知ろうとして執ようなストーカー行為を繰り返したが分からず、居所を教えない母親への逆恨みから殺害と、犯行を隠すための放火を計画した。男は妻と共謀してベランダの窓から部屋に侵入し、帰宅した女性を結束バンドで縛って約4時間半にわたり監禁した。そのうえで一酸化炭素中毒により死亡させ、床に灯油をまいて火を付けた。判決はこの事件を、周到な用意のうえで実行された計画的な犯行としている。

逮捕と山形事件の発覚

警視庁は2012年1月5日、東京の事件の被害者の長男に対するストーカー規制法違反などの疑いで、男と妻を逮捕した。1月18日には殺人と現住建造物等放火などの疑いで2人を逮捕し、2人は「火事に見せかけようとして火を付けた」などと容疑を認めた。東京地検は2月8日、2人を殺人や現住建造物等放火、ストーカー規制法違反などの罪で起訴した。 その後、男が山形市の住宅火災についても「火を付けた」と供述したため、警視庁と山形県警は2月1日、約80人態勢の合同捜査本部を設けた。住宅の跡地はすでに更地になっていたが、捜査本部は男が火を付けたという部屋を再現して燃焼実験を行うなど、供述の裏付けを進めた。3月7日、男は山形の事件の殺人と現住建造物等放火の疑いで再逮捕され、東京地検は3月30日に追起訴した。

裁判員裁判と死刑判決

共犯の妻は、東京の事件について東京地裁の裁判員裁判で審理され、2012年11月13日に懲役18年(求刑懲役22年)の判決を受け、のちに確定した。 男の裁判員裁判は、山形と東京の両事件をあわせて東京地裁で開かれた。2013年5月9日の初公判で、男は東京の事件を認める一方、山形の事件については「放火はしたが、殺すつもりはなかった」と殺意を否認した。検察側は5月23日、死刑を求刑した。 東京地裁は2013年6月11日、求刑どおり死刑を言い渡した。判決は、男が夫婦の体の具合が悪いことを長男から聞かされており、放火すれば逃げ遅れて死亡する危険性が高いと認識していたとして、殺意を認めた。そのうえで、交際相手の男性2人を連れ戻したいという自己の願望のために、落ち度のない親を殺害したとして、「死刑はやむを得ない」と結論づけた。

最高裁の判断

弁護側は控訴したが、東京高裁は2014年10月1日に控訴を棄却し、死刑を維持した。上告審では、弁護側が山形の事件について確定的な殺意はなかったとして死刑の回避を求めた。 最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は2016年6月13日、裁判官4人の全員一致で上告を棄却した。判決は、わずか1年余りの間に、交際相手を連れ戻したいという思いから殺人と放火を重ねたことを「身勝手極まりない人命軽視の態度」と指摘した。東京の事件については、被害者が必死に命乞いしたにもかかわらず、約2時間にわたって手を緩めずに殺害した態様を「誠に残忍」とし、男が首謀者で妻より責任が格段に重いとした。山形の事件の殺意が未必的なものにとどまることや、反省の態度などを考慮しても、死刑はやむを得ないと判断した。これにより男の死刑判決は確定することとなった。最高裁はこの判決で、事件を「山形東京連続放火殺人事件」と呼んでいる。

審理・経過の流れ

  1. 事件・事故 2010年10月2日
  2. 事件・事故 2011年11月24日 +418日
  3. 逮捕 2012年1月5日 +42日
  4. 逮捕 2012年1月18日 +13日
  5. 起訴 2012年2月8日 +21日
  6. 逮捕 2012年3月7日 +28日
  7. 起訴 2012年3月30日 +23日
  8. 判決 2012年11月13日 +228日
  9. 公判 2013年5月9日 +177日
  10. 判決 2013年6月11日 +33日
  11. 判決 2014年10月1日 +477日
  12. 判決 2016年6月13日 +621日

経過

  1. 2010年10月2日
    平成22年

    事件・事故 山形市下条町の住宅が全焼し、夫婦2人が死亡

    午後10時20分ごろ出火。木造2階建て約177平方メートルが全焼。当初は事件性が判断されなかった

  2. 2011年11月24日
    平成23年

    事件・事故 江東区の集合住宅で女性が殺害され、部屋が放火される

    毛利2丁目の集合住宅9階。女性(当時76)が一酸化炭素中毒で殺害され、部屋は全焼

  3. 2012年1月5日
    平成24年

    逮捕 警視庁がストーカー規制法違反などの疑いで男と妻を逮捕

    東京の事件の被害者の長男に対するつきまといなどの容疑

  4. 2012年1月18日
    平成24年

    逮捕 江東区の事件の殺人などの疑いで男と妻を逮捕

    殺人と現住建造物等放火などの容疑。2人は容疑を認めた

  5. 2012年2月1日
    平成24年

    捜査 警視庁と山形県警が合同捜査本部を設置

    男が山形市の住宅火災についても「火を付けた」と供述したことを受けたもの。約80人態勢

  6. 2012年2月8日
    平成24年

    起訴 東京地検が男と妻を殺人や現住建造物等放火などの罪で起訴

    ストーカー規制法違反の罪でも起訴

  7. 2012年3月7日
    平成24年

    逮捕 山形の事件の殺人と放火の疑いで男を再逮捕

    警視庁と山形県警の合同捜査本部による

  8. 2012年3月30日
    平成24年

    起訴 東京地検が山形の事件で男を追起訴

    殺人と現住建造物等放火の罪

  9. 2012年11月13日
    平成24年

    判決 東京地裁が共犯の妻に懲役18年の判決

    裁判員裁判。求刑は懲役22年。のちに確定

    東京地方裁判所

  10. 2013年5月9日
    平成25年

    公判 男の裁判員裁判が東京地裁で始まる

    東京の事件は認め、山形の事件は殺意を否認

    東京地方裁判所

  11. 2013年6月11日
    平成25年

    判決 東京地裁が男に死刑判決

    求刑どおり。山形の事件についても殺意を認定

    東京地方裁判所

  12. 2014年10月1日
    平成26年

    判決 東京高裁が控訴を棄却し、死刑を維持

    東京高等裁判所

  13. 2016年6月13日
    平成28年

    判決 最高裁が上告を棄却し、死刑判決が確定へ

    第二小法廷、裁判官全員一致。確定の正確な日付は公表資料で確認できていない

    最高裁判所第二小法廷 (事件番号: 平成26年(あ)第1655号)

出典・公的資料

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「山形・東京連続放火殺人事件」事件JP、2026年10月28日閲覧。https://jiken.jp/cases/2010-yamagata-tokyo-serial-arson-murders/
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更新履歴

  • 2026年10月19日 結末の要約を追加
  • 2026年10月18日 初版公開

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